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ICTやAIの活用でソフトバンクや総務省が行なった働き方改革とは?

近年「働き方改革」において、各企業はワークスタイルの変革に力を入れて取り組んでいる。特にICTを活用した、コミュニケーションツールの導入による、職場の効率化はもはや常識だ。しかし、システム構築はできていても、定着しているとは言い難いのが現状だろう。各企業の変革事例と、その課題について見ていきたい。


ワークスタイルの変革を定着化させる必要性とは?

ひとえにワークスタイルの変革と言っても、さまざまな種類があるが、よくキーワードとして取り上げられるのは「時間」と「場所」の変革だろう。
2017年に総務省から公表された「労働力調査 平成29年4~6月期平均結果」では、非正規の職員・従業員が前年同期に比べて、21万人増加しているという。非正規の雇用形態についた主な理由に、男女とも「自分の都合のよい時間に働きたいから」と最多で挙げられているのが興味深い。その背景には、ワークスタイルの変革が定着しきれていない現状があると考えられる。

現在、第4次産業革命に向けた雇用拡大の動きが、日本を含む世界中で活発化している。テレワークの普及による労働時間の柔軟化や、労働生産性の向上は、その代表的な例であろう。製造のデジタル化を推進させるには、他国の企業や産業とのグローバルな連携が鍵となる。
ICTの発達により、グローバルな情報共有が可能となった。ワークスタイルの変革が定着するか否かは、ただ働き方を見つめなおすだけではなく、日本企業が自前主義から脱却するために避けては通れない壁なのである。


企業におけるワークスタイル変革の取り組み事例

続いて、各企業によるワークスタイルの変革事例をみていきたい。今回は、働き方改革を実現させるために取り組んでいる、3つのワークスタイルを事例としてピックアップした。

<日本マイクロソフト>
「いつでもどこでも」働くことができるスタイルのテレワーク。マイクロソフトは、業務効率や社員の意欲向上を追求し、2016年5月より「テレワーク勤務制度」を導入した。この制度の大きな変革は、これまでテレワークに課していた制限を、すべて取り払ったと言える。

従来は在宅勤務を行う場所を、自宅のみに制限していたが、日本国内ならばどこでも可能とした。これにより、介護などで実家から離れられないニーズに、うまくマッチングすることができた。
また、在宅勤務の利用頻度や期間、そして申請と承認をなくすことで「制度を利用しづらい」という風潮を見事消し去り、定着化に成功したのだ。

さらにマイクロソフトは、働き方改革の推進として「ファミリーフレンドリー休業制度」を、2017年9月より導入している。従来マイクロソフトでは、出産休業と育児休業、そして介護休業を、法定期間内に無給で設けていた。
新制度では、法定の無給休業期間に、マイクロソフトが定めた有給休業期間が加わる。ライフの充実化による、社員の「働きがい」向上を狙った、このワークスタイルの変革は、テレワーク勤務制度と有効に組み合わせることで、よりフレキシブルな働き方を実現させるだろう。

<ソフトバンク株式会社>
「Smart & Fun!」を社内スローガンとして掲げるソフトバンクでは、AIを活用したワークスタイルの変革に力を入れている。
具体例として、IBMが開発した質疑応答システム「Watson」の導入が挙げられる。法人営業や店舗、社員サポートなどのさまざまな部門でWatsonを活用することで、業務時間の短縮とワークフローの円滑化に成功した。

その中でも、特に大きな成果が出ているのが顧客窓口での活用だ。コールセンターでは、顧客からの問い合わせをWatsonに覚えこませ、顧客対応中に該当する回答候補を表示し、オペレーターが回答する仕組みを導入した。この仕組みにより、対応時間とコールセンターの席数を大幅に削減し、コストダウンを実現させた。
今後、更なる回答精度の向上が期待される。なお、同システムは2017年6月から、店頭での接客スタッフが使用する端末にも搭載され、新人スタッフでも、顧客に対する最適な案内ができるようサポートしている。

ソフトバンクではプレミアムフライデーの日に、社員の8割が15時退社したという。ワークスタイルを変革し、業務を効率化したことで、社員一人ひとりが有効活用できる時間を手に入れることができた。
AIとICTをフル活用し、ワークスタイルの変革を実現することで、人材配置や組織体制の改革といった、経営課題解決に一歩近づくことができる。ソフトバンクの取り組みは、AIが経営を大きく変化させる、先進的な事例といえるだろう。

<総務省>
オフィス環境を根本から改革し、ワークスタイルの変革へとつなげた例として、総務省による「フリーアドレス制」が挙げられる。職場で自分の固定座席を設けず、自由に変動できるオフィスにすることで、チームごとに情報を共有し、仕事内容に応じたコミュニケーションをとれるようになった。

また、自席という概念が無くなったため、紙や書類をもつのではなく、基本的に電子化してスムーズな情報共有が可能となった。さらにペーパーレス化した資料で、無線LANなどのICTを活用した打ち合わせをおこなうことで、印刷やコピー機を削減している。

従来のオフィスレイアウトから一新し、ワークスタイルが変革したことで、職員の約7割が業務効率化の成功を実感しているという。人員を増やすことなく、コストダウンと生産性を向上させたこの事例は、人口減少により労働比率が低下している日本において、光明を見いだすヒントになるだろう。


ワークスタイル変革の課題を探る

ワークスタイルの変革を実現し、定着化させることで、生産性の向上やコミュニケーションの活性化、従業員のモチベーション上昇など、得られるメリットは大きい。
今回事例として取り上げた企業をみると、ICTを活用したシステムを組織に取り組むだけではなく、変革を受け入れるための風土や環境を、社内全体で整備しているのがよくわかる。

もし現場がどう動いているのかわからずに、上層部だけが変革を唱えていても、ワークスタイルは変わらないだろう。現場の問題点や課題を可視化することで、ワークスタイル変革の目標を、明確にする必要がある。そして、可視化した「働き方」を整理し、設定した目標をいかに現場と結びつけるかが、ワークスタイルの変革を定着化させるための課題となるのではないだろうか。


ワークスタイル変革で目指す未来

少子高齢化による人口減少。それに伴う労働力の低下は、従来正しいとされていた「働き方」の価値観を崩していった。このまま労働環境の選択肢が少ない状態が続けば、生産性が落ち、国も企業も沈んでしまうだろう。ワークスタイルの変革は、いわばそれを防ぐ為の準備だ。

第4次産業革命の波で、ICTやAIなどの次世代テクノロジーが導入され、雇用形態の拡大や、業務・人材育成機関の短縮化は、今まさに過渡期を迎えている。少ない労働力で、生産性を最大限発揮し、持続させる。
そのゴールを目指し、各企業はワークスタイルの変革と定着化を模索し続けていく。


<参考・参照元>
統計局ホームページ/労働力調査(詳細集計) 平成29年(2017年)4~6月期平均(速報)結果
第3章 第2節 技術革新が経済社会・国民生活に与える影響 - 内閣府
社員のワークスタイル変革の加速に向けて就業規則を変更 - News Center Japan
新たな「ファミリーフレンドリー休業制度」を開始 - News Center Japan
儲けるための「働き方改革」- マイクロソフトの20年間にわたる働き方改革の軌跡 | DX LEADERS
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