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Fintechに続く有望ビジネスになるか?「RegTech」市場の可能性

ある国際的な金融機関が、レギュレタリーソフトウェアを中心とする全世界のRegTechビジネス市場が、2020年までに12兆円規模に成長すると予想したレポートを発表した。

特に金融業界ではレギュレーション遵守の圧力が強まっているが、RegTechビジネスは成長するのだろうか。RegTechの基本的な情報や、主なプレーヤーなどをまとめた。


RegTechとは何か?

RegTech(レグテック)という言葉をご存じだろうか。RegTechとは、Fintech(フィンテック)、Insurtech(インシュアテック)などに続き、近年台頭してきている新たなソリューション系テクノロジーだ。

FinTechがバンキングや決済などのサービスに使われる一方、RegTechはコンプライアンスやレギュレーション(規制・規則)を遵守するために使われる。RegTechとは、文字通り、Regulatory(レギュレーションの)とTechnology(技術)を組み合わせた造語である。

Regtechという造語は、大手コンサルティングファームのデロイトが生み出したとされるが、そのデロイトの定義では、RegTechとは、「レギュレーションが求める要求を速やかに、簡単に、信頼性とセキュリテとともに、コスト効率良く満たすためのテクノロジー」とされる。

ここで言われるレギュレーションとは、金融、税務会計、医療、行政、サイバーセキュリティなどの各業界において、それぞれの企業に対して求められるコンプライアンスやレギュレーションという意味だ。


RegTechが生まれた原因

ところで、Regtechが生まれた原因には、各業界におけるコンプライアンス・レギュレーションを遵守しない事のリスクが高まってきたことが挙げられる。

例えば金融業界だが、リーマンショックから今日までにアメリカの金融機関は、行政が定める各種のレギュレーションを守らなかったとして、総額で1,600億ドル(2018年6月8日現在日本円にして約17兆5,000億円)もの罰金が課せられたという。また、高額な罰金に加え、弁護士報酬や訴訟費用なども必要となる。

最近は特にマネーロンダリングなどに関するレギュレーションが厳しく、コンプライアンス対策に金融機関は膨大なリソースの投入を余儀なくされている。
世界銀行によると、全世界で1年間に金融業界のコンプライアンス対策に総額で10兆ドル(約1,097兆円)もの巨額の資金が投じられているという。
医療や税務会計の領域でも、各種のレギュレーションやコンプライアンス遵守に相当のリソースが投入されている。

特に医療ではコンプライアンスに遵守しない場合のペナルティが大きく、経済的な負担が大きい。金融と医療は、RegTechが最も大きなリターンをもたらす領域だと言えるだろう。


2020年までに1,187億ドル規模に成長?

ある大手金融機関がまとめたレポートによると、レギュレタリーソフトウェアと呼ばれるレギュレーション・コンプライアンス管理用ソフトウェアの需要が激増し、2020年までに全世界で1,187億ドル(2018年6月8日現在日本円にして約13兆円)規模に拡大するという。

RegTechビジネスを展開するスタートアップ企業の多くがそうしたソフトウェアを提供しており、今後もRegTechビジネスを牽引するエンジンの存在を担うなる可能性が高い。

ロンドンに拠点を置くSybenetixという会社が提供しているレギュレタリーソフトウェアは、金融機関の従業員の活動を監視し、コンプライアンス違反となるような不審な行動を事前に察知し、不正を防止する機能を提供している。

同社のソフトウェアは銀行などの他、ヘッジファンド、証券所、行政の関係者にも広く利用されているという(なお、同社は最近アメリカの証券取引所ナスダックに買収され、2018年現在はナスダック傘下で事業を展開している)。

同じくロンドンに拠点を置くケンブリッジ大学発のスタートアップ企業、アルゴダイナミクスが提供しているソフトウェアは、市場の売り手と買い手の双方をモニタリングする機能を提供している。
双方をモニタリングし、不正などの兆候をAIに検知させて未然に防ぐものだ。同社のソフトウェアは、特に金融機関のアセットマネージャーを中心に採用が広がっているという。

これも同じくロンドンに拠点を置くスタートアップ企業のチェックレシピアントが提供しているシステムは、金融取引が正しく実行されているかをモニタリングする機能を提供している。ガーディアンと名付けられたAIを使い、取引情報やEメールなどが当事者本人によって送受信されているかを監視する。
同社のシステムも、銀行などの金融機関に多く採用されている。

有望なRegTechビジネスは?

また、コンテント・アグリゲーターというRegtechビジネスも成長が期待されている。
コンテント・アグリゲーターとは、新しい法律や規則などが施行された場合、その情報を入手して詳細を把握し、クライアント企業がわかるようにコンサルティングするRegtechビジネスだ。

多くはクラウドベース、SaaSベースで提供され、企業は必要な方面の必要なレギュレーションの分だけPay as you goで購入すればよく、従来のように社内弁護士などを確保する必要がなくなる。

金融機関の取引の多くが電子化され、全世界的にネットを通じて行われるようになった現在、取引をめぐるレギュレーションも相当に厳格になってきている。
また、それに対応するための金融機関の負担も相当だ。そのような状況が当面続くと予想される今後、それに対するソルーションを提供する機運も高止まりのまま推移するだろう。

RegTechビジネスは今後、特に金融機関における「今そこにある危機」に応ずる形で、次々に生まれて来る事は間違いない。


<参考・参照元>
A Report on Global RegTech: A $100-Billion Opportunity - Market Overview, Analysis of Incumbents and Startups
What is Regtech? And Why is it Becoming the Next Big Thing?
10 RegTech Companies Making Waves in the Industry - DisruptorDaily
10 RegTech Startups transforming compliance - Disruption Hub
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