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デザイン思考がIT企業を変えた!IBMやSAPはデザイン思考でどう変わったのか。

ユーザー・エクスペリエンス(顧客体験)の創造がさまざまな業界で叫ばれている。

特に、IT企業では、他社との競争に打ち勝つためにも改めて注目したいのがデザイン思考だ。デザイナーたちが持つ製品デザインに対する考え方を、企業全体に広めてユーザー・エクスペリエンスの創造につなげようとしている企業も現れている。

果たして、デザイン思考で組織のどこが変わるのだろうか。


デザイン思考がなぜITで求められる?

デザイン思考とは一体なにか?デザインというと、いわゆる製品の色や形、アプリケーションのUIなどの見た目の部分にフォーカスしがちだ。

しかし、現在話題に上る“デザイン思考”は、見た目だけにとどまらない。デザイン思考は、プロダクトを開発するために最適と考えられるプロセスやそれを実現する組織をどう変えるかまで及ぶ。

デザイン思考が求められるようになった背景には、市場の変化がある。一昔前であれば、物やサービス自体が限られ、企業側が考える機能や性能が消費者に受け入れられていくという時代だった。
一般的には、プロダクトアウトと呼ばれる状態で、企業は性能工場や機能強化に注力することでビジネスを成立していたのだ。

しかし、物やサービスがあふれる現代では、企業側の都合が消費者に受け入れられなくなりつつある。
特に、ITの分野ではハードウェアの差別化が難しくなり、アプリケーションも新しく使いやすいものが次々と出てくる。また、社会が移り変わることで、求められる製品やサービスも変化する。

そのため、企業側が物やサービスのスペックを売りにしても、消費者に響かない可能性が高くなるのだ。

そこで、考えられたのが、顧客のニーズや社会の変化をもとに製品をデザインしていくというものだ。
デザイン思考の出発点は、社会の変化を的確に捉え、徹底した顧客視点を持つことからスタートする。そして、この考え方は、デザイナーが製品やサービスをデザインするときに用いている思考法ということで「デザイン思考」という名が付いたと言われている。


デザイン思考の成功例、IBMやSAP

このデザイン思考は、ITベンダーでも広く普及している。中でも積極的と言われるのが、アメリカのIBMだ。
IBMは、2012年にCEOに就任したバージニア・ロメッティによって、1000人以上のデザイナーを世界中で採用。23拠点のデザインスタジオを設けて、デザイン思考を組織に根付かせようとしている。

デザイナーを採用したのは、製品の見た目や形を洗練しようとするだけが目的ではない。むしろ、デザイナーに求められるのは、ユーザー・エクスペリエンスのデザインだ。

顧客視点を持ち合わせているデザイナーだからこそ、ユーザーの気持ちになって、考えることができる。それが、IBMの狙いのようである。
また、ドイツのSAPもデザイン思考が会社の急成長の要因の一つではないかと言われている。
SAPは2004年からデザイン思考を取り入れてプロダクトの開発を進めている。ERPの世界的大手企業としてその地位に甘んじることなく、顧客との距離を縮めようと当時コーポレート戦略部門に数十人のデザイナーを入れて「自社の未来をデザインすること」から始めた。

その後、10数年間かけてR6D部門から営業部門へデザイン思考を落とし込み、組織変革を進めてきた。現在では、ほぼ全社員がデザイン思考のトレーニングを受けているという。
この徹底したデザイン思考の影響は、売上にも出ている。2017年までの直近5年で全世界の売上が1.4兆円から2.7兆円まで2倍近く伸び、さらに驚きなのがERPの売上比率が4割以下になっているということだ。
新型データベース「HANA(ハナ)」など新製品が売上増加の要因となっており、これもデザイン思考の成果の一部と考えられている。

このように、デザイン思考はIT企業の中では老舗と言われている企業でも展開が進んでいる。企業の変革には、デザイン思考のようにユーザー・エクスペリエンスを顧客と共に創り上げるアプローチが必要なのかもしれない。


日本でデザイン思考を根付かせるには

それでは、日本においてデザイン思考はどのように進んでいるのだろうか。
デザイン思考を活用したコンサルティング事業の一つとしているアメリカ・IDEO社は年間30社ほど日本企業からコンサルティングの依頼を受けるという。見方は人それぞれかもしれないが、個人的には日本企業ではまだまだ根付いているとは言い難いのではないか。

もちろん、ベンチャー企業やスタートアップはIDEOのようなコンサルティングを付けず、自社で取り組みを進めているかもしれない。
しかし、明確な型があるわけではないデザイン思考を自力で身につけるにはそれなりの素養が必要となるだろう。

それでは、IT企業をはじめ日本にデザイン思考を根付かせるにはどうすれば良いだろうか。
まず、教育の強化が重要ではないだろうか。筆者は学校教育の一部にデザイン思考を意識したカリキュラムがあっても良いと考える。小学校からデザイン思考を意識するような授業があると、子供たちの発想の幅も広がるはずだ。

また、企業においては社内全体のマインドセットを行う必要があるだろう。特に、経営層にあたる人たちがデザイン思考にコミットメントできるかどうかが一番の鍵となるだろう。
今後、日本でもデザイン思考について意識が向けられる場面が増えるだろう。


<参考・参照元>
IDEO is a global design and innovation company. | ideo.com
世界的企業は今、なぜ「デザインx経営」なのか? | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
デザイン思考を活用するために、プロセスより大事な5つのこと | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
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