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シリコンバレーから生まれた証券会社・ロビンフッドが取引手数料無料で成長を続ける

シリコンバレーに拠点を置くネット証券会社ロビンフッドが成長している。証券取引手数料無料を謳い、急速にユーザーを増やす同社の時価総額は13億ドルに達し、複数のベンチャーキャピタルから1億7,600万ドルの資金を集めている。

ロビンフッドとはどのような会社か、同社のビジネスモデルとともに紹介する。


シリコンバレーから生まれた証券会社

シリコンバレーに拠点を置くロビンフッドという証券会社がある。ロビンフッドは株式やETFなどの金融商品の売買手数料無料とし、現在ユーザーを大幅に増やしている。
2013年設立の同社はこれまでに4回のラウンドのファイナンスを行い、総額で1億7,600万ドル(2018年3月6日現在、日本円にして約187億円)もの資金を集めている。ベンチャーキャピタルなどの投資家による同社の評価は非常に高く、同社の時価総額は13億ドル(約1,382憶円)に達している。

改めて言及するまでもないが、一般的に証券の売買は証券会社を通して行うと手数料がとられる。
最近のアメリカではオンラインで売買するネット証券が一般的になってきているが、コストの安さを謳うネット証券でも取引ごとに7ドルから10ドル程度の手数料がかかる。
特に短期で頻繁に売買すると手数料がかさみ、投資家にとって少なくない負担となる。
ところが、ロビンフッドを通して売買すると手数料が無料だというのだ。個人投資家を中心に一斉にロビンフッドへマイグレートしたとしても不思議ではないだろう。


ロビンフッドのビジネスモデル

売買手数料無料を謳うロビンフッドだが、同社のビジネスモデルはどのようなものだろうか。
まず、同社で株式を売買するには、同社の専用アプリをスマホにインストールする必要がある。アプリの通常バージョンは手数料無料で取引が出来るが、売買資金を口座に入金し、その確認に3営業日が必要とされている。

一方で、同社はロビンフッド・ゴールドオプションというプレミアプランも用意していて、月に6ドルから15ドルの会費を支払うと入金確認期間が必要なくなるほか、口座残高の最大二倍までの信用取引が可能になる(会費は口座残高に応じて決まる)。このロビンフッド・ゴールドオプションが、同社の主な収入源となっている。

基本的な機能を無料で使わせ、一定のオプションを求めるユーザーには課金するというPay as you goと呼ばれるビジネスモデルだが、ロビンフッドのビジネスモデルは、まさにそれの優れたお手本となっているようだ。
なお、関係者によると、ロビンフッド・ゴールドオプションは当初期待されていたよりも売れていて、同社の売上を「火にガソリンをふりかけた状態」にしているそうだ。


既存の証券会社へのインパクト

ところで、ロビンフッドの既存の証券会社へのインパクトは、相当なものだろう。

ロビンフッドの快進撃を受け、アメリカの大手証券会社のチャールズ・シュワブは、これまでに売買手数料の値下げを余儀なくされたという。
チャールズ・シュワブの手数料値下げを受け、ロビンフッドは歓迎の意を示し、「手数料を削減するとともに、最低残高1,000ドルの制度も廃止する事を期待します。売買手数料は、税金のように、一方的に課金される不条理なものです。金融市場への参入を阻んでいます」とコメントしている。

ロビンフッドの躍進は既存の証券会社に加え、オンライントレーディング専用のネット証券へのインパクトも大きいだろう。
Eトレード証券なども、現在の取引手数料7.99ドルから9.99ドルを値下げせざるを得なくなる可能性が高いと関係者は指摘している。最低残高制度についても、減額か廃止への圧力が高まる可能性が高いだろう。


リーンスタートアップ、今後の展望

既存のネット証券よりもさらに低いオペレーションコストをもって、ロビンフッドは売買手数料無料を実現している。
ローコストでオペレーションを行うスタートアップ企業をリーンスタートアップと呼ぶが、ロビンフッドは証券取引という世界にリーンスタートアップとして参入し、古参企業の市場と顧客を奪取している。そんなロビンフッドの快進撃が今後も続く事は間違いないだろう。
ある報道によると、ロビンフッドの2017年4月時点のユーザー数は200万人に達し、毎月14万人ずつ数を増やし続けているという。

同社のビジネスモデルは、従来の証券会社のものとは明らかに違う。
同社のビジネスモデルについてロビンフッドの共同創業者のバイジュ・バット氏は、「今まで金融業界に搾取されていた手数料という資金を、平均的なアメリカ国民へ還元する事なのです。私自身がこのシステムを提供していることを、非常に誇りに思っています」と、コメントしている。

お金がない金融弱者に金融市場へのアクセスを与えたかったという同氏は典型的なミレニアル世代だが、ロビンフッドの躍進は、アメリカのエスタブリッシュメントに対するミレニアル世代の反乱を象徴しているのかもしれない。
持てる者と持たざる者、富める者と貧しい者との格差と分断が広がる今のアメリカで、持たざる者による静かなリベリオンとして目に映るのは、多分筆者だけではないはずだ。

ロビンフッドが展開している「富の弱者への再配分型ビジネス」は今後、証券以外にも波及する可能性が高い。特に同じ金融業界に属する銀行や保険などの領域で登場して来る可能性が高いと予想する。
ロビンフッドの登場は、金融業界の新たな革命の始まりに過ぎないと、筆者は密かに確信している。


<参考・参照元>
Robinhood | Crunchbase
Robinhood stock trading app valued at $1.3 billion with big raise from DST | TechCrunch
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