CAREER

キャリア

三井物産で進む働き方改革、日本の商社はどのように変化するのか!?

ダイバーシティや時差出勤など、これまでのハードワークにプラスして効率的な働き方を取り入れようと総合商社・三井物産働き方改革を進めている。2016年3月期に創業以来、初めて赤字に転落した名門は、この働き方改革を業績に結びつけることができるのか?
その取り組みと展望についてお伝えする。


名門商社・三井物産の働き方改革とは?

2017年3月、三井物産は競争力強化を目的とした「働き方改革」の取り組みについて、プレスリリースで発表した。2016年3月期に創業以来、初めての赤字転落を経験し、改革の一環として実施されるものと思われる。
その内容は、主に個人単位の時差出勤制度両立支援の二本立てだ。前者は、1日あたりの所定労働時間は維持したままで、通常の勤務時間帯の開始を前後90分の範囲でずらすことができるという制度である。また、休憩時間(昼食休憩)は、原則午前11時~午後2時までの任意の1時間を柔軟に取得できるようになったという。

時差出勤制度については、2016年6~8月に約1,400名の社員を対象に試験導入し、肯定的な評価が多かったことから、今回の正式導入に至ったという。会社側の狙いとしては、どの時間帯で働ければ、成果を最大化できるか真剣に考えて欲しいという狙いがあるようだ。

また、両立支援では「ワークライフ・マネジメント」の考え方を推進すべく、その一つとして「ベビーシッター代の一部補助」を2017年1月1日から導入。また、「看護休暇の適用対象となる子の上限年齢緩和」は4月1日より先行導入している。
社員、一人ひとりが、仕事(ワーク)だけでなく、生活(ライフ)でも責任を果たせるよう会社側として支援するという。
総合商社の御三家の一角として、今でも絶大なブランドを誇る三井物産でも、時代の流れにより、働き方改革推進は避けられないものとなっているようだ。


ダイバーシティ促進で女性、外国人を有効活用

このように働き方改革を進める背景として、組織の多様性(ダイバーシティ)が生まれたことがあると考えられる。
かつて、本社における「新卒日本国籍男性」が100%だった同社だが、現在ではその比率は50~60%ほどになっている。

総合職では女性の採用も増え、近年では外国籍の社員もめずらしくない。そのため、社内の雰囲気だけでなく、働き方に関する価値観も大きく変化しているという。以前は、男性の価値観を基準に考えられていた社内制度も、現在では女性や外国籍の社員の価値観を踏まえた設計も求められる。

マネジメント側も、その変化に対応することが求められる。商社にありがちなイメージだが、それこそ「24時間働ける」といっても問題ない世界だったところから、性別や国籍、従業員の家族環境の違いなどそれぞれの持つ背景を理解して、管理していく必要があるという。
グローバルの競争で勝ち残るために、この多様性を組織力として活かせるようにするのが、三井物産のもくろみのようだ。


モバイルワークの実現で生産性向上

三井物産では、オフィス外へのノートPCの持ち出しが認められている。
グローバル企業である同社では、世界中どこにいてもビジネスができるようモバイルワークの推進も行っているのだ。時差が発生してしまう中でも、工夫を重ね、コミュニケーションを取れる制度を作ることで、業務が効率的に進められるようにしている。

たとえば、深夜に打ち合わせが必要な場合は、会社ではなく、自宅からビデオ会議に参加することも可能としているという。
このように、ITの力も活用しながら、三井物産はこれまでの常識に縛られない働き方を推進しようとしている。
また、三井物産はIT施策について先進的な取り組みを進めている。過去にはWindows NTを活用したダウンサイジングに始まり、世界規模でのActive Directory構築およびExchange Serverの運用など他社を一歩先いく取り組みを行っている。
AWSの導入もいち早く進め、AWS上にSAP環境を構築した。このようなITに対する理解が、今後働き方改革を進める上で、キーポイントになるだろう。


総合商社・三井物産はどのように生まれ変わるのか!? 

ハードワークの印象が強い総合商社だが、その働き方は今後より洗練されたものになるだろう。ハードワークの文化を土壌にし、プラスアルファで効率化やIT化が進めば、他社との競争力は高まるはずだ。ひょっとすると、働き方改革がもっとも成功した例として、今後三井物産のような総合商社が出てくるかもしれない。

時代の変化に応じて、10年後、20年後の商社はその姿を大きく変えているかもしれない。しかし、決して変わらないのは、世界中に拠点を置き、その現場の生の情報を得ることができるネットワークだろう。このネットワークは、今後も商社の強みとして残るはずだ。
そして、そのネットワークを活かすためにも、今後IT化はさらに必要だろう。ビデオ会議ではなく、ARやMRなどを用いて現地の社員とより密なコミュニケーションが取れれば、業務効率はさらに向上するだろう。そのような施策は、当然三井物産も念頭に置いているはずだ。
日本を代表する名門企業の、今後の働き方改革にさらに注目したい。


<参考・参照元>
リリース | 競争力強化に向けた「働き方改革」の取り組みについて~個人単位の時差出勤制度正式導入と両立支援策の拡充~ - 三井物産株式会社
「初の赤字」で変化した三井物産の働き方 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online
独占ロングインタビュー:元三井物産情シスの「挑戦男」、黒田晴彦氏が語るAWS、情シスの役割、転職の理由 (1/3) - @IT

あわせて読みたい記事!