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IoTやAI技術で待機児童問題、保育士不足を解消?ITで保育環境を変えることは可能か

年々深刻化している「待機児童問題」。厚生労働省によると、2017年4月時点での待機児童数は、約23,700人にも上る。その要因の一つである「保育士不足」解消の手助けとするため、IoTやAI技術を活かそうとする企業がある。保育にITをどのように活用するのか。果たしてITは保育士不足の助けとなるのだろうか。


なぜ保育士は増えない?

保育士というと子どもたちのなりたい職業ランキング上位に挙がる人気の職業である。それにも関わらず、なぜ保育士が不足しているのだろうか。厚生労働省の調べによると、保育所で働く保育士の数は約43万人。保育資格があるのに保育の現場にいない「潜在保育士」は、約76万人いるという。国家資格を取得し、やっと保育の現場に立っても離職してしまう人が多いのだ。その理由である「一人ひとりの責任や仕事量の負担が大きいにもかかわらず、賃金が安い。」というのは、今や誰もが知っていることだろう。保育士が足りないのであれば保育士の配置基準を下げるという意見もあるが、大切な子供の命を守る現場で保育の質を下げることはできない。そこで、保育士の仕事の負担を減らすために、ITを活用しようとしているのだ。一体、「保育」にどのようにITを活かしていくのか。


保育業界に「IT」

「IT」というと、少し冷たいイメージがあるかもしれない。しかし、人手不足の保育業界にIT技術を投入することで、保育士の業務を効率化することができれば、子供と触れ合う時間を多く取ることができる。

保育士の仕事は、登園・降園のチェックにはじまり、体温や体調の確認、園での様子を連絡帳にまとめ、保護者に向けておたよりを書くなど、ほとんどの業務を手作業で行い、園児が帰ったあとのサービス残業も多い。これでは、保育士の負担は増えるばかりだ。また、ここ最近よく耳にする「乳幼児突然死症候群(SIDS)」。年間150件以上発生しているという。うつ伏せ寝をしていた乳幼児に発生することが多く、保育園では5分〜10分おきに呼吸や心音の確認をしなければならず、園児が寝ている間でも一息つく間もない。

保育園での作業は我々が考える以上に細やかで責任が大きく、保育士一人ひとりの負担も大きい。そして、手書きの作業が多いがゆえにデータとして蓄積・解析されていないことが大きな問題なのかもしれない。


「保育」×「IT技術」で保育士を救え!

ユニファ株式会社が提供するのは、園児見守りロボット「MEEBO(ミーボ)」。身長約28cm、体重約1kgのロボット型で園児にも親しみやすいロボットだ。

MEEBOには大きく3つの機能がある。

1つ目は「園児の命を守る」機能。MEEBOに非接触型体温計をセットして園児の体温を測定し、記録してくれる。また地震速報ニュースを一刻も早く園児に伝えてくれ、園児を危険から守ってくれる。

2つ目は「園児の様子を記録する」機能。これまで園での様子は、カメラで撮った写真をパソコンに取り入れ、クラス・園児別に整理し、印刷や掲示をしていた。また、保護者からの集金などでも多くの手間がかかった。MEEBOは撮影した写真を、ユニファが別に提供するサービス「るくみー」に自動でアップロードし、仕分けも自動で行う。また、保護者はサイトから自由に購入することができ、決済から印刷、配送までるくみーが行ってくれる。保護者が我が子の写真を登録しておけば、画像認識技術で自動的に我が子の写真をピックアップしてくれるのだ。

そして3つ目が「園児と一緒に遊ぶ」機能。MEEBOが園児の好きな音楽を流したり、ダンスをしたりと保育士のサポート役をしてくれるという。

現在、睡眠中のSIDS防止に向けたスマートベッドやスマートシーツの開発を各社が行っているような状況だ。将来的には、保育園に導入されたさまざまなスマート機器やアプリとMEEBOが連携して、AIが常に園児を見守るシステムが構築できるのではないだろうか。

また、日立システムズが提供する「保育施設向け業務支援サービス」にも注目したい。こちらの大きな特徴は、クラウド型のシステムであるということ。初期投資や保守メンテナンスが不要であるため、インターネット環境があれば簡単に導入することができる。大事な園児のデータは日立システムズがしっかり管理してくれるのも安心だ。

バーコードをシステムにかざすだけで、園児の登園・降園の記録をし、一ヶ月の保育園の煩雑な請求額の算出や請求書の発行も可能。保護者からの急な連絡もサイトを確認すれば施設内で共有することができ、保護者との連絡事項もスムーズだ。日誌など、手書きだった頃とは違い、過去の履歴も残すことができるので、施設内のノウハウを共有し、保育の内容を充実させていき、よりよい環境を作り出すことができる。

このように、連絡帳や園からの連絡が手書きだから「温かい」のではなく、IT技術を取り入れ、効率よく作業をこなすことで、その分の空いた時間を子供としっかり向き合い「温かい」保育を目指すことができる。また、今まで活用されていなかった園内のノウハウを共有することで保育の質を向上させることも可能になるだろう。


待機児童問題を解決するためには、保育士の負担をできるだけ減らし、給与を上げることが早急に望まれる。IT技術が、人手が足りないこの業界の大きな救世主となることは間違いないだろう。今後、AIを活用して、児童一人一人の様子を記録し、病気の予兆など子供の様子をビッグデータ化し分析できるようになるという。安全で安心な預けられる場所を作り、育児中の人たちでも思い切り活躍できるような社会を目指すことが、これからの日本を作っていく上で重要なのではないだろうか。


<参考・参照元>
平成29年4月1日時点での待機児童の状況(暫定値)について
保育士等に関する関係資料 
乳幼児突然死症候群(SIDS)について|厚生労働省
園児見守りロボット MEEBO(みーぼ)について
保育園、幼稚園、習い事教室向けのインターネット写真販売システム「るくみー」
世界初の園児見守りロボット「MEEBO(みーぼ)」について調べてみたよ | ロボスタ - ロボット情報WEBマガジン
保育施設向け業務支援サービス:株式会社日立システムズ

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