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ITでサービス業も業務効率化の事例!稼働日が減った旅館が売り上げ増へ

稼働日を減らして、業績を改善する。一見直感に反するようなことを実現した企業がある。神奈川県・鶴巻温泉にある老舗旅館の「陣屋」だ。一時期、経営危機といえる状況にあった業績は、IT化などさまざまな取り組みにより生産性を向上させ、業績改善につなげた。この「陣屋」の取り組みには、働き方改革のヒントが詰まっている。


休業日が週2.5日、それでも業績向上した老舗旅館「陣屋」

神奈川県にある老舗旅館の「陣屋」は、その格式の高さから将棋や囲碁のタイトル戦で度々使用され、まさに典型的な高級旅館のひとつだ。その「陣屋」が、現在ITの分野で大きな注目を集めている。老舗旅館とIT、一見すると相反しているようだが、最先端のクラウドサービスをフル活用し、旅館らしからぬ異質な働き方を実施しているという。

現在、「陣屋」は週に2.5日が休業日となっている。具体的には月曜の朝、宿泊客がチェックアウトしたあとの半日、火曜、水曜が旅館の休業日で合わせて従業員も休むといった働き方だ。つまり、旅館が稼働しているのは木曜から日曜泊までとなる。一般的な旅館よりも稼働日を短くしたことで、売り上げがどう変わったか気になるところだが、その心配とは反対に業績は大幅に改善している。加えて、従業員の待遇や働きやすさも改善され、サービスの向上も実現したという。まさに、「陣屋」の取り組みは「働き方改革」の成功例といえるだろう。


「陣屋」が取り組んだ売り上げ増加のためのシンプルな施策

「陣屋」が取り組んだ施策はサービスの質を向上させ、単価を上げることで売り上げをアップ。その一方で、業務効率化を進めることでコストを下げるといった、実にシンプルなものだ。経営の大原則に沿った施策とも言える。売り上げアップについては料理に着目し、食材や演出を変え、大きくリニューアルして顧客単価を高めた。業務効率化については、非生産的な業務の削減などを図った。これにより、顧客対応に回す時間を増やし、サービスの質を高めることに成功したのだ。

また、これらの取り組みを進めるうえで、必要不可欠だったものがITである。クラウドサービスを活用した情報の見える化および共有化は、ほぼアナログだった「陣屋」の業務を大きく変えた。まず、月次管理を日次管理に変更し、PDCAを素早く回すことに成功。あわせて、過去のお客様情報をクラウドに記録することにより、「おもてなし」をこれまで以上に行うことができた。さらに、SNSやチャットを利用して従業員同士でスムーズにやり取りができるようになったという。これらの取り組みにより、「陣屋」の生産性は大きく向上したのである。

生産性の向上に伴い、従業員への還元もしっかり行われるようになったことに関しては、従業員側からみても給与が増えるだけでなく、休みが増えることで会社に対する信頼も増したはずだ。その結果、社員も定着しサービスの習熟も進むようになったのではないだろうか。まさに、組織が好循環のフェーズに入ったと言える。経営者、従業員、そして宿泊客全員が幸せになれる、理想的な「働き方改革」の実施例である。


「陣屋」のシステムは他の旅館でも活用が

この成功例は、他の旅館にも大きな影響を与えた。「陣屋」が開発したクラウドアプリケーション「陣屋コネクト」は、現在さまざまな旅館・ホテルで導入されている。「陣屋コネクト」は、予約情報から顧客情報の管理、会計処理、勤怠管理、SNSまで、旅館経営に必要な機能が搭載されているものだ。また、クラウドサービスのためデータは一元管理でき、インターネット環境があれば、タブレットやスマートフォンからのアクセスも可能。このような利便性にも優れた機能を持ち、かつ導入コストも低いということで、採用旅館は拡大し続けているという。ITが浸透する背景には、古くから続く老舗旅館ほどIT化が乗り遅れているという現状がある。この辺りの事情は、かつての「陣屋」にも共通しているそうで、IT化しようにもノウハウがなく、SIerに外注できるような資金もない。そのため、紙をベースとして業務を続けざるを得なかったそうだ。老舗旅館「陣屋」がIT企業としての業態を持っている点は非常に興味深い。「陣屋」のように業務IT化の成功実績を他社にも展開し、ビジネスとして応用した点は、働き方改革で新たなビジネスチャンスが生まれることを意味しているのではないだろうか。


生産性を高めるために必要なこと

ITをベースにしつつ、働き方改革を実現した「陣屋」。この事例から、働き方改革における生産性向上に必要な要素を取り上げたい。

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