CAREER

キャリア

データサイエンティストとはどんな職業なのか。必要なスキルや企業にとって必要なこととは?

IT技術が日々進化している昨今、ビッグデータの解析結果をビジネスに活かし業界での競争力を高めようと企業は躍起になっている。
ビッグデータを活用した新たなビジネスや、イノベーションの創出に向かっての動きは社会全体に及んでいるなか、NHKの番組「プロフェッショナルの流儀」で取り上げられるなど、注目されているのがビッグデータ解析の専門家であるデータサイエンティストだ。


データサイエンティストの現状と将来性

米求人サイトのグラスドアによって制作された米国の「ベストジョブ・ランキング2017」では、ランキング常連のHRマネージャーや戦略マネージャーなどを押さえ、データサイエンティストが首位に立った。このランキングは所得・職務満足度・雇用数といった3つの評価指針に基づき、各職業の将来性の高さを総合的に評価したものである。

そういった世界状況とは裏腹に、日本国内でも急激に増加する社会の需要に対してデータサイエンティストの数はまだまだ不足している。このような現状を解消すべく、2013年に「一般社団法人 データサイエンティスト協会」が発足され、学会等と連携した活動や養成講座の開講によりデータ解析のスペシャリスト育成の後押しを行っている。

AIの導入により一部自動化できたとしても、全体を把握しAIでは対応しきれない部分も扱うことができる高度な知識と、ビジネスセンスを持った専門家が必要である。特に、Webマーケティング業界や医療系の現場などでの需要は大きく、現代のビジネスシーンにおいて重要な役割を担う仕事である。


データサイエンティストに必要なスキルとは?

データサイエンティストは、情報解析のため必要不可欠なツールやデータ分析の専門家として、ビジネス力・データサイエンス力・データエンジニア力を兼ね備えていなくてはならず、その知識とスキルは多岐にわたる。また、データサイエンティストになるための必須資格は特にないとされているが、統計学・データベース・情報科学についての深い知識が必要だ。データ解析の専門家であるデータサイエンティストとして、活躍するために役立つ資格は次のようなものがある。

「統計検定」
データ分析する際、得られたデータをどのように分析するか、分析結果から何が読み取れるかを考えるための統計学的な知識が求められる。統計検定は総務省が後援しており、データサイエンティストを目指すならば、大学1・2年生程度の統計力が試される2級程度以上の知識が必要である。

「OSS-DB技術者認定試験」などデータベース資格
データベースの操作によって分析に必要なデータを抽出したり、データベース負荷をかけずに円滑に分析するための知識が必要となる。データベース資格でも代表的なものとして、特定の企業や製品に依存しない資格「OSS-DB技術者認定試験」や、製品に特化した資格が挙げられる。

「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」
情報処理技術者試験はシステムエンジニアには必須な国家試験で、高度なIT技術とその活用能力が求められるデータサイエンティストも、取得した方が良いとされる資格である。なかでも、エンジニアの基礎的スキルを身に付けるための「基本情報技術者試験」や、基本情報より発展的な「応用情報技術者試験」の取得が推奨される。


データサイエンスのAI化

IT企業のトランスコスモスと、調査・分析専門企業のトランスコスモス・アナリティクスは、機械学習の自動化を実現するAIプラットフォームDataRobot」をサービス部門・管理部門に導入し、それを操作・管理できるデータサイエンティストを100人以上育成する取り組みを開始した。両社は機械学習の民主化の担い手としてデータサイエンティストを育成するため、AI・機械学習推進室を新設し「1本部1データサイエンティスト」プロジェクトを始動すると発表した。

AIプラットフォームDataRobotは、一般的なビジネスパーソンでも簡単な操作でディープラーニングなどの高度な分析ができるプラットフォームである。具体的な活用事例としては、トランスコスモスが運営する通販ブランド「日本直販」において、ダイレクトメールやカタログ配信のリストマネジメント業務にDataRobotを活用し、従来のデータサイエンティストが構築した予測モデルに比較すると売上150%増、リスト管理業務工数50%カットに成功し想定を大幅に上回る成果をあげた。同時に自社の成功事例や人材育成ノウハウを生かし、DataRobot Japanのリセールパートナーとしてユーザー企業向けの関連サービスをすでに20社以上の企業で導入が進まれており、2017年度は1億円以上の売上を目指している。

これは単にDataRobotを販売するものではなく、自社の経験豊富なデータサイエンティストがユーザー企業での活用を念頭に置いたワークショップやトレーニングを行い、機械学習の浸透を支援しようとするものだ。さらに、機械学習に必要なデータベースの環境整備や、DataRobotと外部システムとの連携をスムーズにするDMPサービス「DECode(デコード)」、デジタルデータを活用し広告・マーケティングをトータルサポートする「DECAds」シリーズなど、各種アウトソーシングサービスと組み合わせ統合ソリューションとして提供している。


データサイエンスの今後とは

2017年5月、総理大臣官邸で開かれた「未来投資会議」では、第4次産業革命の推進に向けたSociety5.0の構築に向けた様々な課題や公的資産・サービスの民間開放について議論が行われ、世界に後れをとっているIT事業の成長戦略の策定に向けて検討を加速していきたいと結論づけた。

また、2017年5月には、データ管理と機械学習において最も高速で使い易くセキュアなプラットフォームを提供するCloudera(NYSE:CLDR)が、データサイエンティストのためのセルフサービスツールCloudera Data Science Workbenchの一般提供を開始したことを発表した。このワークベンチによって、導入企業は操作が容易で高速セキュアなセルフサービスデータサイエンスを実現することができるようになる。

現在、日本の経営やビジネスの現場において、米国ほどデータサイエンスの有用性が評価されていない。ビッグデータを効果的に整理・分析し経営課題解決のための答えを導き出すためには、データサイエンティストが不可欠である。IoTの進化に伴い収集可能なビッグデータの質と量は膨大になり、そのなかから有用なデータを掘り起こすためのキーパーソンであるデータサイエンティストが存在しなければ宝の持ち腐れとなってしまう。

残念ながら現状は米国と日本との間で、データサイエンティストの数や活躍の場に大きな開きがある。このまま世界との差が開き日本企業が成長のチャンスを奪われてしまう前に、一刻も早くデータサイエンティストを育成する必要性があるだろう。


<参考・参照元>
Best Jobs in America | Glassdoor
データサイエンティストの現状と将来性 | データサイエンティストの仕事、なるには、給料、資格 | 職業情報サイトCareer Garden
米求人サイト「ベストジョブ・ランキング」2017年有望な職業トップ20 | ZUU online
データ・サイエンティストとは? | SAS
データサイエンティストになるには資格は必要?データ分析に役立つ資格|インターネット・アカデミー
データサイエンスにおけるRubyの現在の位置づけと可能性 | しまねソフト研究開発センター
平成29年5月12日 未来投資会議 | 平成29年 | 総理の一日 | 総理大臣 | 首相官邸ホームページ
Cloudera、Data Science Workbench(データサイエンスワークベンチ)の一般提供を開始 企業におけるデータサイエンスや機械学習の活用をより促進 | Hadoopとビッグデータソリューションのリーディングカンパニー | Cloudera Japan
日本がデータサイエンティスト教育で米国に圧倒的に遅れた理由|IT&ビジネス 業界ウォッチ|ダイヤモンド・オンライン

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