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チャットツールによる組織横断のコミュニケーションが職場を活性化する

かつてはビジネスに合わせてシステムが作られていたが、今後は「つながりのシステム」を導入することでコミュニケーションの形を変え、組織を、そしてビジネスを変えていくだろう。今、企業でも活発に導入されているチャットツールは、よどんだ組織にどんな風を吹き込んだのだろうか。


「つながりのシステム」が造るコミュニケーション

DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代において、SoE(System of Engagement)が注目されている。これはSNSに代表される、人と人との関係性を強化するための「つながりのシステム」だ。それに対して企業内の基幹システムに代表されるのがSoR(System of Record)だ。SoRは、決められた業務ルールに従ってデータを定義し、ロジックを設計する。システムは決まったデータ項目、データ形式しか受け入れず、もし他の情報があったとしても蓄積されることがなかった。

SoEでの表現形式は基本的に自由である。より感情を伝えるために、写真や絵文字も扱う。自由に表現することで密なコミュニケーションが可能になっているのだ。
この密なコミュニケーションはさまざまな垣根を越えてゆるやかなコミュニティを作っていく。このコミュニティにつながる人々がお互いを高めあうことで、いままで誰も成し遂げられなかった規模のパワーが生まれていく。

企業でも組織の活性化を目的としてコミュニケーションを密にしようとシステムを導入するケースも多くなった。その代表的なツールがチャットだろう。


目立たない人が、活躍する職場になる⁉

チャットを導入した企業に話を聞くと、予想以上にコミュニケーションが改善につながったというケースが多い。例えば、苦情などのネガティブな意見は面と向かって言うよりもチャットを介すほうが言いやすい。チャット導入前には聞けなかった意見を聞くことができ、業務の改善に役立つことが多いのだそうだ。

また、社員同士が以前より仲良くなった、と言う声も耳にする。客先へ常駐する形態の会社では、客先に人が分散してしまい、同じ会社でも顔を合わせることが少なくなる。しかし、SNSで作業状況やその日のランチで食べたものなど、ささいなことを共有することで、互いの状況がよくわかり、リアルなコミュニケーションにもつながっていくのだという。

いちばん興味深かった話は、普段目立たない人が活躍するということだ。普段は意見をあまり言わない人が積極的に意見を言い、情報を共有することで、自然と周りの人が発言するようになる。リアルな空間だと、上下関係や役割の違いなどで、口をつぐんでしまうことが多い。しかし、こうした沈黙のツール上では解き放たれて、さまざまな意見がよせられるようになるのだ。

システムならではの活用法もある。セゾン情報システムでは、投稿履歴を解析して離職の前触れを察知し、いち早くケアできるようにした。

さらに自動化も大きなメリットだ。多くのツールでは豊富なAPIを提供しているため、チャットをトリガーとした処理の自動化も可能となっている。サイバーエージェントでは承認プロセスを自動化し、ツール上で可視化することで生産性を向上させた。

経営的な視点で見ると、もっとも期待されるのが組織横断の取り組みへの効果だろう。組織において事業部が違うと働いている人の顔も知らない。交流もないからまったく情報が入ってこない。本来ならば、異なる専門を持つ人がチームを組んで仕事をすれば、圧倒的な成果が期待できるにもかかわらず、多くの仮想組織が上手くいかないのは、コミュニケーションに壁があるからだ。しかし、変化の激しい時代、異なる経営資源を融合させて成果を出さなければマーケットでの存在感をなくしてしまう。米マイクロソフトのダン・スティーブンソン氏は「Microsoft Teams」を開発した理由について、個人の生産性よりもチームでの生産性が重視されるようになったことが背景にあるとコメントしている。

5年前に比べると、1人の社員が所属しているチームの数は、約2倍に増えている。その結果、コミュニケーションの数が増え、社内外のメンバーとも情報を共有したり、場所やタイムゾーンに縛られない情報共有が求められている。
引用元:新たな働き方で改革を実現――、Microsoft Teamsの可能性に迫る - クラウド Watch


チャットを使う風土を醸成するのが成功の秘訣

今まではLINEやFacebook Messengerなどの消費者向けのチャットツールを導入する企業も多かったが、ニーズの高まりから法人向けのチャットも発売されるようになった。英語のメッセージがとっつきにくかったSlackは日本語版のリリースを計画しているし、マイクロソフトは「Microsoft Teams」正式版をリリースした。

選択肢が大きく広がり、導入しやすくなった反面、導入したはいいが使ってもらえないという壁にぶち当たる可能性もある。チャットツールは全事業部に導入することが多いが、リテラシーは微妙に差がある。全ての人に活用してもらうためには「例えばこんな使い方をしたら、こんなに便利になる」という提案をしていく必要があるだろう。

また、ツールの選択肢が多い分、「何故このツールにしたの?」という不満も出てくるかもしれない。トップダウンで強制的に使用させるよりは、事業部の垣根を越えてツールを活用していこうという気運を高めることや、事業部を限定してパイロット導入して効果を目で確かめて納得してもらうなどの方策も必要だろう。

ピラミッド型の組織は今でも理にかなった構造だ。指揮命令系統がはっきりとしているからこそ、トップダウンでの指示が浸透しやすい。だが、この構造の厳格さの影で口をつぐむ人は多い。その点チャットは、組織の垣根を越えたコミュニケーションをいとも簡単に成立させてくれる。今まで顔も知らなかった人の意見が聞ける。意見を聞いてもらえる。チャットツールはつながりのシステムとして、縦割り組織に風穴を空ける道具となっていくだろう。

「たかがチャットツール」と侮るなかれ。ツールによるコミュニケーションの強化がDX時代の勝利の方程式になるだろう。



<参考・参照元>
企業のピンチをチャットが救う - チャットファースト:ITpro Active
新たな働き方で改革を実現――、Microsoft Teamsの可能性に迫る - クラウド Watch

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