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AI薬剤師も登場? M&Aが相次ぐ薬局・ドラッグストア業界、その先にあるものとは?

薬局ドラッグストアの再編が加速している。市場の成長の鈍化などにより、今後ドラッグストアや薬局は統合が進み、一部の企業による寡占化が進むことが予想される。一方で、AI人工知能)の発達により、将来的にはAI薬剤師などが誕生する可能性がある。
そうなると、医薬品は、既存のプレイヤー以外も販売できるようになるかもしれない。


再編が進む、ドラッグストア・薬局業界

普段、何気なく利用しているドラッグストアや薬局。実は、現在激しい業界再編が進んでいる。
ドラッグストア業界は、2年前にイオンが主導となり、グループのドラッグストアを統合。
当時業界6位だったウエルシアホールディングスを子会社として、その傘下に神奈川県を本拠地とするCFSコーポレーション(ハックドラッグ)とタキヤ(兵庫県)、シミズ薬品(京都市)を子会社化した。
これにより、イオンは、グループの売上高合計が5,000億円を超え、当時業界1位だったマツモトキヨシを抜いた。

また、街で見かける調剤薬局も再編が進んでいる。ドラッグストアと違い、調剤薬局業界は、売り上げ上位企業が占める業界全体の売上比率が低い。
そのため、中小・零細の調剤薬局で再編が進んでいることが考えられる。


再編が進む背景には何があるのか?

ドラッグストア、調剤薬局業界で再編が進む背景には、どのような事情があるのだろうか。
これは、ドラッグストア、調剤薬局で少々事情が異なってくるようだ。ドラッグストア業界の場合、業界全体の成長が鈍化していることが大きな理由になっているものと思われる。
確かに、東京などはコンビニと変わらないくらいドラッグストアが乱立しているように見える。

実際、薬局の数は57,000店とコンビニの54,400店を上回っている。
最近は、コンビニに薬局が併設されるような店舗も出てきたが、基本的には、薬局は医薬品や日用品を販売するのがメインになっている。コンビニほど需要が見込めるとは考えづらいことから、店舗数は確かに飽和状態にあるかもしれない。
また、調剤薬局の場合、中小・零細の薬局の後継者不足などが原因としてあるようだ。
さまざまなビジネスで、この後継者問題が話題になりつつあるが、調剤薬局ではすでに顕著になりつつある。M&Aのコンサルティングを行う、MACアドバイザリーの調査によると、大手調剤薬局の新規出店ペースは2013年をピークに減少傾向にある。
しかし、対照的に、M&Aの件数は年々増加を続けている。

このように、M&Aを通じて、大手調剤薬局は出店を増やしているといえそうだ。


ドラッグストア・薬局はどこまで集約されるのか

医薬品の販売は、医薬分業や後発薬推進などの医療保険制度の改革を追い風に、この10年間で市場規模が倍増した。
現在、その規模は7兆円ともいわれている。今後も高齢化社会の到来に伴い、医薬品の需要は増すことが予想されるが、さすがにこの10年のような伸びは期待できない。
そのため、ドラッグストア業界をはじめ、再編が活発化していると考えられる。

最終的にドラッグストアや調剤薬局は、どのように業界勢力図が変わるのか。
ドラッグストア業界での売り上げ上位企業が占める全体の売上比率は、69.5%だといわれている。上位による寡占化が起こっているが、この流れは今後ますます加速するだろう。
また、調剤薬局業界も、ドラッグストア業界がたどるように、上位による寡占化が進むことが予想される。
時間はかかるかもしれないが、現状を見ると、その流れが進む可能性は高いといえる。


規制緩和で「AI薬剤師」誕生!? ドラッグストア業界の未来とは

業界再編が進むドラッグストア・調剤薬局業界だが、実は大きな脅威も存在している。
それが、AI(人工知能)を活用した医薬品の提供サービスだ。
もちろん、現在では規制の関係で、AIによる薬の販売はできないようになっている。しかし、ゆくゆくは規制緩和されることで、AI薬剤師やAI登録販売者が登場して、インターネット上で薬が販売できるようになるかもしれない。

医薬品販売のAI活用については、日本医薬品情報学会でも話題に上がっている。
そこでは、単純な調剤業務だけでは、AIに取って代わられるだろうという声が上がったそうだ。
調剤業務は、患者への問診がパターン化され、その結果にしたがって医薬品を提供するとなれば、AIの得意パターンといえるだろう。
人間以上に早く、正確に医薬品を提供できるはずだ。少なくとも、第二種、第三種医薬品であれば、現状AIが学習を積めば、人間と変わらないパフォーマンスを発揮するのではないだろうか。

そうなると、全国に57,000店もある薬局の存在価値自体が大きく見直されることになる。
競合は、業界内の同業他社ではなく、ECのアマゾンや楽天などになるかもしれない。

既存のドラッグストアや薬局はどのようなビジネスモデルに転換することになるのだろうか。
薬局は、人々の病気に対して、医薬品の販売を通じた対処療法を提供してきたという見方もできる。それを、人々が病気にならないような予防法を提供するビジネスモデルに転換することはできないだろうか。健康を維持するために必要なサプリメントの提供やコンサルティングサービスを行うことで、ただ医薬品を販売するだけのビジネスから脱却できるはずだ。

大きな転換となるが、AIが浸透してからでは遅い。
業界再編を行っているドラッグストアや調剤薬局は、目先のM&Aではなく、ビジネスモデルそのものを考える必要があるのではないだろうか。


<参考・参照元>
調剤薬局業界 業界別M&A動向 - M&A/事業承継のM&Aキャピタルパートナーズ【東証一部上場:6080】
イオンが鳴らしたドラッグストア再編の号砲 | 百貨店・量販店・総合スーパー | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
薬局M&Aの必要性 | 調剤薬局・ドラッグストアのM&Aに専門特化 | MACアドバイザリー株式会社
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【医薬品情報学会】AI時代の薬剤師業務議論‐情報整理、ケア注力が重要 : 薬事日報ウェブサイト

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