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オープンイノベーションを起こすために必要なこととは?世界の事例から考える

近年、大企業を中心にベンチャー企業への投資などが増えている。豊富な内部留保をもとに、外部の技術などを取り込んでイノベーションを起こそうと各企業で取り組みが進められているのだ。

一方で、日本は他国に比べオープンイノベーションが進んでいないのではという指摘もある。
果たして、日本のオープンイノベーションはどのように実現されるのか考えてみたい。


オープンイノベーションを活発にするためにNEDOが白書を作成

近年、日本でも大企業を中心にオープンイノベーションの必要性が叫ばれるようになってきた。
大企業が設立しているコーポレート・ベンチャーキャピタル(以下、CVC)が行う投資案件は2013年から2016年までで約3倍まで増加している。また、アメリカやイギリス、フランス、中国などの海外企業でもCVCの投資額が伸びている。

なぜ、CVCがここまで活発になっているのか。その背景には、大企業を中心に積み上がった内部留保の存在がある。
調査によると、日本企業の内部留保は460兆円まで増加していると言われている。この金額はここ数年増加トレンドが続いており、日本のGDPの金額に迫ろうかという勢いだ。しかし、企業としてはこの内部留保を蓄えておくだけでは、塩漬け状態で価値を生まない。

そこで、この豊富な内部留保がベンチャーに向かいつつある。大企業としても、イノベーションを生むために新たな取り組みを進めようとしている。
そんな背景もあり、NEDOからオープンイノベーション白書が公表された。そこでは、世界各国のオープンイノベーションに関する取り組み、そして日本のオープンイノベーションの現状について紹介されている。


海外でイノベーティブな国はここ

オープンイノベーションが進んでいる国々の特徴は「エコシステム」を構築していることだ。
有名な例では、アメリカのシリコンバレーや中国の深セン、イスラエルなどが挙げられるが、オープンイノベーション白書ではドイツの事例を重点的に取り上げている。

ドイツには、フラウンホーファーという産学の橋渡しを行う機関がある。ここがベンチャー企業支援や技術転移、学術界と産業界人材交流の促進などを担い、ドイツのオープンイノベーションの中核を担っている。
ドイツに象徴されるように、オープンイノベーションを創出するエコシステムは、政府を中心に意図的に形成される傾向がある。このエコシステムの形成は、今後日本の大きな課題となるかもしれない。


日本と事情が似ている意外な国とは

また、白書ではオープンイノベーションを生み出す国としてオーストラリアを取り上げている。
私たちの中では、オーストラリアがイノベーティブというイメージはないかもしれないが、オーストラリアは官民一体となって、オープンイノベーションを生み出すエコシステム創りを進めている。

もともと、オーストラリアは経済成長の大半は既存企業が担っており、ベンチャー育成にも課題を抱えていた。
また、学生の安定志向は未だに強く、9割が大企業への就職を希望しているという。にもかかわらず、オーストラリアでは徐々にベンチャー企業への投資資金も増え、改善が見られるようになったという。このオーストラリアの取り組みは、今後日本が学ぶべき事例となるかもしれない。


改善は見られるものの……、日本のオープンイノベーションの課題

このように、世界ではオープンイノベーション促進のため官民一体となった取り組みが盛んに行われている。一方で、日本の現状はどのようになっているのだろうか。

オープンイノベーション白書では、民間企業と大学などの公的機関の連携という視点で書かれている。
これによると、民間企業との共同研究や特許出願件数は増加傾向にあるものの、資金提供は国の研究費の総額18兆円に対して1,000億円に留まるなど低い水準にあるという。また、研究人材の流動性においても低い傾向が見られるようだ。
民間企業もオープンイノベーションからの脱却が必要と考えつつも、研究開発は自社単独で行うケースが6割以上を占めるなどまだまだ十分とは言えない状況だ。

なぜ、日本ではオープンイノベーションが他国に比べて進まないのだろうか。


オープンイノベーションを起こすために必要なこと

これには、様々な要因が考えられるが、ポジティブに考えれば日本のR&D部門が優秀というのがあるだろう。
自社で必要な人材や設備などを揃え、やれることは自社内で完結できるという状況は日本企業の強みとなるだろう。

一方でネガティブに考えると、日本企業はオープンイノベーションに対する関心が低いという側面もあるのではないだろうか。
特に、経営層を中心にオープンイノベーションがなぜ必要なのか、そしてそれを実現するためにどのような組織体制が必要なのか、十分に理解が進んでいない可能性が高い。
また、オープンイノベーションを起こす上で、自社の資産をしっかり棚卸しして、不足しているものを的確に捉えることもできていないことも考えられる。

時代の変化は、これからますます激しくなるだろう。その時に、自社だけで研究開発を進めるのは、変化のスピードへの対応や発想の幅や柔軟性の観点から難しくなるかもしれない。
見えているつもりが見えていない、キャッチアップしていると思ったらできていないなど自社だけで完結してしまうとこのようなことになりかねない。
これから伸びる企業は、外部の力を積極的に活用できる企業ではないかと考える。


<参考・参照元>
オープンイノベーション白書 - NEDO
トヨタ、パナ、JR...過熱する「CVC」投資 —— 膨れ上がる460兆円がベンチャーバブルを引き起こす | BUSINESS INSIDER JAPAN

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