SOLUTION

ソリューション

IoTタグで忘れ物を自動検知!~ヒトのうっかりをカバーするIoTサービス

忘れ物や業務上のケアレスミスなど、ヒトが動く場所では必ず何かしらのほころびが生じてしまう。このようなほころびを補完する仕組みとして、IoTタグを使ったソリューションの実用化が始まっている。東京メトロが開始した忘れ物自動検知サービスの事例を皮切りにヒトのうっかりを防止するソリューションを紹介。また、IoTデバイスにまつわる課題も検証する。


忘れ物自動検知サービスの実証実験がスタート

2017年6月14日、東京メトロがIoTをつかった「忘れ物防止」の実証実験を行うと発表した。具体的には6月19日からMAMORIO株式会社と協力して、飯田橋駅、銀座線渋谷駅、丸の内線池袋駅、有楽町線新木場駅の4つの駅において忘れ物自動検知サービスを導入するとのことだ。

MAMORIO株式会社は、IoTタグを使った忘れ物防止ソリューションを主力事業とするベンチャー企業だ。MAMORIOの紛失防止タグは世界最小クラスで、Bluetoothやスマホとのペアリングしたタグが遠くに離れると、アプリを通じてタグの場所が通知される仕組み。このタグを財布などの貴重品に付けておくことで、忘れ物を防ぐのだ。

一方、東京メトロでは1日あたり1835件の忘れ物を受領しているという。このうち、持ち主に無事返還されるのは3割にも満たない。

確かに、鉄道における忘れ物は日常茶飯事という印象がある。筆者も地下鉄の車両内に財布を忘れたことがあり、降車してすぐに駅員に申し出たものの、ついに財布が出てくることはなかった。その時に、一定額以上の現金が入っている財布は届け出ても返ってくることが少ない、と説明を受けた記憶がある。発見者に持ち去られてしまうからだ。数か月が経過したころ、中味が空になった財布が見つかったと連絡があった。しかし既に運転免許証や保険証は再発行を済ませており、新しい財布も購入済み。ほんの一瞬の「うっかり」で、随分と面倒な思いをした。

あの時忘れ物防止タグがあったなら……実証実験開始のニュースを聞いて、今更ながら数年前の「うっかり」を悔やんでしまう。


ヒトの"うっかり"を防ぐIoTソリューション

こうしたヒトの「うっかり」を防ぐIoTソリューションは、忘れ物防止タグだけにとどまらない。例えば、株式会社Stroboが提供するIoTホームセキュリティ「leafee Premium」では、スマートフォンから家の戸締りを一括チェックできる。今や国内で最も普及しているSNSと言っても過言ではない「LINE」のチャットボット機能を使ったサービスで、既に先行公開版がリリースされている。仕組みとしては、IoTセンサーと専用磁石を使い、この2つの離れ具合によって窓の開閉を判断するというもの。窓だけではなく、冷蔵庫や家具など、扉があるものには使用できるだろう。また、LINEに窓や扉の開閉通知がくるほか、LINEのグループトークでの情報共有も可能。小さな子供がいる家庭の防犯対策、遠隔地で暮らす高齢者の見守り役としても効果がありそうだ。

ちなみに、ヒトの「うっかり」を防ぐIoTソリューションは海外でも人気がある。実際にフランスで人気の忘れ物防止用IoTタグ「Wistiki by Starck」が2017年初頭に日本へ上陸している。コンパクトかつアクセサリーとして使えるデザイン、さらに防水機能まで備え、人々の生活に溶け込みやすいよう工夫がされている商品だ。


 物流分野でのミス低減にも期待

IoTデバイスを使ったミス低減の効果は、物流分野でも期待されている。

例えば、ピッキングと検品を同時に行うドローンやロボットだ。ピッキングと検品が同時にできるため、ミスの低減に役立つだろう。また、検品情報をネットワークでつながった業務システムへの登録もでき、ピッキング、検品、情報登録という3つの工程を1工程にまとめられるという利点がある。

また、作業員と管理者の視界を共有できるスマートグラスというものもある。これは、作業の状況を管理者はリアルタイムで把握できるようになるため、作業支援とミスのチェックに役立つだろう。遠隔地にいながら「つきっきり」の感覚を再現できるというわけだ。新人教育やOJTの一環としてのも活用も可能になるのではないだろうか。視界の共有は感覚の共有を容易にし、言葉よりも多くの情報を瞬時に把握できる。誰がどんな方法で作業を行っており、その精度はどの程度なのかを管理側が把握できれば、ポイントをおさえた指導・支援が可能になるだろう。

加えて、物流センター内の紛失防止を目的とした「IoTパレット」も、注目しておきたい。部品や商品を載せて管理するパレットをIoTデバイス化することで、入出庫や在庫管理、紛失防止に役立つ。


IoTはヒトのミスを補完できるのか

これまで紹介したように、IoTデバイスは私生活とビジネス双方において、ヒトのミスを補完し始めている。しかし、いくつかの課題があることも事実だ。例えば、私生活では「プライバシーの確保」、ビジネスでは「セキュリティ」が挙げられるだろう。IoTデバイスを使って家庭内のいたるところに情報の発信源を設置することは、見方を変えれば「プライベートの見える化」に繋がりかねない。IoTデバイスがハッキングされれば、玄関の扉が何時に開けられ、冷蔵庫が何度開閉されたかを他人に知られてしまう。場合によっては家族の会話内容まで把握されることもあり得るわけだ。これはプライバシーの確保という観点から、大きな問題となる。

また、どの部品がどの程度出荷され、現場の作業はどういう手順で行われているかが外部に漏れれば、ビジネス上の重要なノウハウが流出してしまう可能性もある。昨今のビジネス環境で最も重視される要素のひとつ「セキュリティの確保」が脅かされてしまうのだ。このように、IoTデバイスがハッキングされれば、私生活とビジネス双方に甚大な問題が生じてしまう。

IoTデバイスがヒトのミスを補完し、安心を提供していくためには、外部からの攻撃(ハッキング)に対する対策が必須となるであろう。生活やビジネスの生々しい現場に密着するIoTデバイスは、堅牢性も高めていかなくてはならないと考える。


<参考・参照元>
フランスで人気の“忘れ物防止用”IoTタグ、日本上陸 - ITmedia ビジネスオンライン
東京メトロ、渋谷駅などで忘れ物自動通知サービスの実証実験 | マイナビニュース
LINEで戸締りをチェックできるIoTホームセキュリティ「leafee Premium」 - CNET Japan
落とし物追跡用IoTデバイス、航空機の整備機材管理に JALが実証実験 - ITmedia ビジネスオンライン
NTTコムウェア | COMWARE PLUS | IoTが変えるロジスティクス物流センターを例に、IoTによってロジスティクスが変わるケースを見る
紛失防止タグのMAMORIOと東京メトロ、忘れ物自動通知サービスの実証実験 | TechCrunch Japan

あわせて読みたい記事!