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アマゾンが、インシュアテック市場に本格進出か? 保険業界は戦々恐々

Eコマース大手のアマゾン(Amazon)がインシュアテック(Insurtech)ビジネスへ進出するという噂が流れている。
その噂に既存の保険会社は戦々恐々だという。
Amazonの保険業界参入を、彼らはなぜ恐れているのか。Amazonの保険業界参入により、保険の流通はどのように変わる可能性があるのか。

アマゾンのインドのインシュアテック・ビジネスへの投資とあわせて紹介する。


アマゾン・プロテクトで保険ビジネスは既に開始


Eコマースの巨人・アマゾンがインシュアテック・ビジネスへ参入すると噂されている。
書籍の流通から始まり、これまでに多くの業界の流通に革命をもたらせてきたアマゾンが、ついに保険業界に進出するというのだ。

ところで、関係者には知られた話だが、実はアマゾンは既に“アマゾン・プロテクト”という保険商品を扱っている。
アマゾン・プロテクトとは、家電などのメーカー保証を超えて故障や盗難などに備えるための保険だ。対象は洗濯機や冷蔵庫などの白物家電から、スマートフォン、テレビ、キッチン用品まで多岐に渡り、購入者はアマゾンで買い物して決済する際にオプションで購入することが可能である。
多くの人は、アマゾンプロテクトの存在を知らないまま購入しているのではないだろうか。

今回噂されている保険というのは、一般的な損害保険や生命保険などを指す。
アマゾンが保険の取り扱いを本格的に開始するのでは、ということなのだ。


Alexaを使って保険商品を販売か?

一部の関係者が指摘するのは、アマゾンが保険の取り扱いを開始した場合においてのた対話型人工知能「Alexa」を使用する可能性である。
ソフトバンクが出資したインシュアテック・スタートアップ企業の「レモネード」は、すでに保険料の計算や保険金の支払い業務をAIに行わせて、従来型の保険会社よりも効率的な経営を実現している。

アマゾンはすでにAlexaというAIを所持しており、しかもアマゾンは「Amazon Echo」などのスマートスピーカーの販売にも力を入れている。
例えばAmazon Echoをインターフェースにして、ユーザーがAlexaと対話ベースで保険を購入出来るようになれば、多くの社員を抱えた既存の保険会社にとっては大きな脅威となるだろう。
また、スマートフォンにAlexaベースのアプリをインストールさせ、チャットボットと対話をさせながら保険を購入させるといった事も可能だろう。

Alexaをベースにしたチャットボットは、既に銀行などの金融機関によって広く使われ始めている。チャットボット普及の兆しは、保険の領域においても鮮明になりつつある。
パソコン、スマホ、スマートスピーカーなどをインターフェースに、アマゾンは独自でインシュアテック・ビジネスを立ち上げるリソースを既に十分過ぎるほど持っているのだ。


商品ジャンルは自動車保険と健康保険か?

アマゾンのインシュアテック・ビジネス参入の噂を受け、実際のところ、保険業界はかなり疑心暗鬼になっているようだ。
専門誌インシュアランス・ビジネス・マガジンはアマゾン・インシュアランスというウェブサイトの存在を確認したとしているが、その取扱商品として自動車保険と医療保険のカテゴリが掲載されているとしている。
いずれもチャットボットが得意としそうなカテゴリだが、保険業界関係者の狼狽ぶりが目に浮かぶ。

アマゾンのインシュアテック・ビジネス参入について、ある業界アナリストは、「アマゾンは消費者ニーズを、その中核でとらえるのが上手いというポジティブな評価を獲得してきました。そして、それは保険業界が長年にわたって苦手としてきたことでもあります。不祥事が続いた今の時代は特にそうです」とコメントしている。
業界の中にはグレーな部分があり、それをアマゾンが可視化することによって顧客と市場を一気に奪われてしまう。アナリストのコメントからはそうした悲壮感が漂ってくる。組織の規模が大きければ大きいほど、悲壮感の程度が高くなるのかもしれない。


既存の保険会社は戦々恐々

いずれにせよ、アマゾンが保険業界に参入することはもはや既定路線だろう。
アマゾンは先日、インドのインシュアテック企業「Acko」に1,570万ドル(2018年3月14日現在、日本円にして約16億7,200万円)出資し、関連会社化している。アマゾンはAckoのディストリビューターとして機能し、インド国内でAckoの保険商品の販売を開始するという。そして、関係者の多くが、この事例がグローバル化へ向けたパイロットケースになると見ている。

既存の保険会社が恐れるものはいくつかあるが、その最大のものの1つはアマゾンが持つ消費者のビッグデータだろう。
アマゾンは既にユーザーのビッグデータを様々な用途で活用し、自社の売上を拡大させるエンジンにしている。アマゾンが保険の販売を開始した場合、保険の販売にもビッグデータを活用するのは間違いない。
その場合、既存の保険会社では提供出来ないようなレコメンデーションや、商品の最適化といったものを武器に差別化してくるだろう。

当面は、アマゾンはあくまでも保険を販売するチャネルとして機能し、保険商品の開発などは既存の保険会社に行わせるだろう。
しかし、保険の販売をアマゾンが行う事で業界全体の流通コストが下がり、既存の保険会社の利益に影響を与える可能性はある。その場合、レモネードなどのようなオンライン専用保険会社がコスト的に有利になり、アマゾンとオンライン専用保険会社がウィンウィンの関係を結びながら既存の保険会社をリプレースする可能性もある。

アマゾンが保険業界へ参入する事を既存の保険会社が恐れている事の背景には、彼ら自身彼らのオペレーションが真に効率的ではない事をよくわかっているという事実があるように見える。
業界関係者が指摘したように、彼ら自身、消費者ニーズの中角を捉えきれていないからではないか。アマゾンの保険業界参入のニュースを聞いて、ふとそう思った。


<参考・参照元>
Amazon considers entering insurtech marke
Amazon pushes further into insurance with its latest investment - Business Insider

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