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防災・減災をVRアプリで身近に。自然災害をシミュレーションする大切さ

台風や地震で大きな被害が日本各地で相次いでいる。私たちの備えはできているだろうか。テクノロジーを利用した防災が近年、大きく進化している。ここでは防災に役立つVRアプリを中心に紹介する。


3秒でジャッジできなければ助からない。シミュレーションの大切さ

日本に住む私たちは、常に自然災害の脅威にさらされていると言っていいだろう。そのため、毎年のように大きな災害が発生し、多くの人が自然災害を身近なことと考えているのだ。日本が自然災害にさらされるのは次のような原因がある。

・日本は環太平洋地震帯にあり、マグニチュード6以上の地震の2割は日本で発生している
・日本には2,000以上の活断層があり、震源が地表に近いためマグニチュードが比較的小さくても甚大な被害となることがある
・世界の活火山の2%は日本にある
・日本の多くの都市は海や河の水位より低い位置にあり、水害に脆弱な国土である

こうした環境のなかで災害への被害を最小限に抑えるためには、公的な機関の整備はもちろんだが、自分自身で対処する「自助」、そして地域の人たちと力を合わせて対処する「共助」が必要だとされる。というのも、災害が発生したとき、救助を待っているだけでは助からないという現実があるからだ。

国際救命救急災害レスキューナースとして活動されている方の話では、その場にとどまるべきか、そこから逃げるべきか、といった判断を3秒でジャッジし行動できなければ助かることはないという。

しかし、実際に災害の被害にあったとき、私たちは正しい判断ができるのだろうか。会社などで定期的に避難訓練を行っている方は、どこか「他人ごと」としてやらされている感覚がないだろうか。生命の危機にさらされたとしても、自分は助かるだろうという根拠のない自信を持っていないだろうか。何の準備もなく、そのような危機に直面したとき、多くの人が何もできないままでいるだろう。

正しい知識を持ち、日ごろからシミュレーションをしていくことが大切なのだ。とはいえ、実際に災害が発生していないときに当事者意識を持ってシミュレーションをするということも難しい。そのため、災害を疑似体験することにより、危機感を持って判断をしていく訓練が必要となるだろう。こうした訓練に、VRで仮想災害を体験するということは防災に相当の効果があるのではないか。次章からどのようなアプリがあるのか紹介していこう。


防災対策をゲームからアプローチ「絶体絶命都市」

防災の意識は普段から持っている必要があるが、常に緊張感を持って準備をするのは難しい。でもゲームを通じて訓練ができれば、続けやすくなるだろう。「絶体絶命都市4 Plus -Summer Memories-」はプレイステーション4(PS4)のVR対応ゲームだ。主人公は就職活動のために訪れた都市で大地震に遭遇。崩れ落ちるビル、車同士の衝突によってくすぶる煙のなか、土地勘のない場所で取り残された人々と協力して脱出するストーリーとなっている。


同シリーズは災害をテーマにしたサバイバルアクションアドベンチャーゲームとなっており、前作よりもより被災地の復興に踏み込んだ内容となっているそうだ。なお、本作品の発売時期について2017年現在未定である。しかし、VRの得意とする没入感、PS4ならではのリアルな描写で災害を疑似体験することにより、危機にさらされたとき、何をするべきかを身をもって知ることができる作品であることに変わりないだろう。


避難VR体験「RIVR-Dシリーズ」を使った体験型防災イベント

高層ビルはオフィスが入居しているため大勢の人が働いており、災害時は全員が一斉に非常階段に向かうことが考えられ、この行動はかえって危険となるのだ。そのため、とどまるべき人と避難するべき人を振り分ける必要がでてくる。また、津波の危険性があれば屋上へ避難する必要があるだろう。

株式会社理経と野村不動産株式会社は協同し、「新宿野村ビル」において入居企業を対象に「体験型防災啓発イベント」を行った。イベントでは株式会社理経が開発した機器「避難VR体験RIVR-Dシリーズ」が使われ、高層ビルで火災が発生したという想定で、黒煙が充満する室内からの非難を疑似体験できる。

具体的に、体験者はコントローラを使ってVR空間を自由に移動することができ、自分の判断で避難する。視界が悪いなかで適切に避難できているか、機器によって判断し、正しい行動をアドバイスするといったシステムである。また、株式会社理経は地方自治体の総合王債訓練にも協力しており、今後は防災訓練の実施を検討している企業、自治体、学校での活用、そのほか防災イベントに展開していくそうだ。


余震の対応を学べる「防災VR/地震編」

2016年4月に発生した熊本地震では大きな余震に見舞われた。加えて、震度7の地震が発生した日の翌日、気象庁は「震度6弱以上の余震が発生する確率は20%」と発表している。通常の状態よりもはるかに高い確率だったが、地域住民は「余震が発生する確率は低い」と受け取った。その結果、防災や避難行動に結びつかなかったとされている。


「防災VR/地震編」はアイデアクラウド社の手掛けるコンテンツで、地震が発生したとき部屋のなかではどのような状態になるのか、そして揺れが収まり余震に注意しながら避難するという一連の流れが体験できる。通常のHMDを使用すると目の健康を損なう恐れがある子供のために「防災VR/地震編 for Kids」が用意されていており、こちらは単眼用のHMDで体験できるようになっている。また、アプリでは体験者の環境に合わせてCGを変更することができ、より現実味のある体験ができるように工夫されているのだ。


防災用のVRアプリを定期的に利用する仕組みづくりが重要

東京都三鷹市にある市立第七小学校では、ARアプリを使用したバーチャル防災体験と防災授業を実施しており、最新式のゴーグルをつけて避難訓練を行っている。生徒たちは煙がくすぶるなかを手探りで歩く様子や、学校周辺が洪水になる様子をARアプリのなかで避難体験した。いかに避難訓練を自分ごと化して取り組むかを課題としていたが、ARアプリを導入したことにより生徒の反応は段違いだったという。

ご紹介したように、VRアプリを定期的に利用して防災に努める仕組みづくりを今後は普及させていくべきだろう。VRを使ったリアルな避難訓練は、防災を「自分ごと化」することにより、実際の緊急時でも冷静な判断ができるはずだ。


<参考・参照元>
我が国における自然災害と災害対策|内閣官房ホームページ
災害大国日本で、君は生き抜く自信があるか!?|Ameba News [アメーバニュース]
PSVR体験版配信決定!PS4新作『絶体絶命都市4 Plus』とシリーズの歴史全て | VR Inside
「避難VR体験「RIVR -Dシリーズ」を活用した新宿野村ビル防災イベントを開催 | VR Inside
熊本地震:活断層存在7割「知らず」 余震情報生きず|毎日新聞
防災に生かすARとVR 小学校の訓練「反応段違い」:朝日新聞デジタル

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