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GoogleとAmazonが全面対決か。大手小売チェーンのターゲットと業務提携

Googleがディスカウントストア大手のTarget(ターゲット)との業務提携拡大を発表した。
Googleはターゲット以外にも、全米最大のリテールチェーンのウォルマート、ホームデポとも業務提携を開始している。アメリカを代表する大手リテールチェーンとの提携を強化するGoogleの戦略は何か。
Googleとの対立が深刻化するAmazonとの競争について考察する。


Googleと業務提携するターゲットとは?

2017年10月12日、Googleがディスカウントストア大手のTarget(ターゲット)との業務提携拡大を発表した。
2016年からアメリカの一部の地域で試験的に施行されていたデリバリーサービスを、全米に拡大して提供するという。

ターゲットは1902年設立の老舗のディスカウントストアだ。リテールチェーンとしてはウォルマートに次ぐ全米第二位の規模で、アメリカの各都市で1,806店舗を運営している。取扱品目は家電、家具、玩具、衣料、ビューティー、トイレタリー、食品と多岐に渡る。
日本ではドン・キホーテの雰囲気がターゲットに近いと思うが、ドン・キホーテを大型スーパーマーケット化したような感じの店構えである。アメリカの主要都市のほぼすべてに店舗があり、アメリカ人なら知らない人はいない有名チェーンである。

そんなターゲットがGoogleと一緒に提供しているデリバリーサービスとは、いったいどのようなものなのだろうか?


ウォルマートとの業務提携開始からわずか7週間後の発表

ところで、アメリカ最大のリテールチェーンのウォルマートも、今回の業務提携発表のわずか7週間前にGoogleとの同様の業務提携契約を締結している。
さらに、別の大手リテールチェーンのホームデポもGoogleと同様の業務提携契約を締結すると噂されている。
ウォルマート、ターゲット、ホームデポという、アメリカを代表するリテールチェーンがこぞってGoogleと業務提携する事の背景には何があるのだろうか。

多くの関係者が指摘するのが、Googleがターゲットと試験的に進めていたボイス・コマース事業の拡大だ。
ボイス・コマース事業とは、Googleが開発したスマートスピーカーHomeを端末としたオンラインショッピングの事である。Homeは、先行するAmazonのEchoに2年遅れて2016年にリリースされた。
GoogleアシスタントAIを搭載し、音声による対話ベースのやり取りが可能だ。

パーソナルアシスタント機能やミュージックストリーミングなどのエンターテインメント機能、スマホ接続機能など、HomeとEchoには共通する機能が多いが、両者がそれぞれお互いを引き離す可能性があるのがショッピング機能だ。EchoはAmazonのストアフロントに直結し、インタラクティブなショッピング経験を提供する。

一方、HomeはGoogleが提携しているウォルマート、ターゲット、ホームデポの売り場と直結し、Amazonと同様のインタラクティブなショッピング経験を提供する。
そしてGoogleは、ボイス・コマース事業を単なるインタラクティブなショッピングに終わらせない可能性がある。


VR、AR技術で差別化か?

まず、考えられるのはVRまたはAR技術の活用だ。
ターゲットのデジタル部門を統括するマイク・マクナマラ氏は、「ターゲットとGoogleのチームは、ターゲットの店舗でスタイリッシュの、お手頃な価格の品物を見つける喜びを、デジタル的にリプレースする方法を開発しようとしています」というコメントをしている。

これは間違いなくVRまたはAR技術を活用し、バーチャルな店舗空間を疑似的にショッピングしてもらおうとしているのだろう。これが実現した暁には、Amazonにとっては大きな脅威となるに違いない。
Googleマップを構築したGoogleの実力を鑑みるに、ターゲットの、たかだか1,806店舗をバーチャルリアリティ化する事など何でもない。
HomeをベースにしたGoogleのバーチャルショッピング機能がリリースされる日は、それほど遠くないと筆者は予想している。


AmazonがGoogleの本業にとっての脅威に?

Googleがアメリカを代表する大手リテールチェーンと業務提携する事には別の理由もあるとする向きもある。
先日開催されたショップトークヨーロッパ会議で、GoogleのAR部門の責任者グレッグ・ジョーンズ氏が、注目すべき発言をしている。Amazonが、小売業一般の脅威になっているとしながら、AmazonはGoogleの本業であるサーチの領域でもGoogleの脅威になっていると指摘している。
なぜなら、最近の消費者は製品のサーチをする際は、GoogleではなくAmazonで最初にサーチする傾向が出てきたという。

Amazonでは個別の製品の情報が豊富で、特にユーザーレビューなどのリアルな情報が書き込まれている。
ことショッピングの領域においては、サーチで得られる情報の質としてはAmazonが秀でているといわざるを得ないだろう。

AmazonがGoogleの主戦場に進出してきたのであれば、Googleとしては黙って見ているわけにはいかない。
ショッピングとサーチの境界がなくなってきているのであれば、Googleとしてはショッピング領域へカウンターアタックを仕掛けるまでだろう。そして、Amazonが抱える情報を凌駕するべく、消費者の生の情報を囲い込もうとするだろう。

今回のGoogleとターゲットの業務提携拡大は、GoogleとAmazonの全面戦争の宣戦布告に等しい。
Amazonは、Googleと、すべてのリテールチェーン・ストアにとっての敵になりつつある。一方、Google連合を迎え撃つAmazonも、ホールフーズ・マーケットの買収が象徴するように、実店舗への進出を進めている。Googleと同じようにAmazonがリアル店舗と提携しないという保証はどこにもない。
いずれにせよ、GoogleとAmazonの巨人同士の戦争の行方を、我々消費者はしっかりと拝見させていただこう。


<参考・参照元>
Google is essentially building an anti-Amazon alliance, and Target is the latest to join - Recode
What is Google Home, how does it work, and when can you buy it? - Pocket-lint

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