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エストニアのICO『エストコイン』は世界にどう評価されるのか。国家が発行する新規仮想通貨の事例に学ぶ

2018年1月、安倍首相が現役の首相として初めて訪問したことで話題のエストニア。この国は世界で群を抜いて電子化が進んでいる国家だ。行政サービスの99%はデジタル化され、その恩恵を多くの国民が受けている。そのエストニアが、仮想通貨による資金調達・ICOを行うのではないかといわれている。果たして、その狙いとは!?


国家として初の仮想通貨発行を目指すエストニア

日本から遠く離れた北欧バルト三国のひとつ、エストニア。物理的に遠くても、今後は私たちにとってより身近な存在になるかもしれない。エストニアは、ICO(新規仮想通貨公開)による資金調達を検討しているというニュースが流れた。具体的には仮想通貨エストコイン」を発行するとしており、実現すれば国家としては世界初だ。ICOは企業や団体が資金調達を行う手法として、2016年以降急速に広まっているが、国家にまで及ぶことになる。また、エストニアは公的サービスの電子化を進めており、すでに結婚、離婚、不動産以外の手続き99%は全て電子化されている。今回のICOは仮想通貨の活用を可能にすることで、その利便性をさらに高める狙いがありそうだ。


国策でIT教育を充実させた欧州の小国

エストニアという国は、私たちにとってまだまだなじみが薄い部分もある。そこで、まずはエストニアの国家概要から見ていこう。エストニアの正式名称は「エストニア共和国」。EU、そしてNATOにも加盟しており、通貨はユーロを用いている。2016年時点での人口は約131万人で、国土は九州と同じ程度の面積だ。美しい街並みが広がる首都・タリンは、フィンランド湾に面しておりフィンランドだけでなくロシアにも近い。ヘルシンキやサンクトペテルブルクとともに、フィンランド湾の主要都市のひとつでもある。そして、エストニアの歴史にはさまざまな国からの支配があった。13世紀以降はデンマーク、ドイツ、スウェーデン、ロシアと続き、第一次世界大戦後に一度独立するものの、第二次世界大戦中にソ連が占拠。一時、ナチス・ドイツの手に渡るも、第二次世界大戦終結後に再びソ連の占領下となる。実はこのような度重なる占領・支配が、エストニアが電子国家構築を進める背景にもなっているのだ。

また、エストニアの特徴としては学力の高さやIT教育の充実が挙げられる。特に、IT教育については国策で進められており、国民1人あたりの起業件数はなんとヨーロッパでトップ。政府の取り組みもチャレンジングだが、それに呼応するかのように、国民もチャレンジする気質があるようだ。実際、コワーキングスペースでは毎週のようにハッカソンやネットワーキングイベントが開催されていて、開催後はSNSなどを通じて参加者同士が互いをフォローし合っているという。


インターネット黎明期から始まった電子国家政策

エストニアの電子国家政策だが、実はこの構想はソ連独立直後から描かれたものといわれている。すでにインターネットが存在していたとはいえ、まだほとんど認知度がなかった時代から、この構想を描いていたのだ。インターネットをベースにした国家プロジェクトのひとつ「e-resident」は、外国人の起業家を電子移住者として誘致すべく始まったもので、エストニアが電子国家として海外から注目を集めるきっかけとなった制度である。

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