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WeWorkは日本のコワーキングスペースに革命を起こすのか。注目のユニコーンが日本上陸

WeWorkという企業をご存じだろうか。米ニューヨーク発のベンチャーで、UberやAirbnbと並ぶユニコーン企業として大きな注目を集めている。その、WeWorkがこのたびソフトバンクグループと合弁会社を設立し、2018年には東京でサービスを開始すると発表した。WeWorkが提供するコワーキングスペース、そこは私たちの働き方を一変させるかもしれない。


Airbnb、Uberと並ぶ注目のユニコーン企業・WeWork

2018年、WeWorkが日本に上陸する。これにより日本のオフィスの常識、あるいは働き方そのものが大きく変わるかもしれない。Airbnb、Uberなどと並び注目を集めるWeWorkは、創業わずか7年で評価額約2兆円に成長した。世界15か国で展開、155か所の拠点を有し、その会員数は2017年時点でおよそ17万9,000人といわれている。WeWorkのビジネスモデルは、コワーキングスペースの賃貸だ。日本ではシェアオフィスと呼ばれるのが一般的かもしれない。「メンバー」と呼ばれる会員へいつでも使えるデスクや会議室、キッチンなどを提供している。また、ワーキングマザーへ授乳室を用意したり、車いす利用者も安心して使えるユニバーサルデザインを採用したりといった、施設や設備へのこだわりも見られる。ゆくゆくは宿泊スペースやヨガルームなどを備えるという構想もあるそうだ。なお、WeWorkでは4つの利用プランを用意しているが、24時間365日いつでも利用可能なプランは月額220〜400ドルほどである。

これだけ聞いてもWeWorkのすごさが伝わらないかもしれない。加えて同様のサービスは、他社でもすでに展開されているのではないかと思う。しかし、WeWorkのサービスは他社にない特徴がある。それが、「スペースのデザイン」、「コミュニティ」、「テクノロジー」の3つだ。


こだわり抜くスペースの「デザイン」

WeWorkの1つ目の特徴として挙げられるのが、利用したくなるコワーキングスペースのデザインだ。この空間デザインにWeWorkは強いこだわりを持っており、「新しいデスクの写真を撮ってInstagramに載せたい、と思わせる場所でなければならない」と、WeWorkの共同創業者であるミゲル・マケルビーCOOはインタビューで答えている。具体的にはメンバーのクリエイティブな発想をかき立てるため、オフィスではなくブティックホテルのような空間を作ることを意識しているそうだ。照明にもこだわり、一般的なオフィスに見られる強い照明ではなく、居間にいるような温かみのあるものを採用した。また、オフィススペースはパーテーションで区切られているものの、ガラス張りになっており、働く人同士の熱意が伝わりやすく、共有されやすいようにつくられている。そして、ミーティングルームは必要十分な数が用意されているため、満室になることはないそうだ。

クリエイティブな発想を生むには、仕事をしている「オン」の状態だけでなく、リラックスできる「オフ」の状態も重要である。WeWorkでは、そんなリラックス環境も充実しており、ランチの際に賑わうダーツスペースやフィットネスを行う部屋もあれば、シャワールームまで完備されているのだ。WeWorkがコワーキングスペースをデザインするとき、「メンバーがコワーキングスペースに訪れた瞬間にモチベーションを高め、インスピレーションを得られるにはどうすれば良いか」ということを意識している。そのため、さまざまなアイデアに投資して、トライアンドエラーを重ねながらアップデートが行われているのだ。


WeWorkと他のコワーキングスペースとの違い「コミュニティ」

WeWorkは、メンバー同士のネットワーキングを通じてコミュニティができるようになっているところが最大の強みである。WeWorkの運営するワーキングスペースは、言葉に表すなら「リアルSNS」といったところだろう。また、こうしたメンバー同士の交流が円滑に進むよう、「コミュニティマネージャー」を各拠点に設置している。メンバー同士の交流は週に10〜15回ほど、ほぼ毎日のように開催されているパーティーやセミナーなどで行われている。これらイベントの企画は、コミュニティマネージャーが行うこともあれば、メンバーが自主的に開催することも多い。内容も勉強会や交流会から、ヨガやフィットネスなどビジネスに関係ないものまで多岐にわたる。メンバー同士はイベントを通してのコミュニケーションに加え、専用アプリを用いてイベントに対する意見を伝えることも可能。この専用アプリ内では一緒に協業できるデザイナーやライター、ディレクターなど人材探しもさかんに行われるという。そして、異業種かつ多様なメンバーが集まっていることから、そこで多くのコラボレーションが生まれる可能性も考えられる。WeWorkはコミュニティづくりを積極的に進めることで、会員に対して価値を提供しているのだ。


