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アメリカのFinTech企業の成長は大きな曲がり角に?レンディングクラブなどが苦境に喘ぐ

Lending Club、On Deckなど、アメリカFinTech企業の雄が危機に直面している。不祥事や業績不振により株価は下がり続けており、大きな曲がり角を迎えている。

注目を集めるFinTech企業だが、その状況は決して楽観できるものではない。
FinTech企業を取り巻く状況を踏まえ、今後FinTech企業が乗り越えるべき課題について考えたい。


Lending Club、On Deck、P2Pレンディング大手が苦しむ理由とは

2008年のリーマンショック以降に急成長を遂げ、2014年にはNYSEに上場してFinTech企業の代表格となったLending Club
P2Pレンディングという新たなジャンルを切り開いた同社だが、現在大きく苦しんでいる。

2016年には融資債権の不適切売却が発覚。CEOが辞任する事態にまで追い込まれた。
また、同業であるOn Deckも株価が低迷しており、大手金融機関のJPMorgan Chaseと戦略的提携を進めている。

P2Pレンディングの大手として成長したLending ClubとOn Deck。
両社の不振の背景にあるのは、資産に対する予想よりも高い損失率で、P2P債権の証券化も進んでいないことも重なり苦境に陥っているという。アメリカの大手銀行の消費者向け融資の損失率が低水準であるのとは対照的だ。
このように、市場環境の変化などもあり、アメリカではFinTech企業が苦しんでいる事例が散見されるようになっている。


アメリカでは、FinTech企業の創業や特許出願件数が減少

アメリカでは、FinTechの創業件数、特許出願件数にも陰りが見え始めている。
FinTech関連の起業件数は2012年、特許出願件数も2013年をピークに減少している。FinTechの主要な分野と言われるP2Pレンディング、決済、投資、保険などここ数年の動きを見ると、プレイヤーはひととおり出揃った感もある。

しかし、それは感覚的な問題ではなく、現実的な問題として捉える必要があるかもしれない。FinTech先進国として世界をリードしてきたアメリカ。
この状況は各国のFinTech企業にも大きな影響を与えることになるだろう。


FinTech企業が直面する危機とは

しかし、なぜFinTech企業は、曲がり角を迎えているのだろうか。それには、大きく分けて2つの要因がある。

まず、挙げられるのが、各分野でプレイヤーが出揃ってきたため、そこで競争が起きているということである。
P2Pレンディングや決済の分野は、特にプレイヤーが多い。また、この中には、金融機関と連携したサービスも登場している。
例えば、ゴールドマンサックスは、P2PレンディングMarcusを立ち上げており、JP Morgan ChaseはQRコードを用いたモバイル決済サービス・Chase Payを開始して普及に努めている。

このように競合の出現は、これまでFinTechの老舗企業にとって脅威となりつつある。
今後、この競争はさらに激しさを増すだろう。

テック系企業のアマゾンやグーグル、Facebookが金融業に参入すれば、その技術やビッグデータを背景にP2Pレンディングや決済、ロボアドによる金融商品の販売など展開することが予想される。
まさに、金融の世界は大競争時代に突入することになるだろう。

もう一つは、規制への対応だ。
FinTech企業もこの規制への対応は今後強く求められることだろう。既存の金融機関が莫大な費用をかけて規制に対応しているように、FinTech企業も同じように体制を整える必要があるかもしれない。
そうなると、サービスの価格をセールスポイントにしていた企業は、その優位性を失うことになる。規制への対応は、FinTech企業にとって重くのしかかることになるだろう。


アメリカだけではない、FinTech企業の課題とは

実際、中国では、詐欺や不祥事などを受け、P2Pレンディングに規制がかかっている。
これまで急速に伸びていたこの分野も陰りが見え始めている。アリババやテンセントを中心にFinTechサービスで世界の覇権を握ろうとする中国でさえ、このような状況に陥っている。

競合との差別化、規制への対応、FinTech企業は今後これらの課題を乗り越えることが求められる。
海外の状況を受け、日本のFinTech企業もその対応を今から念頭に置いておく必要があるだろう。
社会を、そして私たちの生活を変えるであろうFinTech。その未来は、決してバラ色というわけではないようだ。


<参考・参照元>
レンディングクラブの悲哀に見る米ノンバンク系ブームの陰り | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
変化するFinTech ビジネス - みずほ総合研究所
P2Pレンディングは前途多難? レンディングクラブを追うFinTechスタートアップが語る |ビジネス+IT
Fin Techの中核を占めるマーケットプレース・レンディング
米国におけるフィンテックに関する取り組みの現状
【Focus】日本に求められる FinTech の進化 - みずほ銀行
第二のサブプライム問題にテック業界が関係するかもしれない理由 | TechCrunch Japan
中国のP2Pレンディング・プラットフォーム最新動向 - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

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