BUSINESS

ビジネス

電子書籍の伸びに喘ぐ書店ビジネス、書籍は100%電子化されるのか!?

書店ビジネスが、大きな転換点を迎えている。東京商工リサーチの調査によれば、業界全体の売り上げは2年連続で減少。赤字企業も全体の2割に及ぶ。また、倒産・廃業も増加傾向にあるという。

書店は、人々に知や楽しみを与えてきた。
しかし、そんな時代も過去のものとなるのか?書店ビジネスの今後について考えてみたい。


転換点を迎える書店ビジネス

町中にあり、普段何気なく足を運ぶ本屋。しかし、書店ビジネスは、大きな転換点に直面している。
東京商工リサーチの2016年の調査によれば、書籍・雑誌小売業の全体の売り上げは、2年連続で減少しており、「増収」の企業は全体の2割にとどまっている。大手の書店は、店舗撤退などで損益が膨らみ、2年連続で大幅な減益になり、全体の2割の企業が赤字に陥っているのだ。
また、倒産・廃業件数も増加傾向になるという。新規参入も少ないことから、業界は縮小傾向に突入している。
もともと、書店は小・零細企業が経営しているケースが圧倒的に多く、売り上げ分布によると、売り上げ1億円未満の企業が全体の約6割を占める。町を歩くと、そのような書店を目にすることがあるが、それが書籍・小売業界の特徴の一つだ。

一方で、東京などの都市部には大型書店もある。
これら大型書店は、他店舗経営や事業の多角化により、売り上げを伸ばしている企業がある一方で、市場のあおりを受け、減収が続いている企業もある。売り上げトップ10の上位5社は増収になった一方で、下位5社は減収と対照的な結果になっている。
しかし、なぜ書店ビジネスはこのような苦境に陥っているのだろうか。


書店ビジネス苦戦の要因は?

苦戦の要因はさまざまなものが考えられるが、一番大きな影響は、Amazonの存在ではないだろうか。
インターネットで注文して、即日届くとなれば、わざわざ書店へ足を運ぶ理由もないという人が多いだろう。書籍は購入するとかさばり、持って帰るのが面倒という人も多いと考えられる。
また、インターネットを通じて、電子書籍の販売が伸びている。この辺りが、書店ビジネスをより苦しいものにしていると考えられる。

電子書籍が伸びて、紙の書籍が売れないために、これまで流通の根幹を担ってきた取次店の倒産も発生している。取次店が倒産すると、そこから書籍を仕入れていた書店も商品を揃えることができず、事業継続が困難となってしまう。
このような連鎖倒産のような現象も起こっている。

さらに、産業構造の変化も理由の一つとして考えられる。先ほどお伝えしたとおり、書店は小・零細企業で経営されている場合が多く、経営者も高齢化が進んでいる。後継者がおらず、そのまま廃業というケースも多いようだ。
このように、書籍・雑誌小売業はさまざまな状況に直面し、その対応に苦しんでいる。


「本はAmazonで」この流れは止められないのか

書店ビジネスが苦しむ中、好調を維持しているのが、先ほども挙げたアマゾンである。
書店で本を見て、実際に買うのはアマゾンという人もいるくらい、アマゾンで書籍は売れている。この流れは、しばらく止まりそうにないが、ここでふと考えたいことがある。

それは、「書籍は売れている」という事実だ。書店の売り上げが伸びないというのは、書籍が売れていないということだが、書籍にニーズがないわけではない。
もし書籍そのものにニーズがなければ、アマゾンでも書籍を買わないはずだ。しかし、実際アマゾンで書籍を購入する人はいる。
そう考えると、書店の売り上げが伸びないのは、書籍にニーズがないからではなく、別の要因が考えられる。


書店ビジネスが復活するには?

書籍にニーズがある、これを前提に書店ビジネスを復活させる施策を考えてみたい。
まず、考えられるのは、多角化経営だ。書籍を呼び水に、そのほかのビジネスを展開して収益を得るというものだ。有名なところでは、蔦屋書店などはその典型だろう。
また、神奈川県を本拠地にする有隣堂は、書店を展開しているというイメージを活かし、企業に対してOA機器の販売を行い、業績を伸ばしている。

大型書店でなくても、多角化する方法はある。
小型店でも、店舗に特色を持たせることで、顧客を集めることが可能だろう。簡単なところでは、店主選りすぐりの書籍を並べ、それを売りにするのも一つの手だ。
また、イベントの開催を通じて、顧客から参加費をいただくこともできる。ゲストにとっても、書店で講演会などを開催するとイメージアップにつながりやすい。
書店には、どこか知的な雰囲気を連想させるものがあり、それを有効活用するのも面白い。

ふと考えてみると、ほとんどの書店は20年前から同じことを続けている。
時代は変化しているにも関わらず、書籍を置いてお客さんが来るのを待っている。つまり、イノベーションがほとんど起こっていないのだ。
しかし、人口が減って市場が縮小している時代に、一時代前のやり方でビジネスを展開していては立ち行かなくなるのは当然であろう。

イノベーションがほとんど起きていない業界だからこそ、発想の転換でこれから大きく変化する余地があるともいえる。
今、起きている書店ビジネスの変化は、まだまだ序章に過ぎないだろう。これから、書店にはもっと大きなイノベーションが誕生すると予想する。
後世に残る書店はどのようなものか、本好きの人間としては楽しみで仕方がない。


<参考・参照元>
「全国書店1,128社の業績動向」調査 : 東京商工リサーチ
芳林堂も破産、書店閉店が止まらない日本--書店復活の米国との違いとは? - CNET Japan
本ではなく「本屋」を売る――街の書店が潰れる時代に、B&Bに毎日人が集まる理由 | ぼくらのメディアはどこにある? | 現代ビジネス x サイボウズ式
出版不況は終わった? 最新データを見てわかること - CNET Japan

あわせて読みたい記事!