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アメリカでAI人材の争奪合戦が激化!AI人材の給料が高騰中

アメリカAI人材の争奪合戦が激化し、給料が高騰しているとニューヨークタイムズが伝えている。
報道によると、シリコンバレーのテックジャイアント企業を中心にAI人材の採用意欲が高まり、AIスペシャリストの給料が年収30万ドルから50万ドルにも達しているという。加熱するアメリカの状況をお伝えする。


AIスペシャリストの給料が年収30万ドルにも

ニューヨークタイムズが、アメリカのテックジャイアント企業の間でAI人材の争奪戦が激化し、給与相場が高騰していると報じている。
報道によると、AIの博士号を持つ大学院卒者の給与水準が年収で30万ドル(2018年7月27日現在日本円にして約3,333万円)から50万ドル(2018年7月27日現在日本円にして約5,555万円)に高騰しているという。

特に、AI関連プロジェクトのマネジメントを経験した人材は引っ張りだこだ。
Googleは自動運転車開発プロジェクトを指揮したアンソニー・レヴァンドウスキ氏に総額1億2,000万ドル(2018年7月27日現在日本円にして約134億円)の給与を支払っていたと公表している。

AIスペシャリストの給与相場があまりにも高騰しているため、関係者の間ではNFL(アメリカのプロフットボールリーグ)が採用しているサラリー上限キャップ制度を導入する必要があるという声も出始めている。
サラリーが高騰している分野として、特に自動運転車が挙げられ、大手自動車メーカーに加え、FacebookやGoogleの参入がサラリー高騰に拍車をかけているとしている。


サラリーに加えて巨額のストックオプションも

また、サラリーに加えて巨額のストックオプションも当たり前となりつつある。
特にスタートアップ企業の場合、4年から5年程度のタームで数百万ドル規模のストックオプションが付与されるケースが少なくないという。Googleなどのテックジャイアントに対抗するために、AIスペシャリストに付与されるストックオプションの額も相応に高くなっているのだ。

ストックオプションは、手持ちの資金が少ないスタートアップ企業の場合は特に、優秀な人材を獲得するための手段として用いられる。
サラリーとストックオプションなどのインセンティブが総額で提示され、いずれも年々上昇しているという。なお、企業とAIスペシャリストとの雇用契約は通常年次で締結され、野球選手やフットボール選手のように、年々更新されるケースが多いという。


AI人材は常に不足、即戦力になる人材は少ない

ところで、AI人材の給与相場が高騰している原因だが、決定的なAI人材の不足である。
カナダのモントリオールに拠点を置くAI関連リサーチ企業のエレメントAI社によると、本格的な人工知能の研究開発を行える人材は、全世界で1万人も存在しないという。

AI人材の給与相場の高騰について、Google出身のカーネギーメロン大学コンピューターサイエンス学のアンドリュー・ムーア教授は、「(AI人材の給与相場高騰は)社会全体にとって必ずしも善い事ではありません。しかし、テックジャイアント企業にとっては合理的なことなのです。人工知能の領域における確たる人材を確保するために、彼らは必要なコストをかけているのです」とコメントしている。

なお、Googleは2014年にイギリスのAI研究企業ディープマインドを6億5,000万ドル(2018年7月2日現在日本円にして約722億円)で買収した。
買収当時、ディープマインドが抱える従業員数は50名だったが、2017年にディープマインドの従業員数は400名に増え、支払った「給与」の総額は1億3,800万ドル(2018年7月27日現在日本円にして約153億円)だった。
単純計算で従業員一人当たりの給与は34万5,000ドル(2018年7月27日現在日本円にして約3,834万円)となる。マネジメントレベルやAIスペシャリストレベルの人材であれば、給与水準は相当なものになるであろう。


特にディープニューラルネットワーク技術者の争奪戦が激化

AI人材の中でも、特に引っ張りだこなのがディープニューラルネットワーク(Deep Neural Networks)と呼ばれる分野の専門家だ。
ディープニューラルネットワークとは、データを自ら分析して学ぶ数学的アルゴリズムだ。例えば、何百万という犬の写真のパターンを分析し、犬が犬であると認識する技術である。ディープニューラルネットワークの原理そのものは1950年代に生まれたが、5年ほど前までは日の目を見る事のない、埋もれた技術だった。

しかし、2013年頃よりGoogleやFacebookなどのテックジャイアント企業がディープニューラルネットワークの技術者を採用し始めた。
ディープニューラルネットワークはFacebookの顔認識システムや、Amazonのスマートスピーカー「Amazon Echo」、マイクロソフトの音声翻訳システムなどに次々に利用されるようになったのだ。

ディープニューラルネットワークはさらに、自動運転車の開発や医療における画像診断システムなどでも活用され、活用範囲は今もなお拡大し続けている。


AI人材の新卒採用も拡大へ

ディープニューラルネットワークの技術者などのAIスペシャリストの採用に加え、テックジャイアント企業はAI人材の新卒採用も拡大している。
ライドシェアリング大手のUberが新卒のAI人材40名を採用したのを始め、他のテックジャイアント企業も新卒採用を拡大している。即戦力人材の確保に加え、AI人材の青田刈りも始めたわけだが、AI人材の不足は当面解消される事はなさそうだ。

給与相場は労働市場の市場原理で決まるものだが、AI人材の売り手市場は今後も続くだろう。
アメリカではIT人材が慢性的に不足しており、中でもAI人材の不足は突出している。AI人材争奪戦は、今後は国境を超えて世界規模に拡大してゆく事は間違いないだろう。


<参考・参照元>
Tech Giants Are Paying Huge Salaries for Scarce A.I. Talent - The New York Times

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