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AI人材ってどんな人材?獲得するメリットは?

いまや、有名大学や大企業が血眼になって育成を試みる「次世代AI人材」。果たしてAI人材とはどんな人材で、獲得するメリットはどこにあるのだろうか。AI人材育成の事例やAI人材不足への対応を含めて紹介する。


企業と教育機関が血眼になる「AI人材」とは何か?

企業で人材採用や育成に携わる方であれば、「AI人材」という言葉を耳にする機会が増えているのではないだろうか。このAI人材を巡っては、大企業や高等教育機関がこぞって獲得や育成に取り組んでおり、日本の未来を支える次世代型人材として注目されている。では、AI人材とはどういった人材を指すのだろうか。企業と教育機関の取り組みなどから考えてみよう。

2017年3月13日、ソニーと東京大学はAIやVRの分野で活躍できる人材の育成に取り組むと発表した。人間の知覚や認知、身体能力をテクノロジーによって拡張する「人間拡張学」を中心とし、AIに強い人材育成に努めるようだ。
また、総務省が公表している「平成28年版 情報通信白書のポイント」によれば、AIの活用が一般化する時代になると「チャレンジ精神や主体性、行動力、企画発想力や創造性」といった、人間的資質やアイディア力が重視されるとのこと。こういった情報を総合すると、AI人材とは「AIを活用するための知識とノウハウを持ちながら、ビジネスやアイディア創出にまい進する人材」といえるだろう。

ちなみに、日本と米国とではややAI人材に対する認識が異なるという見方もあるのだ。同白書で「AI時代に重要な能力」について、米国では「情報収集能力や課題解決能力、論理的思考」が重要という回答が最も多い一方で、日本では「対人関係能力」が多数を占めたとしている。米国の労働者が単能化する傾向が高いのに対し、日本は多能化が主流であることから、このような差異が生まれるのではないだろうか。いずれにせよ、日本ではAIが仕事を全て奪うといった事態は考えにくく、「AIをフックとして周囲とどう関わっていくか」が重視されつつあるといえる。


AI人材を獲得するメリットとリスク

では、AI人材を獲得するメリットにはどういったものがあるのか。AIの分野はまだまだ未成熟で、その市場規模はどこまで拡大するのか見通しが立っていない。しかし、将来的に人間社会の変革を促す技術となることはほぼ確実だといえるだろう。こういった変革期には、いかに素早く先行投資を行いトップに近い位置を確保するかが重要だ。技術レベルやサービスレベルがトップに近いほど、その後のビジネス展開が有利になるからだ。投資が成功すれば、数百億円から数千億円規模の市場を独占することも不可能ではないだろう。

ちなみに、世界のAI人材のトップ層はGoogleやFacebookといった世界的企業に数多く存在しているとみられている。いずれも、特定の分野で独り勝ちを収めている企業だ。こういった企業が、新卒で年収2,000万円という破格の待遇を持ってAI人材の獲得に乗り出しているのは、将来「巨大な果実」を獲得する算段があるからなのだ。

一方、AI人材に先行投資するリスクも考えられる。中途半端な資金力では単に、割高な人材を取りそろえただけになり、経営コストが跳ね上がってしまう。また、年次によって給料が上がる仕組みではAI人材を評価しきれず、優秀な人材をつなぎ留められない。結果的に人材流出を招き、採用コストだけが重くのしかかってしまうのだ。AI人材の獲得は、こういったリスクも加味していく必要があるだろう。


社員の再教育で対応も。AI人材育成と獲得の難しさ

海外企業の猛烈なAI人材獲得に対し、社内の技術者を再教育して対応する、パナソニックのような例もある。しかし、圧倒的に数が不足しているうえに、もともとは別分野の開発者であったこともあり、本格的なAI人材の補強とはなっていない。

そこで、新卒採用やM&Aによって、AI人材を10倍にまで倍増させる方針を打ち出している。そもそも日本では、AIの開発、運用ノウハウを専門的に学んだ人材が本格的に社会に出てきていない。やっと産学連携でAI人材の育成が本格化したばかりということを考えると、当面のあいだは社員の再教育や、ヘッドハンティングなどで対応していくしかなさそうだ。


AI人材不足にどう対応すべきか

このようにAI人材不足が進む現状で、日本企業はどういった立ち回りを求められるのだろうか。個人的な意見になるが、AI人材を獲得する以前に「AIに対してどういったポジション取りをするか」を決定すべきだろう。要は「創る側」か「使う側」か、選択する必要があるということだ。また、AI人材としてのキャリアプランを描く労働者側としても、「この企業はどちら側か」という点をしっかり認識しておく必要がある。企業と労働者側双方の認識が一致したときのみ、AI人材の採用は功を奏すだろう。また、AI人材の育成がやっと本格化した日本では、AIのディープラーニングを専門的に理解している人材自体が少ないことから、社内に人材育成のためのリソースを設けることも必要ではないだろうか。

ただ、多くの企業は「使う側」に回ることでAI人材を確保しやすくなるかもしれない。専門的な開発スキルを持たずとも、AIを使ってビジネス創出ができる人材を取り揃えれば、少ないリソースで利益を上げることも可能だからだ。いずれにしても、世界的な企業がAI人材の刈り取りを進める中で、日本企業が突きつけられた状況は厳しいものといえるだろう。


<参考・参照元>
電機大手がAI事業に本腰 人材獲得競争が過熱、障壁に (1/3)|ITmedia エグゼクティブ
平成28年版 情報通信白書|平成28年版 情報通信白書のポイント|総務省
ソニーと東大、次世代の技術人材育成AIやVR|日本経済新聞

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