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AI時代で生き残る!「士業」にとって必要なスキルとは!?

近年、AI技術の進化の煽りを受けるといわれている、弁護士や会計士などの「士業」。テクノロジーの進化により、士業が行なっている作業の多くはコンピュータに代替されるという。AI時代に生き残る士業の条件について議論しながら、ビジネスマンが今後必要なことを探る。


士業にとって脅威の技術「AI」「スマートコントラクト」

2015年12月、野村総合研究所が「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能」という研究結果を発表し、大きな話題を呼んだ。この結果の特徴は、いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれていた業務までAIに代替される可能性が示されたことだろう。この発表から動きは徐々に加速しつつ、世のなかの風向きも変わりつつあるのだ。

ここ最近の大企業の不正会計事件は、監査法人の存在価値を問い直すものとなっている。このような事態が続くと、監査は人間ではなくAIの技術を用いて自動化するのが良いのでは、という意見が出てきてもおかしくない。また、ブロックチェーンを活用したスマートコントラクトの実証研究も着々と進んでいるのだ。

このスマートコントラクトとは、契約の記録をブロックチェーンの技術を用いて改ざんされないようセキュアに保存、かつエスクロー取引などを実現し履行を円滑に行う。自動販売機にお金を入れたら、当然のごとく商品が出てくるように、契約もこのように確実に実行される時代が訪れるかもしれない。
そうなると、契約のトラブルなどに関わっていた弁護士などは大きな影響を受けることだろう。当然、従来の業務は減少することが予想される。この記事では進化するIT技術の現状を踏まえ、今後「士業」が生き残る道を議論する。


AI技術で自動化が進む、経理・会計業務

経理業務の自動化は、会計ソフトの進化により大きく進んでいる。例えば、クラウド会計ソフトの「freee」はOCR機能を強化して、領収書の仕分け業務の効率化を実現している。もちろん、100%の読み込み率ではないものの、その精度は向上する一方だ。また、入力の手間が省かれるように、金融機関やPOSレジなどと連携し、入金や売り上げ実績もすぐに会計ソフトへ反映されるようになっている。さらに、会計ソフトに保存されたデータをもとに、監査に必要な決算書は即作成されるという。

そもそも、決算書の作成は日々の経理業務で発生するお金の流れをそのまま落とし込むことにすぎない。決して難しいアルゴリズムが動いている訳ではなく、ほとんどパターン化されているのだ。会計ソフトでは、ソフトのプログラムによってほとんど間違いなく作成される。これまでのように、会計士が膨大な作業を行い、決算書を作成する必要はほとんどなくなるといって良いだろう。

こうなると、監査法人が絡むような不正会計はほとんど発生しない。なぜなら、監査法人そのものの必要性が無くなる可能性があるからだ。今後、会計ソフトのメーカーは自社ソリューションの存在感を高めるために、これまで人間が行なっていた業務を自動化できるよう開発を進めるだろう。それに対して、人間はどのように対抗すれば良いのだろうか。


スマートコントラクト実現で、契約に関わるトラブルが激減

また、士業の花形である弁護士も今後の業務が激減するリスクがある。それがスマートコントラクトの存在だ。先にお伝えしたとおり、スマートコントラクトが普及すると、契約は自動販売機で飲み物を買うかのごとく、当たり前に履行されることになる。こうなると、これまで弁護士が必要とされていた契約に関わるトラブル処理は激減するだろう。

スマートコンタクトを実現しようする動きは、実証実験が世界中で進んでいる。今後、スマートコンタクトに関わるソリューションがIT企業から提供され、そのプラットフォーマーの地位を獲得しようという動きが出てくるだろう。そうなる前に、弁護士も新たな道を模索する必要があるのではないだろうか。


生き残る士業は必ず存在する

AIやスマートコントラクトの登場は、士業の存在に大きな影響を与えることはご理解いただけただろうか。この分野の発展は想像以上のスピードで進んでおり、早ければ東京オリンピック・パラリンピックが開催される頃には、当たり前のように使っているかもしれない。それでは、士業の業務は全てAIに代替されていくのだろうか。もう人間の士業の存在価値はないのだろうか。

筆者は、それはないと考えている。顧客に必要とされ、生き残る士業は必ず存在する。現在のAIは、パターン化された業務を学び、それを人間より圧倒的に早く正確に行えるのが特徴だ。一方で、パターン化されていない部分は人の手が必要となる。例えば、企画立案に関わるクリエイティブで、人間と高いコミュニケーション能力が必要な分野は今後も人間が関わり続けるのではないだろうか。また、それを提案する営業力も士業にとって必要な能力となるだろう。これらの要素を兼ね備えていれば、AIに代替されることなく、むしろAIやスマートコントラクトを使いこなす士業として、よりその価値を高めていくことができるだろう。

今後は、AIやスマートコントラクトの利用を提案する会計士や弁護士が登場するかもしれない。一見すると、自分の首を自分で締めるような行為にみえるが、AIやスマートコントラクトはツールであって、そこに付加価値を提案することは十分可能だといえる。
キャリアで大事なことは、自動化を実現するAIやスマートコントラクトと差別化することだ。これは士業だけでなく、ビジネスマン全員が念頭に置いておくべきことではないだろうか。


<参考・参照元>
税理士や公認会計士は消えてビル清掃員は残る!高報酬の知的職業ほど人工知能に奪われる | ビジネスジャーナル
freeeの考える会計の自動化について|経営ハッカー
人工知能は本当に仕事を奪うのか:“10年後になくなる職業”税理士に聞く 生き残るための生存戦略 (1/2)|ITmedia ビジネスオンライン
『ブロックチェーン入門』森川 夢佑斗(ベストセラーズ)

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