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トヨタの純利益は過去最高も強い危機感。超スマート社会への取り組みなど、トヨタは向かう未来とは?

トヨタ自動車が発表した2018年3月期の連結決算で、前期純利益は2兆4939億円と、日本企業の過去最高額を更新した。しかし、豊田章男社長は「自動車産業は生死を賭けた闘いが始まっている」と経営環境の厳しさを強調。危機感をあらわにした。

100年に一度の大変革、と豊田社長は決算発表で語ったが、テクノロジー企業などの異業種との闘いが加速していることを危機のひとつと認識している。そのトヨタ自身もクルマだけでなく、社会全体を変えようとするプロジェクトを始動させた。

トヨタはどこへ向かおうとしているのだろうか。

世界に先駆けた「超スマート社会」の実現を!

2017年4月、トヨタ自動車は筑波大学と連携して「未来社会工学開発研究センター」を開設した。トヨタ自動車が持つクルマを中心とした技術と、筑波大学が持つ学際性と資源が融合。その将来への展望とは?

Society 5.0、これは2016年1月に閣議決定された「第5期科学技術基本計画」で用いられている言葉である。
この「第5期科学技術基本計画」は、今後5年かけて実行に移される、10年先を見通した総合計画書だ。
国が描く「Society 5.0」はどのようなものなのだろうか。そして、そこにある「超スマート社会」はどのようなものなのだろうか。

超スマート社会は、必要なもの・サービスを、必要な時に、必要なだけ提供する社会を目指したものだ。社会のニーズが多様化する中、それを満たすべく、IoTAIビッグデータ解析などの最新技術とハードウェアの融合を促進するというものだ。

ヨーロッパでは、「Industry 4.0」など、ものづくりの分野でIoT などの最新技術を用いようという流れがある。日本は、それを社会全体に適用することを目指すとしている。

この流れに沿うように、2017年4月にトヨタ自動車株式会社と筑波大学が、地域未来の社会基盤づくりを目的に「未来社会工学開発研究センター」開設した。産学連携型のオープンラボ方式で、5年間の活動を予定。地域経済・社会の課題解決と未来産業の創出に向けて実証研究と政策提言に取り組むとしている。非常に幅広いテーマを扱うことが予想されるが、この両者の持ち味が活かせるテーマともいえる。


次世代のスマートシティプラットフォーマーを目指す!? 人・クルマ・街をつなげるトヨタ

トヨタは次世代のスマートモビリティの開発だけでなく、それが人、街などとつながることを念頭においている。
その1つがT-Connect と呼ばれるソリューションだ。従来のカーナビに音声認識機能を搭載することにより、人は対話を通じて道案内や交通情報などの得ることができる。ユーザビリティを大幅に向上させることで、人とのつながりを強めることに成功したのだ。目的地への経路選択や計算などに使うプラットフォームはマイクロソフトのクラウド環境「Microsoft Azure」を採用。最新のテクノロジーを活用することで、利用者により正確な情報を提供している。

また、トヨタは「スマートグリッド」にも力を入れている。電気ステーションの設置などでこの技術が必要となることから取り組んでいると思われるが、この技術を他分野へ展開することも十分あり得るだろう。これにより、街とのつながりも強化し、スマートモビリティを中心としたスマート社会におけるプラットフォーマーを目指していることが予想される。


人工知能、ロボティクス、社会工学- 学際性に富む筑波大学

一方、産学連携の「学」に当たる筑波大学も、スマート社会実現に必要な研究機関などを有している。例えば、学内には「人工知能科学センター」があり、 分野を越えて人工知能の研究を進め、それの利用に向けて積極的に展開している。また、スマート社会で利用範囲が広がると予想されるロボット技術についても、サイバーダイン株式会社を設立した山海教授がセンター長を務める「サイバニクス研究センター」があり、最先端の研究を行なっている。さらに、スマート社会全体の枠組みを考える都市工学をはじめとした社会工学分野も、長い歴史の中で多くの研究成果を生み出している。都市計画、スマート社会の経済や経営といった分野にもアプローチすることができる。

大学のキャンパスがあるつくば市では、先進的な技術の利用を進める特区の制定なども行われている。実際に、セグウェイなどの実験走行を可能にした「モビリティロボット実験特区」を制定し、スマートモビリティの検証も可能となっている。豊富な土地を有し、スマート社会で必要な実証研究を行う環境も整っているのだ。今後、分野によってはさらに検証が進むことだろう。


スマート社会はどこから変化が起きるのか?

このように、国が掲げる「Society 5.0」にある超スマート社会の実現に向けて、産学連携で着実に動き始めている。今回の連携は、5年の活動期間を予定しているが、この間にも様々な分野で技術革新が進むだろう。

その上で、このプロジェクトではやはりモビリティの分野での研究が進んでいくと予想される。トヨタが開発する次世代モビリティを必要な人に、必要なときに提供できるようにするために、例えばAIの技術で乗客の位置を予測して、モビリティがそこへたどり着くことを実現できるようにするなど、トヨタと筑波大学の強みが活かされる部分から発展していくのではないだろうか。

また、オープンラボ形式を取っている以上、今後どのような企業・組織が参画するかもポイントとなる。それにより、上記のモビリティを軸にした研究だけでなく、違ったテーマの研究も立ち上がるだろう。

その点も加味すると、このプロジェクトが最終的にどのような研究成果を上げ、政策提言を行うか大きな期待を抱かずにはいられない。5年後は、東京オリンピックが終わり、新たな日本の姿を示す時期が到来していることだろう。今後の動向に注目したいところだ。


<参考・参照元>
筑波大学|お知らせ・情報|ニュース|筑波大学とトヨタ自動車(株)が共同で「未来社会工学開発研究センター」を開設 ―長期、協調領域視点でSociety5.0を実現する地域未来の社会基盤づくり、拠点化形成につき研究―
トヨタ | スマートモビリティ社会
T-Connectとは | T-Connect
第5期科学技術基本計画の概要
Society 5.0 | IoT
インダストリ4.0 次なる産業革命か? | ルネサス エレクトロニクス
協議会について – ロボット特区実証実験推進協議会

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