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loTセンサーが家庭の米びつと農家を結ぶ?スマート農業の要となるloT技術

普段何気なく口にしているものを、だれが生産し、だれが流通させているのかを考えることはあるだろうか。農林水産省の報告によると、平成28年度の農業従事者数は192.2万人。うち65歳以上が125.4万人、平均年齢は66.8歳だ。このままでは日本の農業は衰退の一途を辿ると懸念される。果たして近年話題のIoTセンサーは、農業の進展に寄与できるだろうか。


スマート農業の加速化への焦燥

農業従事者の高齢化に伴い、農林水産省をはじめとした農業関係組織はスマート農業の導入を積極的に行おうとしている。

スマート農業とは、ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業である(以下省略)。
引用元:「スマート農業の実現に向けた研究会」検討結果の中間とりまとめ

人手不足をロボット技術やIoTセンサー技術によりカバーし、新規参入者の増加も視野に入れた取り組みだ。

スマート農業のポイントは大きく分けて5つある。

1. 超省力・大規模生産の実現
トラクターなどの農業機械を自動走行させることにより、人員不足を補いつつ大規模生産を目指すことを目標としている。

2. 作物の能力を最大限に発揮させた効率の良い栽培育成
過去の実績等、データを活用した効率の良い栽培推進。品質の向上も含まれる。

3. きつく危険な作業からの解放・軽減
アシストスーツにより、重い荷物の運搬等の負担を軽労化させる。また、危険な場所の手入れをロボット等による処理を進めることで、従事者の安全を確保する。

4. 取り組みやすい農業
新規参入者を増やすために、経験が浅い労働者でも現場イレギュラー対応可能にするための環境作り。栽培データをシェア、農機の操作サポート機能普及など、少数農業による負担も軽減させる。

5. 消費者と実需者との信頼、安心
生産情報をオープンにすることで、消費者との信頼を直結させる。

少し目を通しただけで、IoT技術が日本の未来の農業に必要になることがわかるだろう。作物の監視、農機の操作などIoTセンサーの得意分野ではないか。
では実際に、現在のIoT技術がどのような形で農業に関わっているのか調べてみたい。


IoTによる遠隔モニタリング農業

作物は生き物と同様、環境変化にナーバスだ。しかし、どの地域においても毎年、同時期に一定の気候、環境が保証されるものではない。農業とは自然と人間の戦いでもあるのだ。しかし、農業従事者たちは度重なる失敗と成功から効率的な生産ノウハウを得てきた。だが、これからの自給自足の維持には、より高みを目指さねばならない。

試行錯誤が進む農業の世界でも、IoT技術が注目されている。中でも、繊細な農作物の成長をきめ細やかに監視するシステムは、広域生産者にとって大いに役立つものである。

株式会社セラクは、みどりクラウドという圃場モニタリングシステムを販売している。みどりクラウドは、ハウスに簡単に取り付けが可能な手軽さに対し、環境の計測、警報、クラウドでのデータ共有管理を可能としている。
計測できるものは7項目あり、温度、湿度、日射量、カメラによる写真撮影、土壌水分、CO₂濃度、土壌の肥料含有率と幅広い。これらのデータはクラウドサービスにより随時分析、集計され、蓄積される。みどりボックスと呼ばれるセンサーボックスは2分おきに設置場所からデータを送信し続けるため、異常が発生した場合は即座に警報を発する仕組みだ。PC、スマートフォン、ガラケーといった身近なデバイスからの監視が可能なため、特殊な機械に不慣れな高齢者でも導入しやすいのだろう。

一見、単純な技術のように見えるかもしれないが、先述したスマート農業のポイントのうち、以下の項目に関連した特性を持っていると言える。

1. 超省力・大規模生産の実現
遠隔モニタリングにより広範囲の監視が可能。

2. 作物の能力を最大限に発揮させた、効率の良い栽培育成
過去のデータを活かした肥料散布等。

3. 取り組みやすい農業
認証した生産者に向けたデータ共有機能が、経験が浅い農業従事者へのノウハウ伝授となりうる。

4. 消費者と実需者との信頼、安心
こちらも蓄積したデータにより、生産から流通の経過を消費者へオープンにすることが可能。

考え方によっては、きつく危険な作業からの解放、軽減も満たすかもしれない。台風や河川の増水などの危険な状況のなか、幾度も足を運んで農作物の様子を確認しに行く必要がなくなるかもしれないのだから。

みどりクラウドの他にも遠隔でのモニタリングを可能とした製品は存在するが、これらが普及することでタイムリーにデータが共有され、遠隔地に住まう専門家への助言を求めることも可能になる。ところが、依然として普及しないのには理由があった。


IoT農業の課題

スマート農業への取り組みに賛同していても、すぐに最新農機やテクノロジーを取り入れられない農業家は多い。自給率の低下や過度な価格競争による収益減は、こうした投資資金に直結するのだ。

現状のIoT製品は、安価な投資技術とは言い難い。一般家庭でも身近となったお掃除ロボットですら、掃除機としては高価な部類に入るのだから。加えて、クラウド化に伴うセキュリティの問題もある。IoT農業普及のための問題解決は、いち業界、いち企業だけでは解決しないだろう。だからこそ、もっと世間が未来の農業に関心を寄せるべきなのだ。


消費者側のloT農業技術運用とスマート農業の活性化

自給率の底上げが求められているが、我々消費者側にも問題がある。飽食の時代と言われる昨今、過剰な消費をしているのではないだろうか。

明け方の繁華街にはゴミ袋に無造作に詰められた廃棄食材が並び、ゴミ収集を待っている。家庭においても、まとめ買いしたまま消費期限を迎えて破棄する食材があるだろう。備えるにしても、最低限にとどめたい。また、生産者側も破棄するほどの余分な生産を避けたいのである。

そこで、消費者側が導入できるIoT農業技術をひとつ紹介したい。米ライフ株式会社の、米びつセンサーだ。家庭の米びつに設置したセンサーが米の残量を計測し、アプリと連携することで残量を知らせてくれる。消費者は通知をもとに提携農家が作った米の中から好みのものを選択し、新鮮な米を注文できるのである。

農家と消費者宅のIoTセンサーが結びつくことで、のちに農家側は生産量の予測を立てやすくなる。米産業に限らず、店舗や家庭の冷蔵庫の中身の消費をIoTセンサーによりデータ化して共有することで、受発注のロスも軽減できるだろう。

今後は農林水産省が中心となり、IoT農業開発や運用サポートが進むだろう。さらに消費者側のIoT農業技術運用が増えることで、在庫や流通管理がしやすくなり、コスト運用の可視化がしやすくなるのではないかと考える。コスト運用がうまくいけばIoT農業の普及速度はもっと加速するだろう。農業の進展は、生産者側だけの問題ではないと心しておきたい。


<参考・参照元>
農業労働力に関する統計:農林水産省
株式会社セラク
米ライフ株式会社

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