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WaymoがTrovと自動運転車保険のパートナーシップ契約を締結、業界の先駆けとなるか?

Google傘下の自動運転車開発スタートアップ企業のWaymoが、insurtecスタートアップ企業のTrovと自動運転車の搭乗者用損害保険のパートナーシップ契約を締結した。

自動運転車用保険のパートナーシップは、これから本格的な自動運転車普及の時代を迎える業界において先駆けとなるのか。自動運転車が普及する未来の姿を予想する。


WaymoとTrovのパートナーシップ契約

Waymo(ウェイモ)はGoogleが設立したアメリカの自動運転車開発企業だ。
Googleが2009年に始めた自動運転車開発プロジェクトをベースに、Google持ち株会社アルファベット傘下の子会社として2016年に設立された。同社はこれまでに500万マイル(約800キロメートル)以上の走行実験を繰り返し、独自の自動運転技術を確立させている。
同社はすでに無人の自動運転を成功させていて、自動運転レベルのレベル4実現に最も近い位置にいる一社とされる。

そのWaymoが、同じくアメリカのInsurtechスタートアップ企業のTrov(トローブ)とパートナーシップ契約を締結したというニュースが報じられた。
ウォールストリートジャーナルが報じたところによると、TrovはWaymoの自動運転車の搭乗者向けに、事故時の物損や医療費などを補償する損害保険を提供するという。しかも、保険は自動的に付与され、Waymoのサービス利用コストに保険料が含まれるという。
別の記事で、自動運転車の普及が保険業界に与える影響について書いたが、現実の自動運転車の世界で、保険のパートナーシップという話が現実として出てきたというわけだ。


オンデマンド保険のTrovは新分野参入へ

なお、Trovにとって、今回のWaymoとのパートナーシップ契約締結は同社の新分野への参入を意味する。
Trovはもともと、スマートフォン、カメラ、家電、自転車、楽器といったアイテムに、Pay as you go方式で保険をかけるオンデマンド保険を提供している会社だ。
Pay as you go とは、必要な分を必要な期間だけという意味だが、同社の保険は比較的少額の物品を対象にした損害保険が中心で、収益の柱としては限定的だとの見方があった。しかも、同社のオンデマンド保険は短期間だけかける事も可能で、従来型の損害保険のような収益の安定性が確保できていない可能性もあった。

さらに、各国の保険に関する既存のレギュレーションなどの関係で、同社のオンデマンド保険は今のところ、オーストラリアとイギリスでのみ販売されており、収益拡大余地が限定的であると見られている。
事業拡大を図る上で、自動運転車の搭乗者向け損害保険事業に参入できる今回のパートナーシップは、Trovにとって渡りに舟だったろう。
今後かなりの高い確率で普及が見込まれている自動運転車の保険のビジネスに、ビジネスの黎明期からコミット出来ることは、同社にとって非常にポジティブな機会であったと言える。


車両のメンテナンスはAvisが担当

ところで、Waymoの自動運転車の走行試験が行われているアリゾナ州で、自動運転車の整備をレンタカー大手のAvis(エイビス)が行う別のパートナーシップ契約が締結されたという。レンタカー各社は、すでに自前の整備工場で自社が保有する車両の整備を行っている。
車両整備のインフラを持つレンタカー会社が、今後普及すると予想される自動運転車の整備を担当することになるわけだ。

航空機の世界では、すでに航空機のオーナー、オペレーター、MROと呼ばれる整備会社による明確な役割分担体制が敷かれている。
それぞれのプレーヤーはそれぞれのオペレーションに特化し、コストを含めた効率化を進め、技術やノウハウを蓄積する。
航空機という恐ろしくハイテクなモノを扱う上では、これら三者による役割分担が色々な意味においてベストなのだ。

自動運転車の世界も、似たような役割分担体制が敷かれる可能性が高いと筆者は予想する。自動運転車も、おそらく航空機並みのハイテク技術の塊だ。
各種のセンサーやLidarなどのハイテク部品から始まり、部品に搭載するソフトウェア、ファームウェア、AI、IoT関連システム、各種のクラウドコンピューティング関連技術等々、枚挙に暇がない。
そのようなハイテク技術の塊を、従来の自動車を所有管理するような仕方で所有管理することは、極めて難しいだろう。


パートナーシップ契約は業界の先駆けとなるか?

というわけで、今回のWaymoのTrov、Evisとのパートナーシップ契約締結は、来るべき自動運転車の時代の、各プレーヤーの役割分担体制の到来を予見させる出来事だ。
それと共に、自動運転車の所有形態、または利用形態が現在のものとは大きく変わるであろうことも予見させる。

多くの専門家が予測するところでは、自動運転車の所有形態は、現在の個人が所有する形態から、法人が所有する形態へとシフトすると見られている。
自動運転車の開発コストが相応の規模になり、かつ、上述したように、自動運転車がハイテクの塊と化すからだ。

自動運転車が法人所有になる事で、自動運転車の利用形態もタイムシェアリングなどのPay as you go方式にシフトするだろう。
UberやLyftなどのライドシェアリングの普及が世界的に進んでいるが(日本を除いてではあるが)、自動運転車はライドシェアリングと市場を分け合う形で普及が進むと予想する。
今回Waymoとのパートナーシップ契約締結により新たに自動車保険の世界に参入したTrovの経営陣が、それを見越しているとすれば、驚くべき経営判断であると断言せざるを得ないだろう。


<参考・参照元>
Waymo teams with Trov on passenger insurance for self-driving service – TechCrunch
Waymo

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