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2020年荷物預かり問題、コインロッカー難民をICTで解決するには

主要駅のコインロッカーは、ほぼすべて埋まっているのが常態化している。特に、スーツケースなど大きなものを入れるコインロッカーは数が限られているのが現状だ。

2020年、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、コインロッカー難民を救う取り組みが行われている。


2020年、コインロッカーが圧倒的に不足する

既設のコインロッカーが不足しているのは、訪日外国人旅行客の増加が原因だ。
2016年には訪日外国人旅行客は2400万人を突破し、2012年の3倍近くにまで増えている。小さな面積の国の日本においては、ホテル・民宿を思うように増やせず、必然的に宿泊場所が足りない状況になっている。

そのため旅行客は民泊を利用する流れとなるわけだが、民泊はマンションの一室を活用しているところが多く、その場合はフロントがないので荷物を預けられない。だからコインロッカーの需要が増えるという図式である。

しかし、大型のスーツケースが入るコインロッカーは限られている。
観光で訪れることの多い京都駅では、1日当たりの乗降客が38万人なのに対し、スーツケースが入るコインロッカーは200個しかない。渋谷にはコインロッカーが1,400個あるが、そのうちスーツケースが入るのはたったの90個だ。スーツケースを抱えた観光客によるコインロッカー争奪戦になるのが目に見えるようだ。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は訪日外国人観光客を現時点のさらに倍の4,000万人に増やすとしており、コインロッカーはますます不足する見込みだ。

それならコインロッカーを増やせばよいのではないか、と思う人もいるかもしれないが、観光客が使うような好立地では、コインロッカーを設置する場所も少なく、地価も高い。しかも既成のコインロッカーは形が決まっていて、スーツケース専用のものがないという問題もある。


JR東日本、メルカリから資金調達した荷物預かりシェアリングサービス「ecbo cloak」

そこで空いているスペースがある人に預かってもらうことを考えたのが、エクボ株式会社の代表取締役社長の工藤慎一氏だ。
工藤氏は、渋谷駅で外国人環境客のためにスーツケースの入るコインロッカー探しを手伝ったのがきっかけで、コインロッカーの不足の課題を実感した。
そこから発想し、2週間あまりで企画したのが、「ecbo cloak」だ。

コインロッカーは満杯でも、店舗の空いたスペースならある。そこで店舗のスペースと荷物を預けたい人のマッチングサービスを2017年1月から始めた。
荷物を預けたい人はスマートフォンで希望の場所を選び、日時と荷物の数を指定して予約する。当日店舗スタッフから荷物の写真が入ったメールが届く。荷物を引き取る場合は、店舗でそのメールを提示する。荷物を受け取るとクレジットカードで決済される仕組みだ。

料金は、バックで300円/日、スーツケースで600円/日である。店舗の中に置くので、コインロッカーでは入らないような大型のスーツケースも置ける。もし引き取りに来ないユーザーがいた場合は、超過料金を差し引く。

預ける人はガイドブックに載っていないお店を知ることができる。加盟店はコストゼロで始めることができ、遊休スペースで収益を得られる。さらに、ある飲食店では1週間で約30人が荷物を預け、そのうちの3割が店舗内で飲食をしたという。スペース貸しの収益以上の効果が期待できるのだ。

2018年に入り、JR東日本、JR西日本イノベーションズ、メルカリ、個人投資家から数億円程度の資金を調達した。公共交通機関との提携は普及の大きな一歩なるだろう。また、メルカリからはシェアリングエコノミーサービスをどのように広げたらいいのかという知見も活用できる。
今後は保管だけでなく、配送も手掛ける予定。預けた荷物をボタンひとつで次の目的地へ配送する実証実験を、郵便局と加盟店との間で行う。

預かりと配送をセットで提供することで、「荷物のない世界」を目指す。


「IoTおもてなしクラウド」を利用した荷物預かりサービス、実証実験開始

総務省では2020年に「IoTおもてなしクラウド」の社会実装を目指している。

訪日外国人観光客のために、スマートフォンや交通系ICカードなどと連携し、共通のクラウド基盤でさまざまなサービスに活用する仕組みだ。観光客が個人情報を入力することで、レストランに食の禁忌情報を伝達する、ホテルにスムーズにチェックインする、自国の言語で情報を提供する、といった利便性の高いサービスを提供する。

このIoTおもてなしクラウドを活用して、東京空港交通、NEC、ジャパンショッピングツーリズム協会が、観光客が観光している間に荷物を預かり、チェックイン先のホテルへ配送する実証実験を行った。観光客は手ぶらで観光することができ、ホテル側は受け入れ準備や管理を効率化できる。

共通のクラウドを利用することで、異なる業種の事業者が連携し、より利便性の高いサービスの提供を目指す。
他のサービスと連携できるところも共通クラウドの強みとなるだろう。


サービスとして認知度を高めることがカギ

ニーズは確実にあり、今後はますます増える。あとは外国人観光客にどれだけ認知されるかがサービス普及のカギとなる。
「coin locker , japan」でWebを検索して、サービス名が1ページ目に出てくるくらいでないと、認知してもらうのは難しい。

また、事例にもあるように、外国人観光客が必ず利用する公共交通機関と緊密に連携していくことが大切だ。駅で観光客の目に留まり、そのまま利用につなげることができれば、市場は拡大していく。

日本が観光大国となるために、荷物預かりサービスは隠れた立役者となるだろう。


<参考・参照元>
【Interview】もうコインロッカーを探さなくていい!荷物預かりシェアリングサービス「ecbo cloak」 | ニコニコニュース
世界初の荷物預かりシェアサービス「ecbo cloak(エクボクロー… | マイナビニュース
空港で荷物を預けて手ぶらで周遊――ICTを活用した訪日外国人向けサービス NECらが実証実験を開始 - ITmedia エンタープライズ
政府、訪日外国人目標を一気に倍増 2020年=4000万人、2030年=6000万人(1/2ページ) - 産経ニュース

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