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【インタビュー】アクティブラーニングで10年分の経験を1年で習得させる!(敬愛大学 彌島康朗氏)

2012年ごろから、アクティブラーニングという言葉が教育界でよく聞かれるようになった。正解がある問題を解いたり、暗記して点数を稼いでいたりという勉強とは違い、主体的に、時には他者と協力しながら学ぶ方法が注目されている。

アクティブラーニングのプロセスは、仕事のプロセスと非常に似ている。仕事には、フローが整っていて正解がある定型的な業務もあるが、そうであったとしても、何か問題が起こったときには、自ら資料や過去の事例などを調べて、周囲を巻き込みながら解決に動かなければならない。このように、仕事という場は、想定外の出来事のほうが多いのではないだろうか。想定外の出来事にどう対応していったか、日々の仕事でも様々な学びがあるはずだが、仕事で学んだことを可視化している企業は多くはないのではないか。既存の制度であったとしても、日報・月報などのテキストベースでの報告や、年に数回の人事評価くらいしか該当するものがないのかもしれない。

そこで、アクティブラーニング型の研修や大学の講義の実績を多数持つ、株式会社アントルビーンズ 取締役であり、敬愛大学 経済学部 特任教授の彌島 康朗(やじま やすろう)氏に話を伺った。彌島氏は、アクティブラーニングでの学びの評価分析・可視化を行うことで成長を促すとともに、変化の測定に着目し、受講生の分析を行っている。


リフレクションシートで得たコメントを可視化し、提供側・受講側の振り返りに活用

同社では、アクティブラーニングでの学びを可視化するため、テキストマイニングの手法を活用している。受講生から回収するリフレクションシート内に書かれているテキストを分析し、記述内容のチャート化を行っている。

「テキストマイニングを行ったのは、敬愛大学で授業を受け持った部分について、提供する側として次年度少しでもいい品質にしていきたいと思ったことがきっかけです。」(彌島氏)

ここでいう品質とは、講座としてのいい品質か、学生にとって定着しているかの2つの視点がある。
講座としてものすごく上等であったとしても、学生に響かない講座は良いサービスとは言えないのではないか、というところに着目し、相手がどう受け止めているのかの手掛かりを得るためにテキストマイニングを行ったという。
この分析結果をもとに、講座の軌道修正を行っているそうだ。

企業においても、育成が得意な人と、苦手な人がいる。

「ある上司はよく部下のことを見ている。タイミングよく声をかけたり、フィードバックをしたり、承認をしていらっしゃる。もう一人の上司は、結果だけを見て、『気合が足りん』としかフィードバックしない。」(彌島氏)

どちらの上司についている部下のほうが成長するか。前者であることは自明である。しかし、管理職になりたての上司に対しては、あなたたちが部下を育てなさい、と会社から言われるだけで、具体的な育て方を教えてもらえるわけではない。上司こそ手探りで、部下の情報を拾う・判断する・フィードバックすることをすべて自己流でやっていることが多いように見えるという。

「実は大学の教室も育成は各教授や講師の自己流でやっているため、かなり四苦八苦しているのです。そこでの手助けとして、リフレクションシートを用いています。」(彌島氏)

この結果は、受講生たちにもフィードバックされる。ただ、テキストマイニングで可視化したものを単純に点数化することは難しい。そのため、過去と現在でどういった変化の幅があるかを測ることにしているそうだ。


成功した時こそ、振り返りとフィードバックが重要

いわゆるドリル型の正解がある勉強では、よほどさぼらない限り、著しく成績が落ちてしまうことはないだろう。しかし、アクティブラーニングや仕事のように正解がないものだと、一定したパフォーマンスが望めない場合もあるのではないだろうか。

「失敗すると反省しなさい、とよく言われますが、成功したら褒められるだけで、あまり振り返らないですよね。成功した時も分析しないといけない。なぜ成功したのか。言動レベル、作業レベルで分解していく。そうすると自分のコンディションが悪いときも、ある程度の品質は確保できると思います。」(彌島氏)

リフレクションシートには受講生自身の意識強化という位置づけもある。この意識強化がないと、コンディションがいいときと悪いときに成果のばらつきが出てきてしまう。
仕事を長いこと経験をすると、ある日「こういう時に成功するのか」と気付くこともあるが、それには時間が掛かりすぎてしまう。気付くための時間をできるだけ縮めるためにも、一回一回の体験の振り返りを意識的に行う取り組みが必要なのだそうだ。

ただ、「成功も振り返る」というのは知識としては知っているはずだ。忙しい中であっても、ちょっとした部下への声掛けで成功の振り返りも可能であるのでやっておくとよい。

「例えば、部下がいい成果が収めました。その時、『よくやった』だけではなく、『どうやってうまくいったの?』『お客様はどういう顔していた?』『前準備大変だったでしょ。なにしたの』こんな聞き方をして、一つ一つの作業を可視化する手助けをするのが良いかと思います。」(彌島氏)

相手の成果を承認しつつ、作業レベルに細分化して、プロセスを具体的に意識させる。成果を収めた部下も話すことで、自分自身の体験が整理され、成功時の追体験もできるという。

こういった声かけやフィードバックのある組織づくりも大事だといえそうだ。
指導する側の負担や功績も評価されやすい体制を作る必要がある。部下を育てることが、自分のライバルを作ることではなく、チームを強化し、自分に返ってくる仕組みを作るのも大事なポイントだ。


自己評価の視点を変えないために、「やったこと」に着目させる

自己評価の可視化についても興味深い話を伺った。

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