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楽天が掲げる独自配送網構想は、EC業界でどんなインパクトを与えるか

ウォルマートとの提携で世間の注目を集めた楽天。その楽天が、2018年1月に独自の配送網を築くと発表した。

ECビジネスの根幹にかかわる物流。市場拡大が見込まれる中で、楽天は最新のテクノロジーを活用しつつどのような動きを見せるのか?そして、巨人・アマゾンの動きに対抗することができるのか。


楽天が掲げる独自の配送網の概要とは

2018年1月30日、楽天は自社のカンファレンスで、2年以内に独自の物流ネットワークを構築する方向性を示した。
最新テクノロジーを活用することで出店企業の物流コストを削減。さらに、EC利用者のユーザビリティを高めるために、配達方法や受取場所も多様化するため外部企業との連携を強めるという。

すでに、大手私鉄の配送子会社とも、沿線のラストワンマイルの配送については話を進めているようだ。
また、関東2拠点、関西1拠点の物流倉庫を北は北海道、南は九州まで10拠点に拡大することも発表している。ユーザーは、2018年から全国2万カ所にある郵便局で荷物の受け取りが可能となっている。
楽天グループは2017年末、第4の携帯事業者として申請するのではないかとニュースにもなった。

グループの発展に向けて積極的な姿勢を打ち出しており、今回の独自配送網の構築もその一つといえそうだ。


AI、ドローンなど最新テクノロジーを積極活用

楽天は独自配送網の構築にあたり、AIの活用を発表している。AIにより最適な輸送経路や正確な販売予測に裏打ちされたモールに対する在庫管理支援を実施することで、配送網を他社よりも圧倒的に効率化しようと目論んでいるようだ。
また、新たな物流拠点の活用、配送会社の選定などもAIを活用する分野になるのではないか。

最新テクノロジーの活用は、AIだけではない。輸送手段としてトラックだけでなく、ドローンの活用も検討を進めている。
楽天ドローンと名付けられたこのサービスは、福島県南相馬市で実証実験を開始。今後、その範囲をさらに広げていくという。

国は2020年までにドローンを活用した物流を都市部でも本格化させようとしている。
まだまだ規制も多いが、楽天はそこを見据えて、実証実験を進めている。このように、楽天が最新テクノロジーを駆使しながら独自配送網を築こうとしているのには、2017年に話題になった物流クライシスの影響、そして日本市場で最大のライバルとなっているアマゾンへの対抗が背景にある。

◾️楽天ドローンへの取材記事はこちら
【インタビュー】地上150メートルの空域を開拓!楽天ドローンが目指す物流革命

巨人・アマゾンはどのように配送網を築いているのか

2017年に発生した物流クライシス。その当事者の1社であるアマゾンも配送網の強化に余念がない。
ヤマト運輸がアマゾン向けの荷物取扱量を減らしたものの、その代わりに地域限定でアマゾンの配送を請け負う「デリバリープロバイダー」と位置付ける配送会社と矢継ぎ早に契約。アマゾンプライム会員向けの配送サービスを堅持している。
今後アマゾンは、全国各地にある中小の配送会社と手を組み、全国均一で配送サービスを展開できるようにするだろう。

また、海外におけるアマゾンは、さらに積極的な動きを見せる。ドローンを活用した配送を試験的に導入するなど先進的なシステムを導入している。
また、直近で進出したインドではすでに市場シェア12.1%を獲得。その基盤をさらに盤石にすべく物流網への投資も積極的に行うとしている。ECサービスの根幹を担う物流、これをサードパーティに依存するだけでなく、自社で担えるものをやっていくというのがスタンダードになるかもしれない。


物流を制する者がECを制する

ジェトロの調査によれば、日本におけるECのシェアは、楽天とアマゾンで二分している。
両社のシェアは各々20%ほどで、これをどこまで拡大できるかが大きな鍵になるだろう。そんな中、楽天はウォルマートと提携を行い、世界戦略を加速させる動きもある。ただ、この時にもキーになるのは物流の問題だろう。

楽天がウォルマートと組む狙いに、販売拡大だけでなく、ウォルマートが持つ物流網を利用しようと考えているのかもしれない。
日本国内のEC市場は、2016年に15兆円を突破した。2010年が約7.8兆円だったことを考えると、およそ2倍に増加している。
特に、スマートフォンの普及が取引金額を大きく押し上げているという。この流れが続けば、今後ECの市場規模は2020年に20兆円を突破してもおかしくないかもしれない。
ただ、この流れに水を差さないためにも、利用者に確実に商品を届ける物流は改善が求められるだろう。

そして、これを解決するためには、EC事業者だけの問題と捉えず、社会的な問題として官民一体となって規制緩和などを進める必要があるのではないだろうか。
ECの存在感は今後ますます高まっていくことだろう。その際に手遅れにならないことを願うばかりだ。


<参考・参照元>
 楽天/2年で独自の配送網構築/注文から配達までAIが最適化 | EC | 日本ネット経済
ソフトバンクが作るEC包囲網、アマゾンと楽天に挑む秘策はあるか? —— アパレルでストライプとタッグ | BUSINESS INSIDER JAPAN
第Ⅲ章 新たなビジネスモデルとしてのECと人材 - ジェトロ
報告書 - 経済産業省
楽天・三木谷社長が語る「覚悟」「超挑戦」とは? 独自配送ネットワークなど2018年の方針まとめ | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ | ネットショップ担当者フォーラム
アマゾンの物流を担う新興勢力の素顔:日経ビジネスオンライン

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