フリーランスを悩ます、コミュニティの問題

コミュニティについては特にフリーランスで働く人にとって大きな問題である。フリーランスは会社員と違い、基本的に1人で仕事を行うことになるため、コミュニケーションを取る機会が限られており、精神的に辛いことも多いだろう。フリーランスのデメリットとしては、収入や老後の年金のことがよく取り上げられるが、このようないわゆる「孤独感」の問題もあるのだ。そう考えると、WeWorkのコミュニティを作る取り組みはフリーランスにとって非常にありがたい取り組みである。コミュニティを作ることで、1人にならないだけでなく、そこでコラボレーションが生まれれば自分だけではできなかった仕事もできるかもしれない。即席のプロジェクトチームを作ることも十分に可能だろう。


メンバーはフリーランスだけでなく法人も

WeWorkは個人だけでなく、法人も利用している。コワーキングスペースは会社員に関係ないと考えがちだが、WeWorkはこのような層を取り込むことに成功した。法人契約をすると、その企業の従業員がWeWorkのコワーキングスペースを利用できるのだが、企業のオフィスとは全く違う雰囲気で業務を行うため、生産性も高まるのではないかと考えられている。また、契約しているのはベンチャー企業に限らず、米マイクロソフトやゼネラルエレクトリック(GE)といった、大手企業も利用している。日本でもすでにみずほ証券が法人契約しているそうだ。


WeWorkの驚くべきテクノロジー

WeWorkの本質は「テクノロジー企業」。ミゲル・マケルビーCOOは、メディアの取材に対してこのように答えている。このテクノロジーについても、他のコワーキングスペースを提供している事業者にない強みだ。WeWorkでは、ビルの設計・施工を三次元でシミュレーションできるソフトウェアを自社開発している。これを用いることで、新しいビルの試作モデルをデジタルで素早く行えるのだ。新しいオフィスを作る際にも三次元の空間データを収集し、空間あたりの収容効率から家具、照明、人々の導線を自らデザインできるようにしている。このデータドリブンな設計を可能にすることで、WeWorkはメンバーに対する最適な空間の提供を可能にしているのだ。

また、デザインだけでなく施工管理から自社で行える体制も整えており、業者に丸投げというスタンスではなく、最適なものができるようビルの建設工程を理解し、必要なタスクを全てソフトウェア上で管理できるようにしている。これにより、建設の遅れを防ぐことができ、経営面にもダメージを与えずに済むというのだ。そして、WeWorkが今後活用を検討している技術がIoTである。ソフトバンクとパートナーシップを結んだのは、日本での展開を円滑に進めるだけでなく、技術力の強化という側面もあるのではないか。WeWorkはIoTを活用することで、メンバーがより利用しやすくなるサービスや環境を整えていくことだろう。


2018年に日本上陸。WeWorkは日本の働き方を変えるのか

WeWorkは2018年に初の日本拠点を東京で開設することを発表しており、アメリカから5人のスタッフと、日本人スタッフ15人前後でチームを結成するという。また、東京のコミュニティーメンバーはすぐ500〜1,000人に到達するとWeWorkは見込んでいることに加え、ローンチを記念したパーティーには政府、都庁、大企業の関係者から3,000人の参加登録があり、その期待度の高さがうかがえる。

果たして、世界で注目されるコワーキングスペース事業は日本に根付くのだろうか。もし根付いたら、それは日本の働き方を大きく変化させるきっかけになるかもしれない。そして、「フリーランスだからWeWorkで仕事をする」ではなく、「WeWorkで仕事をしたいからフリーランスになる」というムーブメントが起きたら、働き方だけでなく日本の社会が大きく変わることになるだろう。WeWorkはそれくらいの野望を持っているはずだ。フリーランス(あくまで一個人)の立場からすると、志は高くてもいいから、利用料は低くしてもらいたい。そんな声がWeWorkに届くことを祈る。


<参考・参照元>
WeWork コワーキングスペースおよびオフィススペース
ソフトバンクとWeWork、日本のワークスタイルを変革する合弁会社を設立 | プレスリリース |ニュース|企業・IR|ソフトバンクグループ
【直撃】スタバでは味わえない、最高の「仕事空間」はこう生まれた|NewsPicks
【直撃】大企業に問う。本社ビルで働く社員は「ハッピー」ですか?|NewsPicks
日本上陸間近? コミュニティで働き方に革新を起こす「WeWork」@ソウルを訪ねた|BUSINESS INSIDER JAPAN
【独占取材】WeWork日本法人社長 ——あの大企業もすでに会員に。「日本は『変化』を求めている」|BUSINESS INSIDER JAPAN
2兆円のコワーキングスペースWeWork。その価値は彼らが「テック」企業であることにある|WIRED.jp

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