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過去最高の純利益をあげたトヨタはオープン・イノベーションを加速。新プロジェクト「TOYOTA NEXT」とは?

トヨタ自動車が発表した2018年3月期の連結決算で、前期純利益は2兆4939億円と、日本企業の過去最高額を更新した。しかし、豊田章男社長は「自動車産業は生死を賭けた闘いが始まっている」と経営環境の厳しさを強調。危機感をあらわにした。

100年に一度の大変革、と豊田社長は決算発表で語ったが、テクノロジー企業などの異業種との闘いが加速していることを危機のひとつと認識している。そのトヨタ自身もクルマだけでなく、社会全体を変えようとするプロジェクトを始動させている。

トヨタはどこへ向かおうとしているのだろうか。トヨタの新プロジェクト「TOYOTA NEXT」から考えてみよう。
2017年8月、トヨタは協業する5社を選定したと発表。その顔ぶれは、従来のトヨタからは想像もつかない顔ぶれがそろっており、今後のトヨタの方向性を示しているともいえる。30万人企業、トヨタが見据える未来とは?


「TOYOTA NEXT」とは何か?

トヨタ自動車が次世代のビジネスを展開すべく開始した「TOYOTA NEXT」は、外部企業や研究機関と連携し、多様なサービスを創出するオープン・イノベーション・プロジェクトとなっている。そして、2017年8月にトヨタはその協業先となる企業5社を発表した。

2016年12月からスタートした本プロジェクトには約500社からの応募が集まり、アイデアの独自性、技術開発力、事業の発展性などさまざまな項目による審査が行われた。このたび選定された「カウリス」、「giftee」、「シェアのり」、「ナイトレイ」、「エイチーム」の5社は、今後トヨタが保有するビッグデータを活用し、新たなサービスを開発していく。従来の部品サプライヤーだけでなくIT企業と手を組むことで、トヨタはどのような展開をもくろんでいるのか。まずは選定された5社の顔ぶれについて見ていこう。


「TOYOTA NEXT」5社の概要と提供しているサービス

・株式会社カウリス
サイバーセキュリティの分野で高い技術力を持つカウリス。近年サイバー犯罪が急増し、インターネットサービスを運営している事業社の3分の1以上が成りすましによる不正アクセスの被害に遭っているという。それに対して、カウリスの不正検知サービス「FraudAlert」(フロードアラート)は “本人らしさ”をベースにした独自の判定ロジックで、なりすましによる不正アクセスを未然に防ぐ。
車もネットワークにつながるようになり、将来ハッキングによる事故のリスクなどが懸念されている。それを防ぐためにも、トヨタはカウリスの技術に目をつけたのではないだろうか。次世代のトヨタのコネクティッドカーは、カウリスのセキュリティ技術が取り込まれているかもしれない。

・株式会社ギフティ
ギフティのシステム「eGift System」は、店頭で引き換えられるデジタルのギフトチケットである。そして、このギフトチケットは自社サイト上で販売できるのが特徴だ。なお、提供されたギフトチケットは店頭で利用することも可能で、さまざまな形態での活用が期待できるものとなっている。
また、同社とトヨタはこのシステムを活用したオーナー向けの新サービス展開に向けて、具体的な協議を進行中だという。ディーラーなどの販売網と「eGift System」の相互作用で、オーナーに対して新たな価値を提供していくのではないだろうか。

・株式会社シェアのり
個人間で車をシェアするサービスを展開する「シェアのり」は、今後トヨタとともに新たなモビリティーサービスの研究開発を進めていく。
特に、車の稼働率が低い東京を中心に新たなサービスを展開するのではないだろうか。シェアのりの調査では東京で車を所有した場合、年間50万円ほどの維持費がかかるうえにその年間稼働率は3%だという。そのため車を手放す、そもそも所有することを諦める人が今後増えることが予想される。今後こういったニーズに応えるべく、トヨタと同社が新たなモビリティーサービスを展開する可能性は高いだろう。

・株式会社ナイトレイ
ナイトレイはロケーションデータに特化した独自のSNS解析エンジンの開発、「inbound insight」等のデータソリューションを提供し、位置情報とソーシャルの分野で独自のビッグデータや活用ノウハウを保有するベンチャーだ。訪日外国人旅行者のデータ解析をはじめ、都市計画に関わるデータ解析サービスや、イベントの効果分析などを行っている。トヨタは大量のモビリティデータを所有しており、今後はこれらのデータを活用したエリアマーケティング実施にナイトレイの技術が用いられるのではないだろうか。

・株式会社エイチーム
スマートフォンをベースとしたゲームコンテンツ、情報サイト、ECサイトなどの企画から運営までトータルに行う総合IT企業エイチーム。トヨタとの協業ではWEBマーケティング技術を用いて、中古車ビジネスにおけるお客様の利便性向上を目指すが、これに限らずサービス全般のWEBマーケティングに今後関わっていく可能性も考えられる。


トヨタが進める、見据える、次世代モビリティ社会とは

「TOYOTA NEXT」の顔ぶれを見ると、トヨタが従来の自動車販売だけにこだわっていないことがよくわかるのではないだろうか。トヨタは次世代のモビリティ社会を見据え、従来の枠組みにとらわれず、ビジネスを展開しようとしている。また、国が主導する「Society5.0」実現に向けた、トヨタの次世代モビリティ社会を作るための取り組みにも期待したい。


<参考・参照元>
「TOYOTA NEXT」協業5社が確定、トヨタのオープンイノベーション|TechWave テックウェーブ
Caulis [カウリス]|次世代セキュリティプラットフォーム
株式会社ギフティ
シェアのり もっと安く、もっと手軽にクルマに乗ろう
Nightley Inc.|株式会社ナイトレイ コーポレートサイト
株式会社エイチーム(Ateam)
トヨタが進める、スマートシティ社会に向けての取り組みとその未来|DX LEADERS

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