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Food Tech(フードテック)分野の発展でどう変わる?食を安全により豊かにする新技術

ICT食品産業とテクノロジーが融合した「Food Tech(フードテック)」が日本にも普及しつつある。Food Tech は、IoTと融合したスマートファームやスマートキッチンも包括しており、世界中で注目を集めている技術だ。食に関するあらゆる可能性を秘めており、将来的には食料不足や流通に関する問題も解決できるかもしれない。


Food Techの働きとは

Food Techの領域は広く、農産物生産から始まり、食品にまつわる設備の製造、食品の鮮度管理、流通、調理方法、飲食店の検索方法など多岐にわたる。また、ビジネス的な意味だけでなく、バイオエネルギーのような科学分野やIoTと融合したスマートファームやスマートキッチンといった先端テクノロジー分野とも関連している。
多分野から注目を集めているFood Techの中で特に期待されているのは、ICTを活用したスマートアグリカルチャーによる新しい農法や食品の開発である。農業をスマート化し、野菜の育成具合や気象データを分析することで効率的な生産が可能になり、食品に関するビジネスがそこから広がっていくからだ。
それに伴いスマートファームによる農業インフラの自動化も進められている。栽培施設内の温度や湿度の調整、ドローンによる農薬散布や無人のコンバインによる収穫などの研究が進められており、リモート制御による完全自動化も実現間近である。


企業のFood Tech分野参入

オイシックス株式会社は、以下をコンセプトに有機栽培野菜を中心とした様々な食品を販売している。

“「子どもに安心して食べさせられる食材」をコンセプト
引用元:フードテックは日本の農業と食をどう変えていくのか? | FUTURUS(フトゥールス)

そのオイシックス株式会社が、2016年10月にFood Tech分野に特化した運営を行う新たな投資部門「フードテックファンド」を設立した。
フードテックファンドを運営する狙いとしては、畑の状態を自動で最適化するアグリテックを浸透させることで、生産が難しい人気野菜を安定供給できるようにするというところにある。人気で美味しい野菜が品切れになってしまうという問題を、農家に技術提供することで生産力を向上させ解決しようという考えだ。
また、オイシックス株式会社は消費者と直接つながる販売ルートを形成することで、継続的に約13万人のユーザーデータを入手している。この自社データを活用することで、新しい商品やサービスのシミュレーションテストを繰り返し改善した状態で、品切れなどの不便がなくより鮮度が高い食材をユーザーに提供できるという利点もある。安心と利便性と品質の三つが同時に実現できるという点は消費者にとって最も重要である。


分子調理法の未知なる可能性

Food Tech技術のひとつである分子調理法(分子ガストロノミー)は、食材の食感や調理方法を研究し最先端の技術を取り入れ、食の固定概念を覆す。
この分子調理法を駆使すれば、植物性の原料だけを使用して肉類の食感と味を再現することが可能となる。人工肉の需要は高まっており、カリフォルニア州のビヨンド・ミート社は、発がん性を含まないとされる大豆を原料としたチキンとビーフの開発に成功した。また、オランダのマーストリヒト大学の研究チームは、牛の筋肉組織を培養し色素タンパク質を混ぜ込むことにより、食感にこだわった人工肉を完成させた。さらに、米インポッシブル・フーズ社は、卵やチーズといった動物性食品も再現し、見た目も味もそのままの「べジハンバーガー」を2017年日本での販売を予定している。
人工肉の需要が高まっている背景には、このままでは食肉や乳製品の供給量が需要を下回ることが予測され、既存の生産システムが破たんしかけているということがある。今はまだ研究段階であるため、本物の肉より味が劣る健康食品といった認識であるが、今後改良を重ねていけば美味しさを売りとした食品として提供されるようになるかもしれない。


今後の展望

シンガポールではFood Tech分野の企業の活動が活発だ。その中でシンガポール特有のスタートアップ成功例を紹介したい。

【Clubvivre】シェフ出張サービス
シンガポールの富裕層に向けたオンデマンドサービスで、ホームパーティーなどの時に自宅でシェフが腕を振るってくれるというものだ。2013年にスタートしたClubvivre(クラブヴィーヴ)には100人以上のシェフが登録しており、予算や食の好みに合わせて料理をつくったりバーベキューを仕切ってくれたりする。シェフが店を持たずにフリーで活躍でき、利用者は自宅でレストランでの食事感覚が楽しめるとあって双方に人気だ。

【Hawker Today】ローカルフードのデリバリーアプリ
こちらは庶民向けのサービスで、Hawker Center(ホーカーセンター)というシンガポールでメジャーなフードコートの食事をデリバリーしてくれるものだ。リーズナブルな価格帯であることから行列が絶えないため、アプリで注文できる手軽さから人気を集めている。フードコートの食事を宅配ピザのように自宅で楽しめる。

アメリカではドローンやロボットを活用したデリバリー形態を模索しており、気兼ねなくプライベートな空間で食事を楽しみたいというニーズに応えようとしている。このように、その国の習慣や国民性に合ったスタートアップを図り、既存のシステムや他分野とフード分野と掛け合わせることで需要を開拓できる。

生産技術、流通といった食に関係する分野とテクノロジーの融合により、生産力のロスや食品の過不足といった問題が解消され、食の安心と利便性と品質が保たれる日も近いかもしれない。


<参考・参照元>
食のIT&技術革命「フードテック(foodtech)」がやってくる | ROBOTEER
フードテックは日本の農業と食をどう変えていくのか? | FUTURUS(フトゥールス)
垂直農場、食用昆虫、ロボットキッチン…フードテックと食の未来 | ROBOTEER
Singapore [Singapore] パーソナルな体験へ向かう、食の新傾向 JOURNAL / ASIA | The Cuisine Press
UBERも参入“アツアツ” フードテック シンガポールで活況のフードデリバリー WEDGE Infinity(ウェッジ)

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