SOLUTION

ソリューション

AIやディープラーニングで拡散されるフェイクニュースを食い止めろ!

大きな事件や災害があると、必ずネット上に流布されるデマやフェイクニュースが大きな社会問題となっている。
既存のマスコミでさえニュースソースをSNSなどへの一般投稿に頼りはじめている現在だが、一歩間違えば不確かな情報に「ニュース」というラベルを貼って世に送り出してしまうということになる。フェイクニュースを拡散しないためにはどうしたらいいのか。
いま、既存メディアやマスコミの姿勢が問われている。


ラスベガス銃乱射事件直後にも問題は起きた

2017年10月1日、アメリカ・ネバダ州ラスベガスでアメリカ史上最悪となった痛ましい銃乱射事件が発生した。
その事件直後、米GoogleFacebookで匿名掲示板サイトの信頼できない書き込みに基づいたデマが「ニュース」として表示されるという「ミス」が起き、ほんの数時間でこれが他サイトへも「ニュース」として拡散され、情報が混乱するという事態になった。

GoogleやFacebookは多数のサイトからリアルタイムで記事をピックアップして表示すると同時に、信頼性の低い情報を表示しないようにするためのアルゴリズムが利用されている。今回も数時間後にはこのアルゴリズムにより誤情報は書き換えられているため、通常の運用であればそれほど大きな問題にはならなかったのかも知れない。
しかし、今回のような大きな事件直後の関連記事となると話は別である。

たったいま惨劇の現場から逃げ出した人々も、現場周辺で「何かが起きているかも」と感じた人も、その場ですぐにネット上の情報を探し始めると同時に、自らが発信者となる。その多くは、身を守るための、あるいはパニックを起こしそうな心を抑えるための必死の情報のやりとりであり、そこに憶測や誤解、流言飛語が飛び交うことは食い止めようがない。
しかし、ひとたび、その「事件」が注目されれば、今度はそこに悪意や意図を……たとえそれが軽いいたずら心だったとしても……埋め込んだデマが流れ始める。そして今回のように、ある程度情報が精査されているはずだと信頼しているメディアが取り上げてしまえば、デマは簡単に「ニュース」とラベリングされてしまう。
そして、一度貼られたラベルは剥がれることなく、次々に、猛烈なスピードで拡散されてゆく。


大きな事件や災害後ほど大きくなる混乱

日本でも2011年の東日本大震災の時に、ネット上に多くの誤情報が流れ、人々の混乱を招いた。2016年にはDeNAが運営していた健康情報サイト「WELQ」などで信頼性の極めて低い情報を大量に公開し、それが検索サイトで上位に表示されることでより拡散されるという問題も浮上した。
また、同年の熊本地震の際にもSNSで拡散されたデマによる混乱や、デマをTV局が震災報道番組の中で報じてしまうという「ニュース」へのラベリング問題が起きている。

しかし、こうしたデマやフェイクニュースによる混乱が起こる背景には、SNSやネット上のニュースが情報ソースとして有益であるという大前提がある。
東日本大震災の時にも、電話がほぼ不通になった状況で、TwitterをはじめとするSNSは情報通信インフラとして大きな役割を担い、取り残された被災者の救助に繋がった例もある。
誤情報を恐れて、せっかく築いたネットワークを手放すわけにはいかないのだ。


フェイクニュースを食い止めろ!

現在求められているのは、迅速な情報の精査とルールの再構築だ。
2016年のアメリカの大統領選では、ネット上を飛び交うフェイクニュースが有権者の意思決定を揺さぶり、予想を翻しトランプ政権が誕生することとなった。2017年のフランスの大統領選でも同様に候補者にまつわるフェイクニュースが拡散されたが、フランス大統領選の通信社各社が連携してファクトチェックを行う検証サイト「CrossCheck」を立ち上げるなど、素早い対抗措置に打って出た。
日本でもメディアやジャーナリスト、研究者が集まった任意団体「ファクトチェック・イニシアティブ」を発足。日本でのファクトチェックのガイドラインや手法を検討するとともに、ファクトチェッカーの支援を行っていくという。
また、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学などの研究機関では盛んに自然言語処理能力を高精度化したAIディープラーニングの技術を使って、インターネット上の大量のテキストから情報を分析・整理し、デマや誤情報、フェイクニュースを選別するシステムの開発も行われている。

ニュースソースとして、一般市民の投稿にスピード感ですでに水をあけられている感のある既存メディアは、今後互いに協力しあって、こうした「情報の正確さ」を追求するシステムをより強固にし、フェイクニュースに対抗していく努力が求められるだろう。

<参考・参照元>
ファクトチェック・イニシアティブ – FactCheck Initiative Japan(FIJ)
Élection française - CrossCheck
ラスベガス乱射、誤報対応に追われたグーグル - WSJ
ラスヴェガス銃乱射で、またもや渦巻く「誤報とデマ」──ネットの情報にわれわれはどう向き合うべきか|WIRED.jp
深層断面/ホント? ウソ? AIがフェイクニュース判定−「計算社会科学」への期待 | トピックス ニュース | 日刊工業新聞 電子版
Research Topics - 東北大学 乾・岡﨑研究室 / Communication Science Lab, Tohoku University

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