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【小林製薬・藤城克也氏インタビュー】これからの時代はITを活用した企業だけが業績を上げていく

常に市場に新しいアイデアの商品を投入し続けている小林製薬。その発想はどのようにして生み出され、商品化されていくのだろうか。その鍵を握るのがITを活用した業務効率化だという。同社の業務改革センターセンター長・藤城克也氏に聞いた。

藤城克也氏は、小林製薬の業務改革センターにおいてIT部門と業務支援部門を統括している。
また、企業に向けた各種セミナーにも登壇し、豊富な知見をもとにした、ITの活用方法やイノベーションを起こす方法などを、積極的に発信しているビジネスキーマンでもある。

藤城氏は、ITを導入し成果を上げている多くの企業があるのに対し、まだ取組んでいない企業もあり、その差が歴然としているという。そして、2018年は間違いなく、差がさらに広がって行く年だと指摘する。ITの導入が遅れている企業は2018年の間に追いつかなければ、4、5年は遅れてしまう、と警告する。


ITのインパクトは無視できない

──藤城さんが率いる「業務改革センター」はどのような部署なのでしょうか?

業務改革センターには大きく二つの部門があります。ひとつはIT部門。これは小林製薬グループ全体のシステム管理と開発を担います。もう一つは業務支援部門。いわゆるシェアードサービスセンターです。

本社も含めたグループ全体の給与計算業務や経理業務、あるいは庶務業務などを一か所に集め、集中処理することによって効率化しましょう、ということに取組んでいます。そのため、業務改革センターとなっていますが、実態はまだまだ業務改善のレベルに近いといえます。

──IT部門と業務支援部門の業務の割合はどのようなものなのでしょうか?

8割がITですね。経営に与えるインパクトはITの方が多大です。下手をすると経営を揺るがしかねない事態が起こり、上手く行くと濡れ手に粟で売上が上がるかもしれない。それほどITは爆発力を持っています。

ITの活用は避けては通れない

──ITと業務支援の両方について伺いたいのですが、まずはITの方から。2018年のトレンドをどのようにお考えでしょうか?

2年ほど前からAIやビックデータ、IoTという言葉がバズワードとなっていましたが、2018年からは本格的にビジネスに入り込んでくるだろう、という感覚を持っています。

小林製薬では2017年から少しづつRPAを取り入れました。具体的には、経理などのバックオフィス部門で従来はExcel等を使って人手で行っていた作業を自動化したり、商品開発に関わる部門でインターネットから必要な情報を自動で取得すること等を行いました。
またAIに関してもベンチャー企業と共同で商品開発のアイデア創出に利用できないかと取り組みを始めました。2018年はこの活動の幅を広げて進めることで、時代に乗り遅れないようにしないといけない、と思います。

──時代に乗り遅れてしまう企業の課題は何でしょうか?

AIにしろRPAにしろ、あくまでもツール。活用するためにはその前に業務環境を整理しないといけません。その整理ができていない企業が多いように思います。例えば多くの企業で業務が属人化してしまっている。属人化した業務をAIやRPAに置き換えようとしても絶対に上手くは行きません。

トップから「うちもそろそろAIを」と言われたとき、いきなりAIを取り入れよう、とするのではなく、まず業務を標準化する必要があります。

──業務の標準化に取組んでいる企業は多いのではないですか?

まちまちではないでしょうか。まったく取組んでいない企業もあれば、相当に進んでいる企業もある。差があります。2018年はその差がさらに広がって行くでしょう。遅れている企業は2018年の間に追いついていないと、4、5年は遅れてしまうように思います。

──2018年はどの企業にとってもターニングポイントとなりそうですね。

AIやRPAは企業に入りつつあり、上手く行っている企業は成果を上げています。それが2018年は拡大して行くでしょう。
何億円もかけて取組んではいないけれど、数百万円レベルから少しづつ投資していた企業が技術のノウハウを蓄積したのが2017年。2018年はそこからさらに技術を進化させるでしょうね。

──先進的な取組を行っているのはどのような企業なのでしょうか?

機械系や製造業、電機や自動車などは先端です。小林製薬のような商品単価がひとつ100円、200円という企業ではIoTを取り入れるのは難しい。例えば商品にICチップを埋め込もうとしても、そのコストをどうするか? ICチップが1円だったとしても「だから価格が1円上がります」が許されない世界。やはり、単価が高い商品を扱っている企業が有利です。

──それでも、小林製薬では時代に乗り遅れまいと努力している?

製品にIoTを利用できなくとも、生産設備にIoTを活用してデータを取る、という程度では取組んでいます。先ほどのRPAは、バックオフィスの、言葉は悪いですが単純作業に導入して成果は上がっています。

また、AIは、詳しくは言えませんが、薬剤師が行っていたことをAIが代わって処方するとか、今までになかったような新しい効果効能を見つけるためにAIを活用するとか。そのようなことを今、ディープラーニングのベンチャー企業、クロスコンパスと組んで開発しているところです。

──成果は出そうですか?

まだまだです。時間はかかると思います。そのようなAIに投資してもリターンがあるとは限りません。上手くいかないかもしれない。経営者に「500万円を投資します」と言うと当然、リターンを求めます。けれど、それには回答できない。「すみません。500万円をどぶに捨てることになるかもしれない。でも、今やらないと時代に遅れてしまうのでやらせてください」と。そこでやる、やらないの判断が経営者に求められます。

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