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アマゾン(Amazon)がネットスーパー参入へ!ホールフーズの無料宅配サービスの実験を開始

アマゾン(Amazon)が2017年に買収したホールフーズ・マーケットの無料宅配サービスの実験を開始する。
Amazonのプライムメンバー向けにダラス、シンシナティなどの4都市で行われるという実験は、巨大な食品・生鮮食料品市場への参入を示唆する興味深い取組みと言える。

アメリカ版ネットスーパーというべきAmazonの新たな動きを紹介する。


全米4都市で始まった無料宅配サービス

Amazonがホールフーズ・マーケットの無料宅配サービスの実証実験を開始する。
対象となるのはホールフーズのオースティン店、シンシナティ店、ダラス店、バージニアビーチ店の4店。朝8時から夜10時までの時間帯で、年会費99ドルが必要なAmazonのプライムメンバーであることが条件だ。

それぞれの店舗内のすべてのアイテムが対象ではないものの、肉、魚、野菜などの生鮮食料品を含む多くのものが配達可能となる。配達時間は注文から2時間以内としているが、7.99ドルを支払うと1時間以内配達のオプションを利用することが可能となる。

日本でも最近ネットスーパーが大分一般的になってきたが、Amazonがホールフーズの店舗を使ってネットスーパー事業を開始したとイメージすればわかりやすいだろう。
2017年のAmazonによるホールフーズ買収は世界的な大ニュースとなったが、Amazonによるホールフーズの戦略的活用は確実に進んでいる。Amazonはこのネットスーパー事業を、2018年のうちに全米のすべてのエリアに拡大するとしている。


既存の小売店は戦々恐々

このAmazonのネットスーパー事業開始について、既存の小売店は戦々恐々としているようだ。
ただでさえ少ないリテール業界の利益率が、Amazonの参入によってますます縮小する可能性が考えられるからである。特にホールフーズの売上はスーパーマーケット業界第5位の大きさで、そのインパクトは小さくない。

私事で恐縮だが、筆者も日常的にネットスーパーを使う事が当たり前のようになってきた。
一部のネットスーパーは送料無料で、品揃えも品質も悪くない。ネットスーパーを使う比重が増えると、その分だけ既存のスーパーを利用しなくなった。ネットで生鮮食料品を購入する事が筆者にとっての「新たな日常」となったわけだが、Amazonは明らかにこうしたシフトをアメリカの一般の家庭で起こさせようとしている。
Amazonのウェブサイト、正しくはAmazonフレッシュのウェブサイトをインターフェースに、多くのアメリカ人が生鮮食料品を注文することが「新たな日常」となるかもしれない。


Amazonが6,000億ドル市場へ参入か?

Amazonのネットスーパー事業開始は、Amazonによる6,000億ドル(2018年4月11日現在日本円にして約64兆円)規模という巨大な食料品・生鮮食料品販売市場への参入と見る向きが少なくない。
Amazonが得意とする書籍、玩具、家電製品などに比べ、食品は消費者の購入頻度が高く、また需要も安定している。Eコマースでの売上に加えて食料品・生鮮食料品販売市場での売上が確保できれば、Amazonの売上はさらに拡大する事となる。

ところで、ある調査によると、アメリカの消費者が実店舗よりもネットスーパーを選択するファクターとして価格と利便性が挙げられるとしている。
実店舗よりも価格が安く、便利であればネットスーパーを利用すると調査対象者の40%が答えている。

価格については、Amazonはホールフーズのプライベートブランド「365エブリデイバリュー」の一部のアイテムの価格を下げ始めている。
それもあってか、「365エブリデイバリュー」はAmazonにおいて2番目に売れているプライベートブランドになっている。Amazonはホールフーズの他のアイテムでも価格を下げ始めており、その基調は変わらないだろう。
ホールフーズは値段が高いというイメージが強いが、Amazonは間違いなくそのイメージを払拭しようとしている。


利便性と在庫管理が鍵か

利便性については、注文から配達までのデリバリータイムが一つの鍵となりそうだ。
ホールフーズでは、注文受付から配達まで2時間以内としているが、これはかなり短いとすべきだろう。日本のネットスーパーの場合、当日配達を行うところもあるが、多くが前日注文か、中には2日前注文が求められている。
今すぐ必要ではないケースではそれで問題はないだろうが、すぐに必要な場合だとしたら利便性があるとは言い難い。

もう一つのポイントは在庫管理だ。日本のネットスーパーでも営業時間が終わりに近づくと品切れになるアイテムが増えてくる。
ひどいケースではほとんどのアイテムが品切れになっていることもある。ホールフーズの宅配サービスは、現時点では店内のすべてのアイテムを対象としていないが、対象となるアイテムが増えるであろう今後は、同様の在庫問題が発生してくるはずだ。

特に生鮮食料品については欠品が大きな問題になり、欠品が続くとユーザーが離れる可能性も出て着る。
一方で、Amazonがこの問題を解決できれば、ユーザーを増やす事も可能となるだろう。Amazonは今回のこの実験により、間違いなくその辺の実証を進めてくるはずだ。
価格と利便性という課題を解決すれば、Amazonのネットスーパー事業は大きく発展していくだろう。
全米にはすでに457店のホールフーズの店があり、フルフィルメントセンターとしてすぐにでも活用可能だ。

Amazonがホールフーズを買収した戦略的要素はいくつかあるだろうが、ホールフーズをベースにしたネットスーパー事業は間違いなくそのひとつだろう。来年の今頃までにはこのネットスーパー事業がそれなりの規模に拡大していると、日本のネットスーパーのヘビーユーザーである筆者は予想している。


<参考・参照元>
Amazon starts free, 2-hour Whole Foods deliveries

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