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レンタルトランクの「キュラーズ」がクラウド活用で成長を実現。その事例を探る

都内でよく目につくようになった「レンタルトランク」サービス。空き地や電車の高架下などの土地を有効活用したビジネスとして、各地で展開されているようだ。その中でもシェアNo.1のキュラーズは、クラウドの活用をすることで、他社との差をつけようとしている。キュラーズのクラウドを活用したサービスとはいったい何なのだろうか。また、システムをIT化することによって、他社とどんな差別化を図ろうとしているのだろうか。


 身近になったレンタルトランク

道端を歩いていると、ふとコンテナが目につくことがある。空き地と思われる一角に、線路の高架下に、最近様々なところにコンテナが置いてある。
これは、レンタルトランクと呼ばれるものだ。トランクというと、荷物を置いておく場所というイメージがあるが、まさにそれをレンタルするというサービスが“レンタルトランク”である。


 レンタルトランク業界の現状

このレンタルトランク、都内をはじめ全国で増加している。矢野経済研究所の調べによると、2015年度の市場全体の売り上げは約603億円と前年度から8%の増加。そして、今後も同程度の伸びを維持し続けると予測している。
それだけマーケットにポテンシャルを秘めているといえるだろう。

そのため、レンタルトランク業界では各企業が参入し、サービスの展開を図っている。確かに、場所とコンテナを確保できれば最低限ビジネスを展開できるという意味では、参入障壁は比較的低いといえるかもしれない。
そんな中、市場シェアNo.1のキュラーズは、クラウドを活用して他社との差別化を図ろうと取り組みを進めている。


 シェアNo.1、キュラーズはクラウド活用で成長を実現

キュラーズは、都心の好立地にある、眠っていた不動産を高品質なトランクルームに変えて活性化し、市場のシェアをとってきた。通常は、貨物用コンテナなどを使用し、極力コストを下げるような運用をする企業が多い中で、キュラーズのサービスは一線を画している。
これが、ユーザーから高い評価を受け、今も成長を続けている要因だ。しかし、このように顧客ニーズを可能な限り満たそうとすると、業務フローが複雑化してしまうジレンマも抱えてしまう。
キュラーズでは、2001年の創業当時から、お客様情報を管理するシステムなどは、業務フローにあわせて自社で開発するのが一般的だった。さらに、他の国々のサービスを参考にしつつ、日本においても、その市場に適した独自サービスの提供を目指してきたという。
これは、顧客ニーズを満たすという、一貫した方針に基づいての施策である。営業窓口が新たなサービス需要を見出すと、それに伴ってシステムの機能を追加し、改修を行う。
しかし、このような運用を繰り返せば、システムや現場のオペレーションがさらに複雑化してしまう。そこで、キュラーズでは2015年からオペレーションを簡素化する方針のもと、パブリッククラウドを活用することによるシステムの標準化を進めることを決定したのだ。
これは、全面クラウド化を前提とした、大規模なシステムの刷新である。具体的には、別々で運用されていた「お客様情報管理システム」と「予約管理システム」を、マイクロソフトのクラウドサービスである Dynamics 365 に統一したのだ。


Microsoft Dynamics 365は、キュラーズの何を変えたのか?

結果として、このシステムの統合は大きな成果を生み出している。具体的には、500ページほどあった営業トレーニング資料が、現在では6割の200ページほどに収まめることに成功。また、契約書の種類が減ったり、お客様から入っていたシステムに関する問い合わせもほとんどなくなったりと、サポートの負荷が軽減した。

キュラーズでは、お客様情報を管理する「Dynamics 365 for Customer Service」と、予約情報を管理する「Dynamics 365 for Operations」を、 Microsoft Azure 上に構築し、リモートデスクトップとサーバーが連携するようにした。また、セキュリティ面の担保は、コールセンターと営業店舗からシンクライアント端末を利用してアクセスすることで実現している。Azure とシンクライアントの通信は、高速プライベート接続を実現する Azure Express Route を活用することで、通信速度は期待通りパフォーマンスを発揮してくれるため、業務の際にストレスを感じることはほとんどないという。

キュラーズは、クラウド製品とそのインフラを整備することで、オペレーションを効率化しつつ、多様化する顧客ニーズに対応できる体制を整えることに成功したのだ。


レンタルトランク業界は、IT活用で差別化を図る

レンタルトランクは、一見すると「“ただの”場所貸し」というイメージが強く、提供する場所さえ準備すれば顧客のニーズは満たせると思いがちである。しかし、実際はそこに保存するものや量、期間など顧客ニーズは多岐にわたる。
それに対応するためには、トランクルームそのものを充実させるだけでなく、顧客の情報を適切に管理し、ニーズを拾っていく地道な作業が必要となる。そして、それを実現するには、キュラーズのようにIT環境の整備が不可欠なのだ。顧客ファーストを実現しようとすると、ITを含め思い切った改革が必要であることがこの事例からわかる。
市場が伸び続けているレンタルトランク業界も、今後は各企業によって優劣がはっきりと分かれてくるだろう。キュラーズに限らず、他社がどのような業務改革を行い、顧客のニーズを満たしていくのか、その今後に注目したい。


<参考・参照元>
コールセンター、店舗業務から基幹業務までをひとつのプラットフォーム Dynamics 365 で実現 - キュラーズ - マイクロソフト導入事例 - Microsoft for Business
エンタープライズ ビジネス ソリューションおよびソフトウェア | Microsoft Dynamics
レンタル収納・コンテナ収納・トランクルーム市場に関する調査を実施(2016年) - 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所
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