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ダイバーシティ・マネジメントとは? 企業が人材の多様化に対応する術を知っておこう

少子高齢化社会が進むにつれ、外国人労働者の増加や、障害者の雇用、LGBTへの理解など、企業はさまざまな人材を受け入れていくことが求められるだろう。そうなった時に企業や社員一人ひとりに求められるのが、ダイバーシティ・マネジメントである。
それはどのようなものなのか、実践例も交えて改めてみていこう。


ダイバーシティ・マネジメントの定義とは

まず、ダイバーシティを直訳すると「多様化」である。1990年ごろから「ダイバーシティ・マネジメント」は、主に女性活用の意味で使われていた。
たとえば、今では広がりつつある産休や育休、社内への保育所の設置など、会社全体での取り組みなどがそうである。
その結果、一昔前に比べると女性の労働に対する意識も変わり、女性雇用者数の劇的な増加はないものの、社会全体で理解が深まってきているだろう。

しかし、近年では「ダイバーシティ・マネジメント」の意味合いは、「多様化」という言葉の通り、外国人労働者や障害者、高齢者などの人材活用に対する戦略として定義されている。外資系企業にとってはある程度はこれまで通りのことかもしれないが、日本企業においては今後重要視すべき人事施策であり、従来のマネジメントからの移行を急ピッチで進めるべき事案である。


ダイバーシティ・マネジメントを実践すべき理由とその背景

それでは、なぜダイバーシティ・マネジメントを意識する必要があるのだろうか。それは、日本全体の人口推移に大きな理由がある。2014年の厚生労働省の発表によると、2030年の就業者は5449万人に落ち込むとされており、それは2012年実績より最大13%も減少した数値となる。
予測とはいえこの現状は実に深刻であり、女性や高齢者、海外からの労働者に頼らざるを得ない状況になるというわけである。

そんな時に社会全体で果たすべき役割は、性別や国籍、障害の有無や年齢に関係なく働きやすい労働環境の構築であり、働きやすさにくわえて、多様な人材の持つ労力を最大限に引き出す環境づくりも求められる。そのための施策がダイバーシティ・マネジメントというわけである。
また、近年の人権意識の向上も後押ししており、性差別や性的マイノリティの差別、障害者や外国人への差別を許すべきではないという考えが浸透してきたことで、より多様化が求められるようにもなってきている。

2015年発表の株式会社野村総合研究所のニュースリリースによれば、労働人口の49%は技術的には人工知能やロボットによって代替可能とのことである。しかし、現在の技術では一気に代替することは不可能であり、やはりしばらくの間は既存のリソースの中でやりくりするしかないだろう。そうなった時に、既存のマネジメント方法では、居心地が悪くなる労働者が生まれることは容易に想像できるかと思う。
たとえば、外国人労働者の信仰する宗教への理解や、身体障害者や足腰の悪い高齢者の移動、もちろん現行通り子育てに対する理解もより一層深めていかなければならない。


本質的なダイバーシティ・マネジメントとは

それでは、ダイバーシティ・マネジメントとは具体的にどのようなことを実践すべきなのだろうか。まず、前提におくべきなのは、人と人の間における円滑なコミュニケーションの実現である。チーム単位で考えると、自分の視点でものを語るのではなく、相手の視点も踏まえての言動が求められる。
性別間でもものの捉え方は異なるし、相手が違う国籍ならなおさらだ。もちろん一般論を語っているだけではあるが、施策を打つ上で明確にしておくべきことであり、その根底がしっかりしているからこそ、戦略として生きてくるのである。

経営大学院の運営やMBAシリーズなどの書籍出版などを事業とする株式会社グロービスでは、法に基づく育児休業を徹底させ、時差出勤も可能にしている。また、ベビーシッターなどのサービスを割引価格で使えるようにし、柔軟な就業スタイルに貢献している。全スタッフの半分以上を女性が占めており、子育てをする女性にとっても、働きやすい環境が実現されているといえる。

IT関連事業をおこなうスターティア株式会社では、2011年に障害者オフィスを開設。管理職に障害への理解を深めるミーティングを実施したり、体調・メンタル不調による欠勤を可能にしたりすることで、2015年までの離職者は0名となっている。障害者雇用にくわえてその後のサポートの重要さがわかる事例といえるだろう。

どちらの企業も共通するのは、単なる施策ではなく、就業者にとって働きやすい環境を構築するという根底意識を形にしているという点である。


マネジメント能力は役職だけに求められる素質ではない

ダイバーシティ・マネジメントが求められてきた背景や、その実践について書いてきたが、一般的に「マネジメント」という言葉を聞いた時、どうしても役職ありきというイメージがつきものだが、それは大きな間違いである。
同僚に仕事を依頼する際にもマネジメント力は試されるし、セルフマネジメントは職場において自分の立ち位置を形成することにも繋がる。

会社として施策を打つことはもちろん求められるが、社員一人ひとりが多様化に対してしっかり向き合うことこそが、ダイバーシティ・マネジメントの行きつくべきところである。人工知能で職が奪われるなどという議論も聞くが、もしそうなった時には、今よりも人間力の有無が問われることだろう。

未来にそなえ、自分にしか人間にしかできない仕事は何かを考え、今から備えておくべきである。
そして、そのひとつの素養がダイバーシティ・マネジメントなのかもしれない。


<参考・参照元>
ダイバーシティ・マネジメントとは? | キャリアHUB | 世界最大級の総合人材サービス ランスタッド
労働力調査(詳細集計)平成28年(2016年)平均(速報
就業者数、最大820万人減 2030年厚労省推計 :日本経済新聞
日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に | 野村総合研究所(NRI)
ダイバーシティ促進に向けた取組み事例集

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