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コンビニチェーンがIT活用で挑む次世代コンビニとは

既存店売上高が7カ月連続で減少し、人手不足から24時間営業を見直すコンビニチェーンも出てきた。そんななか、コンビニチェーンでは、ITを活用した次世代コンビニを模索しているとこだ。
次世代コンビニとはどのような姿なのか、各企業の取り組みを検証する。


22カ月連続で来客数減のコンビニ、今後求められる機能とは

2017年12月のコンビニエンスストアの既存店売上高は、前年同月比0.3%減の8204億円で、7カ月連続で前年比割れした。
既存店の来店客数は1.6%減り、22カ月連続で落ち込んだ。コンビニ業界全体の数字よりもインパクトを与えたのが、業界の雄、セブン-イレブン・ジャパンの減収だ。2017年10月の既存店売上高は、前年同月比の0.5%の減収となり、実に63カ月ぶりに前年比を下回った。

セブンイレブンの1店舗あたり1日の売上高は、65.7万円で、2位ローソンの54.0万円に大差をつけている。その実力をもってして前年割れになってしまったという事実が、業界に衝撃を与えた。
売上高や来客数の減少は、ドラッグストアの好調に押されたことが原因とされる。ドラッグストアは、スーパー、コンビニが停滞するなかで、毎年成長を続けている。利益率の高い市販の医薬品を中心に、化粧品、日用品、食品を低価格で提供し、価格と品ぞろえで訴求する。

一方でコンビニがドラッグストアと差別化できるのが、お弁当やお惣菜、店舗で調理する食品、いわゆる「中食(調理済みの食品を家に持ち帰って食べる)」だ。
コンビニとしては、ここを伸ばしたいが、店内の調理には人手がかかる。そこに追い打ちをかけるのが人手不足という社会的背景だ。

ファミリーマートでは24時間営業の見直しを検討していると報じられた。人が集まらない中、24時間365日の営業は限界を迎えている。
加盟店は家族総出で過酷な勤務をせざるをえない。だが、コンビニは24時間営業をすることを前提に設計されており、夜間は商品納入や品出しなど、日中ではやりにくい作業に割り当てられている。また、日中だけ営業するならスーパーと差別化できないという問題もある。夜間営業を一概にはやめられないのだ。

そして、異業種のアマゾンが無人コンビニ「Amazon Go」でコンビニに参入してきた。商品を手に取ると天井のカメラが読み取ってカートに入れ、そのまま店を出ると自動的に決済される。
おしゃれな内装にホールフーズやスターバックスの商品が揃えられ、無人決済をうたいながらも、食材加工や商品補充、店外の販促と合わせて約20人、惜しげもなくスタッフを投入する。
ほしいものが買えるだけでよかったコンビニ業界に、あえて特異なユーザー体験を訴求してきたのだ。

「既存店の一番の課題は集客。コンビニ市場は飽和している」。ファミリーマートの澤田貴司社長がいうように、既存のコンビニチェーンにおいても、現状を打破する次世代コンビニづくり始まっている。


夜間は無人になるローソンイノベーションラボ

公共料金支払いから始まり、銀行やチケット、宅配荷物預かりと、サービスが複雑になるなかで、人手不足が加速する。
そんななかでローソンが取り組むのは夜間のレジ無人化だ。2018年春を目途に、深夜の無人レジの導入実験を一部店舗で始める。

店内はアプリをインストールした人だけが入店でき、自分で商品のバーコードを読み取る。提携している決済サービスで支払いを済ませるとバーコードが表示され、それをかざして店を出る。
店員は商品の陳列・売れ残り商品の撤去に専念する。すでにローソンが中国・上海で850店のうち、約600店で導入しているのと同じ仕組みだ。将来的にはスマホがなくても自動レジで決済できる仕組みも検討する。

また、経済産業省主導で、コンビニ他社と共同で策定した「コンビニ電子タグ1,000億枚宣言」に基づき、商品一つひとつに電子タグをつけることで、サプライチェーンにおける在庫情報を可視化する取り組みも行っており、コストの適正化を図る。


1日あたりの作業時間を5.5時間短縮できるセブンイレブンのテクノロジー導入とは

一方、セブンイレブンが取り組むのは、オペレーションコストの削減だ。「環境負担の低減」「働きやすさの向上」「快適な店内環境づくり」をテーマとして提案を募り、58種の技術による設備を導入した。
冷蔵ケース・冷凍ケースをスライドできる棚と交換。補充や清掃が簡単にする。おにぎりの陳列什器は、商品を取り出すと、後方の商品が自動的に押し出されるものを採用した。

これで商品前出し作業を削減できる。このほかにも消臭・抗菌作用のある壁材・天井材を導入して、清掃の時間を減らすなど、痒い所に手が届く効率化のとりくみだ。
さらに、光熱費削減にも取り組む。新型フライヤーフードユニットによる給排気システムで空調効率を改善した。

また、店舗の前には路面型太陽光発電設備をアジアで初めて導入し、自家電力を創造する。100m2に敷設した場合の発電量は、2013年標準店使用電量の約7.2%に相当する。光熱費は80%本部が負担する契約となっており、光熱費の節約と創造は加盟店と合わせてコストカットにつながる取り組みだ。

今回の取り組みで、外部から調達する電力を2013年と比較して約28%削減する。また、清掃・商品補充・商品前出し・レジ・袋付けの作業を削減することで顧客サービスに時間を割く狙いだ。


コンビニに今後期待されることとは

深刻な人手不足のなかでは、無人化も時代の流れに合っているし、もう一度生産性向上という課題に向き合う姿勢も正しく思える。
しかし、テクノロジーは暮らしを楽しくする力も持っていることにも目を向けるべきだ。無人でもいい。コンビニならではの何かワクワクさせてくれる仕掛けができると思うのだ。

この先コンビニに何が求められていくのか、改めて問い直すときが来た。


<参考・参照元>
ドラッグストアがコンビニを侵食 | ビジネスジャーナル
ローソン、次世代コンビニの研究施設を公開 :日本経済新聞
セブン-イレブン/作業時間5.5時間削減、58の最新技術を採用した次世代店舗(2017.12.06)|流通ニュース
コンビニ売上高、7カ月連続減 12月、17年通年は3年ぶり減少 :日本経済新聞

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