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シンガポールの小中学校がSTEM教育をさらに強化。3Dプリンティングやロボティクスも!

シンガポールが自国の小中学校でのSTEM教育を強化する。発表によると、現在シンガポール国内の一部の小中学校で実施されているSTEM教育を、2023年度までに国内のすべての小中学校に拡大するという。

ロボティクスや3Dプリンティングなどの最新技術を子供達に教えようとするシンガポールの狙いは何か、検証する。


シンガポール政府の応用学習プログラム

シンガポール政府が現在進めているSTEM教育プログラム、応用学習プログラム(Applied Learning Program, ALP)の運用を拡大する。

現在、世界規模でSTEM教育(科学、技術、エンジニアリング、数学の各分野に特化した教育)競争が繰り広げられているが、シンガポールが一歩先に出た感じだ。発表によると、シンガポール政府は特にロボティックス、プログラミング、3Dプリンティングなどの最新技術を子供達に教え込むという。

小中学校のほぼすべてが公立で、国家予算の18%が教育セクターに投じられるというシンガポール。
従来から教育に大きく投資してきている国だが、STEM教育プログラムの運用拡大の背景には何があるのだろうか。


2023年度までに国内のすべての小中学校で実施へ

発表によると、現在シンガポール国内の80の小学校と155の中学校で行われている応用学習プログラムを、2023年までにすべての小中学校で運用するという。
シンガポール教育省のチー・メン大臣によると、応用学習プログラムの運用により、子供達に学習する楽しみを覚えさせ、プログラミングや3Dプリンティングなどの技術を職務上のスキルとして身に付けさせることを目指しているという。

「生徒たちは(プログラミングや3Dプリンティングなどを)実際にやってみることで学びます。そして、彼らは教室の中だけでなく、教室の外でも学ぶのです。教室の中で学んだ事を、教室の外にある現実の世界で実際に試すのです」

プログラミングや3Dプリンティングを、単に知識として学ぶのではなく、あくまでも仕事をする上で必要なスキルとして身に付けさせる。
知識のための知識ではなく、スキルとして身に付けさせ、現実の世界で実際に応用させる。シンガポール政府が、国をあげて子供達の手に職をつけさせようとしているわけだ。


国立科学センターも開設し子供達にハンズオン教育を

応用学習プログラムの運用拡大とともに、シンガポール政府は国立科学センターも開設し、子供達にハンズオン教育の機会も与えようとしている。
2020年中の開設が予定されている国立科学センターでは、プログラミングや3Dプリンティングなどを実際に体験できるメーカーワークショップや、各種の実験セッションなどが行われるそうだ。

センターには各種のハイエンド3Dプリンターも設置され、子供達が作ったデジタルファイルを基に各種のパーツなどを出力する事も出来るようになるという。

シンガポールは現在、アジアを代表する3Dプリンター先進国だ。
シンガポール政府はこれまでに、自国の産業を3Dプリンティング領域へ進出させるため、国立アディティブ・マニュファクチャリング・イノベーション・センターを開設している。

また、国立南洋理工大学に4,200万ドル(2018年5月23日現在日本円にして約46億円)を投資し、各種の3Dプリンターを備えた3Dプリンティング・センターを開設させている。

シンガポールでは民間レベルでも3Dプリティングビジネスが盛んだ。
シンガポール国内には、主に法人ユーザー向けの3Dプリンティング・ビューローが多数存在し、オンデマンドで3Dプリンティングサービスを提供している。また、アジアの物流ハブの位置を利用し、メーカーのパーツなどの製造を3Dプリンターで製造するフルフィルメントサービスなども提供している。

シンガポールにとって3Dプリンターは、既に多くのビジネスを成立させている、現実にお金を生み出す装置なのだ。


シンガポール政府が目指す未来とは

応用学習プログラムの運用を拡大し、プログラミングや3Dプリンティングなどの技術を子供達の身に付けさせようとするシンガポール政府は、どのような未来を目指しているのだろうか。それを一言で言うと、第四次産業革命が実現した未来だろう。

IoTですべてのモノがインターネットにつながり、AIを搭載したロボットや3Dプリンターが人間に代わってモノづくりや、情報管理を行う。
極度に省人化されたスマート工場では各種のAIが生産管理を行い、需要予測に基づいて最適生産を行う。モノづくりには3Dプリンターも使われ、アディティブ・マニュファクチャリングでエコフレンドリーなモノづくりが行われる。

モノづくりの基本はデジタル・マニュファクチャリングで、モノのデザインづくりから出力まで、データのやり取りはすべてデジタルだ。

そのような第4次産業革命が実現した世界では、プログラミング言語が共通言語で、アディティブ・マニュファクチャリングが前提である。
そこでは、プログラミング言語が理解できなければ会話をすることすら不可能になる。この事を証明するように、シンガポール政府はプログラミング言語のPythonを、すべての子供達に教え込む計画を立てている。

資源のない小さな都市国家として誕生したシンガポールは、建国当初から人材こそが国の最高の資産だったのだろう。
シンガポールは、今もなお人に投資をし続けている。そして、我が国日本と彼我との差は、開くばかりではないだろうか。

<参考・参照元>
3ders.org - Singapore wants elementary schoolers learning 3D printing, robotics, more | 3D Printer News & 3D Printing News

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