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第4次産業革命で製造業はどう変わるのか?政府の「情報白書」から読み解く未来

世界中で取り組みが進む「第4次産業革命」。日本でも、「Society5.0」という構想を掲げ、スマート社会を実現しようとしている。製造業もスマートファクトリーの実現など、変革を求められているが製造業をはじめとした分野で、第4次産業革命への対応が遅れているという結果が、政府がまとめた「平成29年度情報白書」で明らかになった。果たして、取り残されることなく、ものづくりで世界をリードできるのだろうか。


国が定義する「第4次産業革命」と「Society5.0」とは?

「第4次産業革命」は、人工知能(AI)IoTなどによるデータの新しい活用方法が進み、これにより社会が大きく変わることをいう。
2016年1月、スイスのダボスで行われた第46回世界経済フォーラム(通称「ダボス会議」)で、初めて第4次産業革命について議論され、2017年の第47回でも、AIやロボット技術を軸に第4次産業革命をいかに進めるか話し合われた。
また、そこでは第4次産業革命に付随する、AIの発達による雇用への影響や情報格差をなくすための人材教育の必要性、インターネットを運用するために必要となる電力に関する課題についても議論された。

第4次産業革命は、機械化を実現した第1次産業革命、電力などを用いて大量生産を可能にした第2次産業革命、そして、インターネットによる情報化社会を実現した第3次産業革命につぐものとして、世界でも注目されている。

日本でも、第4次産業革命に対応する政策が打ち出されている。
これに関連する分野を伸ばすことで、約30兆円から40兆円の付加価値を作り出すことを目標としている。そして、それを実現するために、具体的に構想されているのが、「Society5.0」というものだ。日本は、このSociety5.0を、世界に先駆けて実現することを目指している。

Society5.0を実現するために、必要なことは、第4次産業革命で起こるIoTビッグデータAIロボットシェアリングエコノミーなどのイノベーションを、さまざまな分野に取り込むことが必要だ。

その分野は、流通小売交通医療・福祉、金融など挙げられるが、その中には製造・生産も入ってくる。
製造・生産の分野も、IoTやAIなどの技術を用いて、スマートファクトリー化を実現することが求められている。
ドイツの「インダストリー4.0」をはじめ、製造・生産現場も、大きな変革が始まっている。


日本の製造業のIT化はどこまで進んでいるか?

ちなみに、日本の製造業IT化は、どこまで進捗しているのだろうか。
特に、スマートファクトリー化に欠かせないIoTやAIへの投資状況は気になるところだ。これについて、平成29年度情報白書で調査結果がまとめられている。

情報白書では、日本とアメリカ、イギリス、ドイツが比較されている。その中で、浮き彫りになったことは、日本は第4次産業革命やIoTやAIなどの投資で遅れを取っているというものだ。

たとえば、第4次産業革命に対する取り組みの進捗状況では、日本の場合、半数近くの企業が「検討段階」と回答している。
一方で、海外の場合は半数以上の企業が「導入、もしくは基盤化を行っている」と回答している。もちろん、日本と海外企業の間で、検討や導入というフェーズに対して認識の違いがある可能性は考えられる。
しかし、この結果だけで判断すれば、日本企業の対応が遅れているといわざるをえない。


日本と世界、第4次産業革命に対するアクションの違いはどこにあるのか?

なぜ、日本企業は、第4次産業革命に対して動きが鈍いのか。ここでは、大きく分けて2つの理由が考えられる。

一つは、第4次産業革命のインパクトを理解できていないということだ。
IoTやAIに対する知識を深め、その影響が社会にどのようなインパクトを与えるか理解できていなければ、投資をしてまで対応しようとは考えない。情報白書では、この経済的なインパクトについても述べており、これについては、後ほど触れることとしよう。

もう一つの理由は、日本のものづくり企業が持つ保守的な発想だ。これまで、自分たちのやり方で成功し、それを現在でも引きずっているように見える。
費用対効果を重視するあまり、新しい技術を導入して、革新的な取り組みを行うという発想が薄いのかもしれない。

日本のこのような状況を尻目に、ドイツなどはインダストリー4.0で工場の設備を外部接続して、リモートで工場設備の稼働状況をチェックできるようにしている。
また、AIやIoTなどの技術を自社だけで確立しようとするのではなく、オープンイノベーションで他社と協業しながら進めようとしている。

もちろん、すべての海外企業が革新的なことにチャレンジしているわけではないだろう。
日本企業でも、トヨタのように絶え間なく、生産性の向上やオープンイノベーションを加速させるようとしている企業もある。
だが、全般的な視点で考えると、日本企業の動きは、これまでのやり方を踏襲し、失敗しないことを前提に進めているように思えてならないのだ。


「経済効果132兆円」2030年、製造業を取り巻く環境は大きく変化している

情報白書では、IoTやAIの活用が進展した場合の、経済成長シナリオを提示している。
その試算によると、2030年には実質GDPを132兆円押し上げる効果があると明らかにしている。第4次産業革命は、ただの技術革新だけにとどまらず、社会全体を大きく変えるものと述べている。

もちろん、これはあくまで予測であり、2030年にこのようになっているとは限らない。しかし、テクノロジーは、間違いなく急速に進化を続けるだろう。
それにキャッチアップした企業が、次世代で勝ち残る。これは、製造業でも、例外ではないだろう。


<参考・参照元>
総務省|平成29年版 情報通信白書|表紙
「第4次産業革命」に抵抗感? 調査で分かった日本の製造業の本音 (1/4) - MONOist(モノイスト)
「第4次産業革命」の経済効果は132兆円、どうする日本の製造業? (1/4) - MONOist(モノイスト)
みずほ情報総研 : 日本の製造業におけるスマート工場実現の課題

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