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アメリカの名門デパート、ボントン・ストアズの経営危機が予告するデパートの未来とは?

創業100年を超えるアメリカの名門デパートメントストアのボントン・ストアズが経営破綻の危機にある。6年連続の赤字を計上し、キャッシュの流出が続くボントンは、将来的な破産申し立てが噂されている。
AmazonなどのEコマースに押されるデパート業界の現状を伝えるとともに、デパート復活のための可能性を検証する。


苦境に立たされたボントン・ストアズ

意外に思われるかもしれないが、アメリカでは大恐慌から今日までの88年間で経営破綻したデパートメントストアは皆無なのだそうだ。
アメリカのデパートメントストアは長らく経営不振に苦しんで来たが、店舗閉鎖、人件費などのコスト削減、資産売却などで切り抜けてきた。しかし、長く続いたアメリカのデパートメントストアの不倒神話が終わりを告げる可能性が出て来た。
名門デパートメントストアのボントン・ストアズに、経営破綻の噂が流れているのである。

ボントン・ストアズ(以下ボントンと略す)は1854年設立、ペンシルベニア州ヨークに拠点を置く名門デパートメントストアだ。
イギリス英語で「ハイソサエティ」という意味のボントンは、設立当初より比較的高級品を扱うデパートとして消費者に認知されて来た。ボントンは現時点でペンシルベニア州、ミルウォーキー州を中心におよそ260店舗を運営している。

そのボントンだが、ここ6年程赤字経営が続いている。
2017年も第一四半期の売上が対前年比で7.6%低下し、4,490万ドル(2018年1月9日現在、日本円にして約50億7,900万円)の赤字を出した。第三四半期までの累計では1億3,540万ドル(約153億円)の赤字だ。
ボントンは2018年度内に少なくとも40店舗を閉鎖するとしているが、赤字経営から脱却できるかについては不透明である。


ライバルのJCペニー、メーシーズは奮戦

一方、ボントンのライバルのJCペニーメーシーズは奮戦している。
ボントンの売上が対前年比で7.6%低下する中、メーシーズの売上は対前年比で3.6%、JCペニーの売上も同1%と、それぞれの低下にとどめている。粗利率もボントンの35.8%に対し、メーシーズのそれは39.4%となっている。

専門家が指摘するのが、ボントンがリストラの一環として40もの店舗を閉鎖する事で、かえってJCペニーとメーシーズに客を与える事になるというものだ。両社ともボントンの客層とかぶっていて、行き場を失った買い物客が両社の店舗へ向かう可能性が高い。

また、JCペニーやメーシーズに比べ、ボントンが比較的小規模から中規模のショッピングモールに出店している点もボントン苦戦の理由とされる。
アメリカの消費者がより大きなショッピングモールへ引き寄せられていて、JCペニーやメーシーズを利用しているというのだ。アメリカではショッピングモールが減少しており、小規模のショッピングモールの淘汰が始まっている。
アメリカの消費トレンドの変化によって、ボントンの経営はもろに煽りを食った形となっているようだ。


店舗数は今後も減少へ

Amazonの台頭が象徴するように、Eコマースがリテールを脅かしている。
リテールの店舗で商品をチェックしてネットで購入する「ショールーミング」がトレンドとなり、リテールの経営を悪化させている。また、消費者全体がオムニチャネル志向となり、リアル店舗とネット店舗を相互に行き来しつつシームレスにショッピングする傾向がより強くなっている。

既に40店舗の閉鎖を決めたボントン以外にも、メーシーズが2016年に100店舗の閉鎖を決めている。また、シアーズも既に閉鎖を決めている265店舗に加え、新たに43店舗を閉鎖すると発表している。JCペニーも138店舗を閉鎖するとしている。
こうして見ると、アメリカのデパート業界は斜陽産業と化し、勝者がいないまま体力が尽きるまで消耗戦を続けているように見える。

その消耗戦に挑んでいくにあたり、自社所有物件が少なくリース負担が大きいとされるボントンが、他社に先駆けて弾切れの状態に陥ったとも見られる。
ボントンに残された売却可能資産はほとんどなく、手元の現金が少なくなっている。あるアナリストは、2018年度中にボントンが破産を申し立てる可能性を25%と見積もっている。


来るべきデパートの未来とは?

日本でもデパートの斜陽化が叫ばれている。特に地方都市のデパートの閉鎖が相次ぎ、デパート斜陽化の現実をリアルタイムで目撃させられている。
日本のデパートもアメリカのデパートも、このまま店舗閉鎖や統合などを繰り返し、必要最低限のサイズまで縮小してゆくのであろうか。

筆者の予想はイエスである。
現にアメリカではボントンを始め、JCペニー、メーシーズ、シアーズといったデパートが軒並み大きく店舗数を減らしている。特にミレニアル世代が主たる消費者層となる今後は、消費者のデパート離れがより進むと予想する。

一方で、消費者のオムニチャネル志向が強まると予想される。
今後、ウェブで情報を入手してリアル店舗でモノを買う、いわゆる「ウェブルーミング」が広がる事も予想され、リアル店舗としてのデパートが再浮上する可能性もあると見る。

特にウェブルーミングを行う消費者の72%が商品の比較をするために行うと答えており、ビューティーやコスメティックなどのアイテムのウェブルーミングの受け皿として活用される可能性が高い。
また、一部のリテールチェーンでVR、AR技術を使ったバーチャルリアリティショッピングの実験が行われているが、デパートでも同様のビジネスは展開可能だろう。
デパートが苦しい状況にあるのは間違いないが、希望が完全に失われたわけではない。
新しい時代の消費ニーズを捉え、各種の技術でイノベーションを起こしてゆけば、活路を開くことは十分に可能だと筆者は信じている。


<参考・参照元>
Coming Soon: The First Department Store Bankruptcy Since the Great Recession? -- The Motley Fool
Bon-Ton stores closing: Retailer to close 40 stores in 2018
Macy's, JCPenney, And Sears: Where's The Differentiation?
At 32 cents a share, how long can Bon-Ton survive? - Lehigh Valley Business Cycle
2017 just set the all-time record for store closings - Oct. 25, 2017
Webrooming Statistics for Online Retailers | ReadyCloud

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