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先手必勝?SBIはブロックチェーンによる新プラットフォーム事業の覇者となるか

2018年1月に仮想通貨が大暴落し、最大20%の下げ幅を記録。セキュリティへの不安が依然拭えない中、ブロックチェーン関連事業を次々に打ち出すSBIホールディングスに注目が集まっている。

北尾吉孝社長自らがブロックチェーンを中核技術と位置付け、新金融生態系へと邁進するSBIの今とブロックチェーンの果たす役割を追う。


ブロックチェーンの仕組みと特徴

ブロックチェーンは、「分散型台帳技術」と呼ばれるデータベースのひとつだ。情報はブロック単位で保存され、それぞれが鎖のようにつながっている。
ビットコインを支える技術として開発されたため仮想通貨に限定されたイメージをもたれているが、台帳情報の共有手段として多方面への応用の期待が高まっている。

ビットコインの例でいえば、ブロックチェーンにはビットコインが誕生した2009年1月3日からの取引がすべて記録されている。
ビットコインのブロックのサイズは1MBで、10分間に1ブロック作られ、その間の取引内容が格納される。専用のアカウントを作成すればインターネット環境にある誰もが、ブロックチェーンへのアクセスが可能となる。

ブロックチェーンを用いることで、仲介取引所を介さないビットコインの個人取引が実現し、手数料負担が大幅に軽減された。
ブロックチェーンではハッキングや改ざんがほぼ不可能といわれている。一般的なデータベースとは違いブロックチェーンの情報は、複数のネットワーク管理者のパソコンに同一のものが保存される。

新しい情報が書き込まれる際には、ネットワーク管理者がその整合性を確認し、半数以上の同意の元でブロックに格納される。
一部の台帳データを改ざんするためには、時系列に結ばれた過去のブロックすべてを変更する必要があるため、実質的には不可能だ。すべての情報が公開されているため、万が一不正があってもすぐに発見される。

ブロックチェーンの高い信頼性と透明性こそが、最大の特徴といえるだろう。
複数のデータベースから成るブロックチェーンは、どこかが破損しても別の場所からの復元が可能だ。データが失われるリスクが回避されているという点も、ブロックチェーンの活用に注目が集まる理由のひとつとなっている。


SBIが手がけるブロックチェーン関連事業

すでに一部の企業では、証明書、食品管理、不動産取引などといった分野でのブロックチェーン技術の導入について実証実験を開始しているが、日本国内で大きな動きを見せているのがSBIホールディングス株式会社だ。
SBIトップの北尾吉孝氏が自ら先頭に立ち、ブロックチェーン関連事業への参入を次々に打ち出している。

SBIはRipple社に約11%の出資をしており、さらに、2016年にはSBI Ripple Asia株式会社を設立。
事業内容としては仮想通貨を利用した送金事業、ブロックチェーンに関わる技術開発や運用などを行っている。目指しているのはブロックチェーンによる世界的な送金インフラの構築だ。
すでに韓国の銀行とブロックチェーンを利用した国際送金の実証実験を進めており、実現化の目途も見え始めている。

2017年9月からはブロックチェーン技術を活用した顧客確認業務の実証実験を、NECとの共同事業として金融機関14社を交え、開始している。
ブロックチェーンの安全性の高さと透明性という特質を十分に生かし、証券会社間で顧客データを共有することで、口座開設手続きの迅速化を図り顧客サービス向上につなげる狙いだ。

また、同時期、仮想通貨や電子マネー等の様々な電子通貨決済が可能な、ブロックチェーンベースの決済用プラットフォーム「Sコインプラットフォーム」の開発着手を発表している。
さらに同年10月には、ブロックチェーン技術を含むFinTechを活用し、ベンチャー・中小企業向け資金調達支援事業を行うSBI CapitalBase株式会社を設立した。

急増するブロックチェーン技術へのニーズに備え、NTTコミュニケーションズや日本マイクロソフト、野村総合研究所などが参加する「ブロックチェーン技術者養成ネットワーク」を設立。
今後は国内外の企業と共に、ブロックチェーンや仮想通貨に精通した技術者の養成を進めていく。


ビッグキーワードとなる「仮想通貨マイニング」

ブロックチェーンのブロックが生成される際には、データの整合性を取るマイニングという作業が行われる。
膨大な計算量を必要とするこの作業に使われるのは、マイニングに参加する参加者のコンピュータのリソースだ。マイニングでは高度な計算能力をもつマシンと電力が必要とされる。

現在、マイニングの6割以上が中国で行われているのは、国の政策もあり、安い価格で電力が供給されているのが理由だ。
マイニング事業は国内でもDMMやGMOが参入しているが、ブロックチェーンを基盤とする仮想通貨事業に力を入れるSBIも、ビットコインキャッシュのマイニング開始を発表している。

◼️ブロックチェーンで社会に変革を!DMM・スマートコントラクト事業の野望に迫る【インタビュー】

この事業については新しく設立されたSBIクリプトが行っており、マイニングセンターが立地している国は企業秘密として公表されていないが拠点は2カ所あるといわれている。マイニングの最大のコストとなる電気料金が安く、豊富な電力の供給ができるという観点から、北欧のどこかに存在すると推測される。
マイニング事業の重要性を強調する北尾氏のことばからは、世界規模での仮想通貨取引所の具現化という大きな目的に向かい、着実な歩みを進めていることが伺われる。


SBIグループが見据える金融業界の未来

SBIグループはオンライン証券やオンライン銀行の分野で、No.1の地位を確立している。
北尾氏によるとそれは、“金融のエコシステム”をいち早く構築したからだという。同時期にインターネット事業に参入した各金融機関に先んじられたのは、個人金融資産の移動を容易にするシステム構築への取り組みの賜物だ。

インターネットの特質を見抜き、大きな変革が訪れることを予見したSBIの勝利といえる。
北尾氏は今後のFinTechの進化が、金融ビッグバン以上の金融秩序の崩壊を招くと予言する。“もっと強烈な変化がもっと激しいスピードでやってくる。日本のFinTechへの取り組みが諸外国から後れをとらないようしなければ”と語っている。

すでに、ブロックチェーンの技術についてはコンセプトの段階が終わり、これをベースとするアプリケーションの開発が進む。
次々にブロックチェーン事業を起こしてきたSBIグループの狙うところは、新しい金融生態系の完成だ。
ブロックチェーンを始めとするFinTechが金融業界に押し寄せる大きな波を生み出し、熾烈な生き残り競争がスタートするのは遠いことではないのだろう。


<参考・参照元>
いつの間にかSBIグループは仮想通貨/ブロックチェーン企業になっていた | BUSINESS INSIDER JAPAN
FinTechを活用しベンチャー・中小企業の資金調達をサポートする「SBI CapitalBase(キャピタルベース)」設立のお知らせ(SBIホールディングス)|ニュースリリース|SBIホールディングス
ブロックチェーン関連技術を活用した新たな決済用プラットフォームの開発に関するお知らせ(SBIホールディングス)|ニュースリリース|SBIホールディングス
ブロックチェーンとは|NTT DATA BLOCKCHAIN INNOVATION|NTTデータ
SBIグループは仮想通貨・ブロックチェーン企業になりつつある | CoinHack News(コインハックニュース)
「新たな金融生態系でいかに生き残るか」、SBIホールディングス北尾吉孝社長 | 日経 xTECH(クロステック)

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