BUSINESS

ビジネス

FinTech市場でグローバルリーダーの地位を狙え!中国、シンガポール、アジアで覇権を握るのは?

世界で激しい競争が起きているFinTech。アメリカ、イギリスなどが先行する中で、徐々に台頭しているのがアジア勢だ。その中でも、シンガポールやインドが自国の強みを活かし、存在感を示している。
国内でFinTechサービスの展開が進んでいる中国も含め、アジアのFinTech は大競争時代に突入することが予想される。


シンガポールが描く、FinTechシティ構想とは

アジアの金融街の一つとして知られるシンガポール。そのシンガポールは、FinTechでも世界的な地位を確保しようと官民一体となって動いている。

その成果は、すでに数字として表れはじめている。ジェトロの調査によれば、およそ3年でシンガポールに拠点を構えるFinTech企業は20社から320社まで増加。FinTechの一大拠点になるべくして打った施策が功を奏していると考えていいだろう。
シンガポール政府は実際どのような施策を打ったのだろうか。シンガポール通貨金融庁(MAS)は、2015年8月に新設した「フィンテック・アンド・イノベーション・グループ(以下、FTIG)」を新設し、そこが中心となってフィンテック導入支援や関連法を整備している。

特に、「レギュラトリー・サンドボックス」を制度化したのは、大きな成果ではないだろうか。
レギュラトリー・サンドボックスとは、フィンテックの実証実験が行えるよう、ある条件下で一時的に関連法規制を緩和する制度だ。シンガポールは、アジアで初めてレギュラトリー・サンドボックスを導入した。

このようなシンガポール政府の積極的な姿勢が他国の金融機関などにとっても魅力的に映る。
シンガポールに拠点を置く金融機関はおよそ1,200社あるが、特に外資系金融機関のFinTech関連事業への投資が加速している。また、政府もそれに応えようと、シンガポール国内にイノベーションセンターやR&Dセンターを設立した外資系金融機関にインセンティブを付与している。

日本からは、三菱UFJフィナンシャルグループがR&D拠点を設置している。
このような背景もあり、シンガポールではFinTech関連企業を集めた大規模なイベント「Singapore FinTech Festival」を開催している。日本でいうなら東京ビッグサイトなどで行う展示会に近いものだが、そこにはアジアを中心に世界から企業が集まってくる。

FinTechで盛り上がりを見せるシンガポール。しかし、アジアでFinTech が熱いのはシンガポールだけではない。IT大国に成長したインドも、その高い技術力をもとに FinTech が注目されている。


IT技術を活かしインドでもFinTechが盛り上がり

「高額紙幣の利用を完全に廃止」
2016年11月、インド政府はこの発表から数時間で高額紙幣の利用を完全に廃止した。この方針に、決済の9割が現金というインド国内は大混乱となった。
また、世界でもこの動向が報道され、大きな注目を集めた。

この高額紙幣廃止の決定は、不正資金の撲滅という目的以外に、経済をデジタル化させたいというインド政府の思惑もあったといわれている。
特に、キャッシュレス社会が実現すれば、安全性・利便性の向上、取引範囲の拡大以外に、政府や金融機関が紙幣を管理するための巨額のコストを削減が期待される。

また、デジタル化が実現されることで恩恵を受けるのは政府や金融機関に限らない。銀行口座を持てなかった農村部の貧困層が、金融サービスを受けられるようになる。
インド政府が開始した国民IDシステム「アドハー」によって指紋で本人証明も可能になっていることから、これと紐づけることによってFinTechサービスを展開しやすくなっている。
これにより、数億人のFinTech市場が新たなに生まれることが予想される。

およそ13億人の人口を抱えるといわれているインド。その巨大な市場を背景に、巨大なFinTech企業が誕生するかもしれない。


アジアのFinTechは中国が先行か

アジアのFinTech は、これまで中国がアリババ、テンセント傘下にある金融グループの存在によってリードしてきた感がある。P2Pレンディングの普及率など、他国と比べて頭一つ抜けている。
しかし、中国は外貨規制などが厳しく、金融業を行う上で制限が生まれてしまう。
また、ビットコインをはじめ仮想通貨の取引も停止しており、人民元からのキャピタルフライトにつながるものは徹底的に排除しようとする動きがある。

国内で大きく発展してきた中国FinTechだが、このような事情を踏まえると今後どこまで伸びるか、特に海外市場で受け入れられるか疑問が残るのではないか。
ひょっとすると、中国は人民元をデジタル化して、国外に広めようとするかもしれない。しかし、実現のハードルは高いといわざるを得ないだろう。


日本のFinTechがアジアで存在感を示すことはできるのか

盛り上がりを見せるアジアのFinTech。しかし、残念ながらそこに日本の名前が出てくることはほとんどない。
アジアの中で存在感を示すことができず、現状は苦しい状況にあると言わざるを得ない。決済の電子化も進まず、経済のデジタル化でも大きく出遅れている。FinTech企業が育つ土壌もなかなかできない。

また、海外企業も日本への進出は二の次という状況にあるようだ。言語や法規制の問題もあり、ビジネスを展開するにはハードルが高い。
日本でも改正銀行法などFinTechが進む環境を整えようと取り組みは進められているものの、他の国々はこれ以上のスピード感で進めようとしている。日本のFinTechはアジアに、そして世界に存在感を示すことができるのか。
2018年は正念場の一年となるかもしれない。


<参考・参照元>
イスラエルのエコシステム
シンガポール概況と 日系企業の進出動向 - ジェトロ
シンガポール - ジェトロ
日本人が知らないフィンテック大国の実像 | 金融業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
日本をスルーするフィンテック企業の本音 | 金融業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
「デジタル・ルピー」へのカウントダウン 新しいタイプのデジタル通貨の誕生か? | MUFG Innovation Hub

あわせて読みたい記事!