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小売業のAI市場が2022年までに50億ドル市場に成長か?

2017年10月、アメリカの市場調査会社が、2022年までに全世界の小売業向けAI市場が50億ドル規模に成長すると予想したレポートを発表した。
小売業向けAI市場ではどの分野が有望なのか、どのようなアプリケーションが登場して来るのか、どの国が市場拡大をリードするのか等々、小売業におけるAI市場の今後をまとめてみた。


マーケッツ・アンド・マーケッツのレポート

アメリカの市場調査会社マーケッツ・アンド・マーケッツが、小売業のAI市場についての興味深いレポートを発表した。「小売業における人工知能:2020年までのグローバル予想」と題されたレポートは、2017年時点での全世界の小売業向けAI市場を9億9,360万ドル(2018年1月10日現在日本円にして約1,115億円)規模とした上で、年間38.3%の成長率で成長を続けると予想している。

リテールオートメーションなどが象徴するように、小売業は今後AIが普及する可能性が高い業界のひとつとされているが、本レポートでは、小売業向けAIの市場規模が5年間で5倍になる予想が示されたのである。
別の記事でアメリカのベンチャー企業が開発したリテールロボットをウォルマートが採用している事例を紹介したが、リテールロボットの実際の普及のトレンドと本レポートの予想とは、ベクトルが一致しているようである。


マシンラーニングとディープラーニング技術が市場拡大を牽引へ

AIのタイプによっては、マシンラーニングとディープラーニング技術が最大の市場シェアを獲得するとしている。
Amazonなどのネット店舗では、パーソナルレコメンデーションなどのマシンラーニングディープラーニング技術を使ったアプリケーションが既に多用されているが、リアル店舗でも同様のAI技術の利用が進むとしている。

マシンラーニングとディープラーニング技術がクラウドベースで提供されれば、スマホやタブレットなどを端末にした各種のアプリケーションの利用が進む事も予想される。タブレットを端末にして、画面を見ながら客にパーソナルレコメンデーションを行うといった活用が進むことだろう。
また、ディープラーニング型チャットボットを搭載したリテールロボットや、ビッグデータと連動したロボットコンシェルジェなどが登場する可能性もある。
小売業ではロジスティクスの領域でロボットの活用が始まっているが、将来的には小売りの現場で接客やサポートを行うリテールロボットの普及が本格化するかもしれない。


実店舗の経営効率化もディープラーニングで

マシンラーニングやディープラーニング技術はまた、店舗のオペレーションやバックオフィス業務のみならず、リアル店舗の経営にも関与してくるだろう。
具体的には、購買や在庫などの適正化、販売情報の活用など、経営効率を高めて利益を最大化するため、マシンラーニングやディープラーニング技術が使われるはずだ。
工場の購買プロセスをディープラーニング技術で最適化し、購買コストを下げるコンサルティングを行うベンチャー企業がスイスで誕生しているが、その小売りバージョンのような企業やアプリケーションが登場して来る事は十分に考えられる。

また、購買の領域のみならず、マシンラーニングやディープラーニング技術が経営の意思決定そのものにも関与してくる可能性も考えられる。
アリババのジャック・マー氏が、近未来におけるロボットCEOの登場を予言しているが、それの小売りバージョンが出現する可能性も低くない。

小売業の最終意思決定者のように当人の経験とスキルに大きく依存する職種は、マシンラーニングやディープラーニング技術との相性が良く、特に扱うデータが限りなくビッグデータ化した場合、ロボットCEOが人間よりも正しい判断を下す可能性すらある。
高度なマシンラーニングやディープラーニング技術を搭載したロボットCEOが登場する日は、それほど遠くないかも知れない。


北米市場が世界最大シェアを確保へ

本レポートはまた、エリアではアメリカとカナダを含む北米市場が世界最大のシェアを確保すると予想している。
これはAI技術のほとんどがアメリカで誕生し、そうした技術をベースにしたアプリケーションもほとんどがアメリカで開発され、そのユーザーもアメリカ企業が多いからである。
実際にアメリカの小売業界では、大手リテールチェーンのウォルマートなどが各種のAI技術の導入を始めている。

さらに、本レポートは、世界のAI市場を牽引する主要プレーヤーとして、マイクロソフト、IBM、Google、インテル、オラクル、センティエントテクノロジーズ、セールスフォース、Amazon Web Service、SAP、インベンタ・テクノロジーズ、サムスン、ナレーティブ・サイエンス、デイジー・インテリジェンスなどを挙げている。
ご覧のように、大半がアメリカ企業によって占められている。

ところで、本レポートには日本に関する記述がほとんどない。
エリアとしてアジア太平洋地区は挙げられているものの、特段日本についての記述はされていない。市場を牽引する主要プレーヤーの中にも日本企業は含まれてない。

小売業向けAI市場が今後成長する事は間違いないが、日本が置いて行かれるという懸念がないでもない。
小売業にAI技術を着実に導入し、世界をあっと驚かせるようなイノベーションを起こして欲しいと切に祈る次第である。


<参考・参照元>
Artificial Intelligence in Retail Market Worth 5,034.0 Million USD by 2022 - MarketWatch
「マシンラーニング(機械学習)」とは何か…4つの分類を解説 | ROBOTEER

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