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物流クライシスをIoTで救え!地方自治体からトヨタまで、最新の活用事例

ヤマト運輸の「荷受量の総量規制」から認知されてきた物流クライシス。ドライバーの人手不足も手伝い、送りたいモノはたくさんあるのに運ぶ人がいない状況となりつつある。

そこで次世代物流網として期待されているのがIoTだ。今、IoTを活用してどのような取り組みが実施されているのだろうか。


物流クライシス、本当の問題は何か

物流クライシス、または宅配クライシスが注目されるようになったきっかけは、宅配大手のヤマト運輸が、前期比で約8,000万個減らすという「荷受量の総量規制」に踏み切ったことだった。
ヤマトが運べなかった荷物を受けた日本郵便では、一部で遅配が発生するなど余波もあり、大きな話題となった。

2016年のネット通販市場は、約15兆1,000億円と2010年の約2倍となっている。スーパーの市場が約13兆円、コンビニは約11兆4,000億円という数字を見ても、ネット通販がいかに拡大しているかがわかるだろう。
それでも日本のネット通販の普及率は、2015年には4.75%。中国の16%と比較すると、今後もまだまだ拡大すると予想される。
スマートフォンやタブレットの普及により、ネット通販の利用が浸透し、お菓子1個、シャンプー1本でも、気軽にネットで注文をすることが増えた。その結果、多品種少量の小口配送が増え、宅配便取扱数は2016年の40億個を突破したのだ。

一方で宅配ドライバーの人手が不足している。共働き世帯が増えるなか、不在による再配達も増えている。都市部の宅配ドライバーが配達する荷物は1日200個にものぼり、長時間労働を強いられている状況だ。
こうしたことを背景に、ヤマト運輸では、2017年10月から27年ぶりの送料値上げに踏み切った。大口荷主企業を中心に個別で値上げを交渉しており、アマゾンとは、なんと約4割超えの値上げで決着したという。それに追随し、佐川急便や日本郵便も値上げを発表した。

今後は送料負担を荷主が支えきれなくなり、消費者背負うことになるだろう。ちょっとしたものが気軽に購入できるようになったことで、ネット通販の市場が拡大したのだが、購入したものより送料が高くなってしまっては、利用も縮小してしまう。

また、宅配サービスが過剰だということで、共同宅配ボックスやコンビニ受け取りサービスも始まっているが、今、盛んに行われている生鮮ECや荷物がかさばるスキーやゴルフ用具など対応できないものが多い。また、配送先が集約されればされるほど利便性が低くなる。根本的な解決ができるかどうかは疑問だ。

ドライバーの人手が足りない一方で、営業用トラックの積載率は年々低下し、直近では40%まで落ち込んでいる。小口配送が進んだことで、効率が低下しているのだ。
つまり、ニーズはあるのに、今までの配送方式ではコストに見合わない、ということが根本的な問題なのである。逆に言うと、コストさえ見合えばビジネスチャンスは多いということだ。
さらに、物流の課題の多くは配送センターから配達先までのラストワンマイルのため、地域に根差したソリューションも期待できる。地域の物流コストを低減することで、送料の優遇ということを住民に還元することもできるだろう。

こうした背景からすでにIoTを活用した物流の改善に取り組む自治体・企業も増えている。


次世代物流網の整備で地方創生を図る京都・与謝野町

京都北部、丹後地方の日本海に面する与謝野町。俳人の与謝蕪村、歌人の与謝野晶子・鉄幹夫妻ゆかりの町だ。
その与謝野町では、今、「スマートビレッジ」の具現化に向けて取り組んでいる。AIやIoTを活用し、収集したデータで農業や物流の新しいモデルを構築していく取り組みだ。

この取り組みの一環として、IoTを活用した物流改善の共同実験をフューチャーグループのトレックスエッジ社と共同で開始した。
基盤にはLoRaWANネットワークを採用している。LoRaWANは、低消費電力で長距離のデータ通信が可能だ。さらに、電波を利用した無線通信を行う場合には、原則無線局免許が必要だが、LoRaWANの場合は不要となり、基地局を自由に設置できることがメリットとなる。

この通信基盤を使い、業務で町内を走行する車両の位置情報を収集し、その情報を地図上で照会できるアプリケーションを開発した。今後はセンサーで町内バスの乗客数を確認し、荷物を混載する、といった新しい物流網を整備し、物流原価・人件費の削減を図る。

与謝野町は、京都市から北西約80kmの場所にある。南は福知山市、東は宮津市、北は京丹後市、西は兵庫県豊岡市と隣接し、国道 176 号、178 号、312 号の結節点に位置する交通の要所でもある。
2015年から「与謝野ブランド戦略」として、デザイナー・アートディレクターの田子學氏をクリエイティブディレクターに迎えて産業振興施策を実行してきた。
ビールの原料であるホップの栽培を行い、クラフトビールを醸造する取り組みや、若手織物職人とクリエイターが共同で取り組む織物の新スタイルなど、原料・生産・流通までを町で行い、産業を活性化させることを目指している。そして、スマートビレッジはこうした取り組みの物流を担うことが期待されている。

与謝野町と共同でスマートビレッジに取り組む株式会社トレックスエッジは、最新のIT技術を活用して、地域の生活インフラやサービスを効率的に運営し、環境に配慮しながら経済発展していくための支援を行っている。


福島・南相馬市の買い物弱者を救う?ZMPの宅配ロボット

宅配ドライバーの人手不足の原因は、少子高齢化だけではなく、賃金の安さにもある。宅配という人件費が利益に見合わないからだ。であれば、無人で配送しようという発想から生まれたのが、自動走行宅配ロボットだ。

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