BUSINESS

ビジネス

「変なホテル」はどこが変なのか?ロボット技術を活用した未来のホテル像

2015年7月に開業したハウステンボスの「変なホテル」。
名称とは裏腹に、実際は「世界初のロボットホテル」としてギネスからも認定を受けた。実際にどのようなテクノロジーを活用しているのか。その裏側を紹介する。


「変なホテル」とは?

「世界初、ロボットによるホテル運営」近未来のSFを思わせるような言葉だが、すでにこれを実現しているホテルが日本にある。それが2015年に開業した、長崎県・ハウステンボスに隣接する「変なホテル」だ。

開業当初から、稼働率は90%前後を維持し、国内外から多くの取材が入っており高い注目を集めている。最近では、東京ディズニーリゾートのお膝元、千葉県の舞浜に2号店をオープンした。この勢いは今後さらに加速していくだろう。

「変なホテル」は、どのようなテクノロジーを持ち、どんな優位性持つのか。この記事ではその内容を紹介し、「変なホテル」が今後どのように変わり続けるか検証する。


LCCの次は、ローコストホテル!?

そもそも、「変なホテル」はなぜ生まれたのか。「変なホテル」を運営しているのは、ハウステンボスを再生させた、旅行会社大手のエイチ・アイ・エスだ。同社は、社長の澤田 秀雄氏の肝いりのもと、2015年に「スマートホテルプロジェクト」を立ち上げた。

澤田氏はこの「スマートホテルプロジェクト」の一環である「変なホテル」について「世界一生産性が高いホテル」と豪語し、人件費はもちろん、光熱費の大幅な削減といったローコスト運営を狙った。そして結果的に、「変なホテル」は従来型のホテルと比べ、人件費を3分の1から4分の1に、光熱費を約半分にまで抑えることに成功した。(2017年時点)

このような生産性の高さを実現できた背景には、やはり最新のテクノロジーを余すことなく利用していることが挙げられる。ロボット技術や、AI、最新型のタブレットや通信手段は、従来のホテルが導入しているシステムよりも、その導入費用を圧倒的に抑えることができるのだ。


受付はアンドロイド。荷物運びはポーターロボット

それでは、実際にどのようなテクノロジーが使われているか、見ていこう。まず目につくのは、ホテルで受付を行っているロボットたちだ。明らかにロボットとわかる恐竜ロボットの隣にいる女性のアンドロイドは、人間と間違えてしまいそうなほどリアルな作りをしているのだ。

チェックインはこのロボットたちが対応する。確かに、チェックインの手続きはある程度パターン化が可能で、現在のAIの技術を使えば十分対応できるものだ。さらに、多言語対応も容易で、英語はもちろん中国語などでのやり取りも可能だ。

チェックインが完了すると、今度はポーターロボットが荷物を運ぶ。最大50kgまでの荷物を運ぶことができるため、重い荷物も人が運ぶことなく、部屋までスムーズに案内してくれる。

ポーターロボットが荷物を運び終わると、いよいよ客室に入る。客室に入る際は、顔認証でロックを解除する。 鍵を持ち運ぶ必要がなく、宿泊者にとって負担が軽減されるようになっているのだ。


部屋にも最新のテクノロジーが満載

部屋の中は、非常にシンプルな作りになっている。しかし、従来のホテルにはない仕組みが至るところにある。まず、ひと部屋に1体コンシェルジュロボットの「ちゅーりーロボ」がいるのだ。これはハウステンボスのマスコットキャラクター「ちゅーりーちゃん」がモデルになっている。「ちゅーりーロボ」に声をかけて指示を出すと、部屋の電気をつけてくれたり、目覚まし時計を設定してくれたり、時間や天気予報などの情報も教えてくれるのだ。

室内の空調には輻射パネルを採用し、温水や冷水を流して温度を調整する技術を持っている。これにより、エアコンを利用した時のような乾燥を防ぎ、快適に過ごすことができる。

また、ホテルの部屋に備え付けられているWindowsタブレットには、宿泊者向けに作られた館内施設、設備、サービス等をまとめた案内と、照明を調整する機能が搭載されている。そして、館内に何か問い合わせをしたい時は、タブレット内の「Skype for Business Online」を活用する。画面を1、2回タッチするだけの簡単な操作で館内に電話がかけられるシステムになっており、利便性の向上を可能にした。この「Skype for Business Online」の導入費用は、従来のPBX(構内交換機)に比べ20分の1程度。大幅なコスト削減も実現しているのだ。

一方、館内には何かあった場合に備え、人間のスタッフも常駐している。しかし、それも最大で10人ほどであり、同規模のホテルに比べ圧倒的に少ない人数で対応できているという。


「変なホテル」の今後は?

「変なホテル」の成功は、ホテル業界において大きなインパクトとなっている。それにより、気になるのは同業他社の動向だ。ローコスト化を図りたいホテルチェーンが、今後参入してくることが予想される。ロボット技術については、日本に優位性があるとはいえ、海外のホテルチェーンが追従してくる可能性も十分ある。また、機械化が進むことで、サービスなどが均一化され、各ホテルで差別化の要素を見出しにくくなるだろう。そんなロボット化が進む将来のホテル業界で、今後生き残るポイントは何があるだろうか?

1つ挙げるとすれば、ホテルを「エンターテイメント化する」ことだ。機械化しているからこそできることで、ホテルをただ泊まる場所にするのではなく、テーマパークのように機械が常時お客様を楽しませる場所にする。こういったことが、今後ホテル業界における差別化のポイントになるのではないだろうか。

変なホテルの「変」は「変わり続ける」という意味も込められているという。変わり続けて、ホテルの常識が変わる日も、案外近いかもしれない。


<参考・参照元>
ハウステンボスの「変なホテル」の全客室に Windows タブレットと Skype for Business Online を採用| News Center Japan
ロボットだらけのホテル、ハウステンボスで近未来体験|日本経済新聞
変わり続けることを約束するホテル|「変なホテル」公式ウェブサイト

あわせて読みたい記事!