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メルカリが参入したことで一気に注目を集めるライブコマースの将来性

フリマアプリの王者・メルカリが参入したことで一気に注目を集めるライブコマース。売り手と買い手が双方向でコミュニケーションを取りながら購買意欲を高めていく手法はまさしく古きよき商店街で行われていたものだ。
ライブコマースは今後どのように進化していくのか。


ネット通販の隆盛で見えてきた対面販売のメリット

ネット通販は、買いたいものが決まっている時はとても便利だ。検索をして商品一覧から選んで決済すればよい。でも私たちは、いつも未知の商品との遭遇を心待ちにしていないだろうか。
ネット通販では「思いもしない商品との出会い」を演出しにくい。最近ではAI(機械学習)を使って、ユーザーの好みを推定し、おすすめの商品を表示するくらいのことは簡単にできる。
しかし、それは過去の閲覧ページや購入履歴から推測しているにすぎない。自分の想像の範疇にない商品はAIにも判断が難しい。

また、実演販売のように、まったく興味のない商品だけどプレゼンを見ているだけで楽しい、というエンターテイメント性をネット通販に持たせることはこれまで難しかった。商品の詳細ページは直接見れない分いかに商品の特徴を説明するか、ということにフォーカスしてページを作っているからだ。
さらに、商店街の八百屋でなじみの店主が、今日のご飯にあう野菜を薦めてくれるようなことも難しい。顔なじみの店主はいま旬のおいしい野菜をすすめてくれて、いくつかの疑問にも答えてくれる。

リアル店舗でも買い物をしている私たちは、ネット通販のメリットを十分に認めつつも、どこか飽き足らない思いを抱いている。そんな心理をつくかのように登場したサービスが「ライブコマース」だ。
売り手が商品を紹介する動画を配信し、視聴者からの質問にリアルタイムで答えていく。いまや大手EC・CtoC事業者がこぞってライブコマースを導入している。


商品の開発ストーリーを伝え、テレビ通販と差別化を図るメルカリの戦略

メルカリは、2017年7月にライブコマース「メルカリチャンネル」の提供を開始した。
メルカリはCtoCのサービスを提供するため、ライブコマースも個人が動画を配信する形をとっていたが、12月からは法人向けにも解放した。EC事業者11社が参画してライブ配信を開始したのだ。

もともと気軽に始めてもらうというコンセプトだったため、現時点では在庫の参照ができず、タイムセール機能もない。
だが、ある程度在庫がある商品で、コーディネートなどの提案をすると売れ行きもよいという。

メルカリがこのサービスを法人向けに開放したのは、開発しているメーカーの社員、いわゆる「中の人」が前に出て商品を売るライブコマースにチャレンジしたかったからだ。
芸能人やSNSのインフルエンサーでは、集客ができても必ずしも売り上げにつながるとはいえない。商品のストーリーを語れる社員が前面に出る形式が望ましいと考えた。インフルエンサーで集客しても、最終的には中の人が商品を説明することを推奨している。

双方向でコミュニケーションすることによって、毎回のように訪れるユーザーも増え、温かなコミュニティが形成されるのだという。
顔なじみの近所の人と八百屋であうようなライトなコミュニケーションが図れるのだ。このゆるやかなコミュニティこそがテレビ通販との差別化と考えている。

2019年2月には、RIZAPがメルカリチャンネルを使用して自社商品を販売することになった。RIZAPのグループ会社である夢展望がすでに第1号配信をしており、販売実績をあげていることが弾みとなった。


テレビ番組と連携して集客力を高めるKDDIの取り組み

一方で、タレントを前面に出した配信をしているのがKDDIだ。テレビ朝日と共同で、テレビ朝日の通販番組とライブコマース「Wowma!(ワウマ)」を連携させた動画の試験配信を開始した。
テレビの通販番組で経験を積んだ若手俳優4人が商品を紹介し、売り上げを競い合う。その様子がテレビ番組とワウマの動画で放送される。試験配信では、約1時間の配信で、視聴数は2,000件に達した。

イケメン俳優をそろえ、売り上げを競わせることで、視聴者は応援したい気持ちが募り、継続して視聴するようになる。
番組をテレビコンテンツ制作の知見を活かしたエンターテイメントに仕立て、集客する狙いだ。


双方向性を守りつついかにエンターテイメント化していくか

「モノ消費からコト消費へ」と言われている。コト消費とはさまざまな文脈で語られているが、モノの持つストーリーを買うのではないだろうか。
開発者の思い、完成に至るまでの経緯、仲間や他の企業の協力があって、初めて商品は世に出る。こうしたストーリーも含めてのモノに価値を見出しているのではないか。
メルカリが開発に携わる人を前面に出す番組作りにこだわるのはこうした意義がある。

一方でライブコマースは、見るだけで楽しめる番組を作ることができるのが特徴だ。
視聴者が見て面白いと感じる映像を作るのには、社外のプロの力が必要であるという一面もあるだろう。KDDIがテレビ番組と連携させ、タレントを前面に出すのも、エンターテイメント系のコンテンツ制作で集客したいためだ。

メルカリやKDDIの他にも、楽天、ヤフーなど大手が参入しており、いかにライブコマースの注目度が高いのかがわかる。
今後は、双方向のやりとりを守ることで、視聴者と発信者の間で共感の醸成する基盤を作っていくということころが成功へのカギとなるだろう。

2018年、ライブコマース元年に注目したい。


<参考・参照元>
ライブコマースで抜け出すのはメルカリか、楽天か、タレントかそれとも…
ライブコマースにネット通販事業者ら注力 KDDIはテレビ番組と連携 - 産経ニュース
「ライブコマース」をメルカリチャンネルで始めました! PBIの高木社長が語る「EC+生放送」の可能性と注意点 | ネットショップ担当者フォーラム

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