BUSINESS

ビジネス

日本のキャッシュレス化への転機になるか?クレジットカード会社のフィンテックへの対応

普段使っているクレジットカードが、将来フィンテックの発展に大きく関連してくるかもしれない。

経済産業省がまとめた「クレジットカード利用にかかわるAPI連携に関する検討会の中間取りまとめ資料」の内容はそんな期待を抱かせるものだった。
銀行は改正銀行法の施行に伴いオープンAPIへの対応を進める中、クレジットカードも同様にオープンイノベーションへ舵を切ることができるか。


クレジットカード会社とフィンテック企業がオープンAPIで連携可能に!?

クレジットカードとフィンテックの連携が今後促進されるかもしれない。
その第一歩として、2017年6月に経済産業省が「クレジットカード利用にかかわるAPI連携に関する検討会の中間取りまとめ資料」を提示した。電子マネーなどにより、決済の電子化が進んでいるとはいえ、日本の電子決済比率は低いままだ。現金主義の傾向はまだ続いており、電子決済比率を4割まで高めたい政府としては、この状況は打破したいところである。

そのためにも、キャッシュレス決済の利便性を高めるだけでなく、周辺サービスとの連携を強め、企業側はその購買データをビッグデータとして活用して、新たな製品・サービスにつながる働きが必要となるであろう。

そして、その実現に向けてクレジットカードとフィンテック企業との連携が重要となる。この両者が連携することで、後述する新たなサービスの創出が予想されるのだ。
企業にとっても、決済が円滑になることで、消費者の購買意欲が高まり、ビジネスの拡大が期待できるだろう。


ファイナンスのテクノロジー化を牽引してきたクレジットカード会社

もともと、金融とテクノロジーは切っても切り離せない関係だった。
クレジットカード会社もそうしたテクノロジーの活用には積極的で、カードの不正利用を検知したり、決済が確実に行われるようシステムの開発を進めたりしてきた。

比較的新しい事例として挙げられるのは、三井住友カード株式会社と米Dynamics Inc.が展開を進めている、ロック機能付きクレジットカードである。
これはカード番号の一部が非表示となっており、カードに液晶のタッチパネル式のボタンが搭載されている。利用する前にパスワードを入力すると液晶に隠された番号が表示され、決済が行えるという仕組みだ。
これにより、カードが盗難されても、不正に利用される危険性が低くなる。

このように、クレジットカード会社では、その安全性や決済の確実性を高めるための開発が進められている。
ただし、これらの優れた技術もほとんどクレジットカード会社単独での展開だ。そのため、他者との互換性がなく不便な面が出現することもある。また、時代の変化が激しい現代において、自社単独で技術を確立していくことは、競争についていけなくなるというリスクもはらんでいる。


電子決済サービスで欠かせないクレジットカードとのサービス連携

こうした背景もあり、クレジットカード会社とフィンテック企業の連携によるオープンイノベーションを促進しようというのが中間取りまとめ資料の主な内容の一つだ。
電子決済もクレジットカードだけでなく、スマートフォン端末やウェアラブル端末でも可能となっている。このような電子決済サービス企業と連携することで、クレジットカード会社も新たなビジネスチャンス創出につなげることができるかもしれない。

フィンテックと連携することで、クレジットカードがより利用されやすいものになる可能性も高い。
例えば、クレジットカードの利用が進まない理由の一つとして、想定していた以上にクレジットカードカードを使ってしまい、請求額が高額になってしまうのではないかという声がある。
それに対して、家計簿アプリなど個人資産管理ソフトを提供しているフィンテック企業とクレジットカード会社が連携すれば、その利用金額をリアルタイムで把握したり、上限金額をあらかじめ設定したりということも可能だろう。


日本で2億6,000万枚発行も利用率18%、クレジットカード利用の課題

このように、クレジットカードとフィンテックの融合は、利用率の低さに課題を抱えるクレジットカード会社にとっても大きいだろう。日本では、2億6,000万枚のクレジットカードが発行されているといわれ、国民1人あたり2枚以上持っていることになる。
しかし、実際に利用されているのはわずか18%にとどまっている。
日本の現金文化が大きな原因とも考えられるが、クレジットカードの利用価値を感じられないというネックもあるのではないだろうか。
特に、店頭で購入する際はそもそもクレジットカードが利用できないケースもあるなどの制限がついていることも事実だ。

これから、ECなどがさらに発達して身近なものになると、決済手続きは必要不可欠なものとなる。
しかし、その都度クレジットカード情報を入力して決済をするのはユーザーにとって負担となりかねない。クレジットカードの必要性は今後ますます高まるだろう。その時に、どれだけのユーザビリティを提供できるのか。
利用率向上に向けてクレジットカード会社のスタンスが問われることとなるかもしれない。


<参考・参照元>
「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携に関する検討会」の中間取りまとめを行いました(METI/経済産業省)
「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携に関する検討会」中間取りまとめ
クレジットカードにフィンテックの波は押し寄せるか
フィンテックは伝統的金融機関にどう変化をもたらすか : 富士通総研
三井住友カード株式会社 鈴木正俊氏×株式会社野村総合研究所 楠 真
三井住友カードが世界初「ロック機能付きクレジットカード」を発表。世界で最もセキュリティが高いカードになる? | ライフハッカー[日本版]

あわせて読みたい記事!