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IoTで土砂災害を事前に検知! ITは自然災害から日本人を守れるのか!?

IoTの防災への活用が進んでいる。NECは、土砂崩れを事前に検知できる「土砂災害予兆検知システム」を開発して実証実験を行っている。これが実用化されれば、土砂災害による被害を最小限に抑えることができるのではないかと期待されている。

IoTを活用した災害対策の今に迫る。


IoTを活用した「土砂災害予兆検知システム」のしくみ

地震、土砂崩れ、洪水、台風など、日本は多くの自然災害に見舞われる。これらの災害に対応するべく、土木技術を高めてきたが、昨今ITの活用も進んでいる。IoTやビッグデータの分析などを通じて、災害の予兆検知が行えるようになっているのだ。

そのなかでも、NECの「土砂災害予兆検知システム」が注目を集めている。NECが持つセンシング技術とビッグデータなどICT技術を活用することで、土砂災害の危険性を見える化できるという。

通常、斜面の地盤に積もる土砂は、浅い部分が深い部分の上に乗って滑らないようになっている。しかし、大雨などで土が水分を含むと状況が変わる。水分量が増えることで、土砂が緩み、崩れていくのだ。これが土砂災害のメカニズムである。
つまり、土砂災害の発生は、土砂に含まれる水分量と関係があるのだ。

そこで、NECは、土砂に水分が入っていくプロセスで変化する「特徴量」を計測することを考えた。このシステムは、斜面に設置されたセンサーから得られる、土砂に含まれる水分量をIoTの技術を活かし収集。リアルタイムで分析を行い、斜面の危険性を把握することで、土砂災害のリスクの見える化をはかったのだ。これにより、災害発生前に住民への連絡が可能になるなど、従来に比べ効果的な対策が打てるようになる。

ちなみに、土砂の状態を表す特徴量は、土の重さを示す「土塊重量」、土砂の隙間に侵入した水による圧力を表す「間隙水圧」、土の粘り気を表す「粘着力」と「内部摩擦角」の4つになる。
これら4つのデータを測定するのは、これまでコストや手間の問題もあり困難といわれてきた。しかし、NECは独自のデータ解析技術でこれを可能にしたのだ。


「土砂災害予兆検知システム」と従来システムの大きな違い

これまで、「ワイヤーセンサー」と「土砂災害警戒情報」により土砂災害の危険性が把握されてきた。
「ワイヤーセンサー」は、土砂崩れが発生した際に、事前に張っていたワイヤーが切れて土砂の状況が把握できるというものだ。あくまで土砂災害が発生してから機能するものであるため、予兆を検出することはできない。

また、「土砂災害警戒情報」は、事前にリスクは把握できるものの、気象データがもととなっているため、監視したい斜面をピンポイントで把握することは難しいという。

これら従来型の課題を補っているのが、NECの「土砂災害予兆検知システム」となる。監視したい斜面にピンポイントでセンサーを設置して、あらかじめ設定した条件に合わせてデータを取得。取得したデータはIoTによってデータセンターに集約され、ビッグデータとして解析される。

解析結果はリアルタイムで計算され、その結果はウェブサイトに表示される。システムの利用者は、ホームページにアクセスするだけで、土砂災害のリスクを把握できる。また、あらかじめ“しきい値”の設定を行っていれば、アラートメールによる通知を受け取ることもできる。

現在、「土砂災害予兆検知システム」は島根県・津和野町をはじめ国内外10か所以上で実証実験を行っている。安全率の算出については、土木研究所の協力も得て、その妥当性が確認されている。


災害の未然防止で進むITの活用

このNECの「土砂災害予兆検知システム」のように、災害の未然防止という側面でITが活用される流れは、徐々に進んでいる。
総務省では、このような事例をまとめており、土砂災害の予測では、京浜急行電鉄ハレックスのシステムを紹介している。これは京急線の路線全域の降雨量を予測し、路線全域の雨の自動監視と危険の見える化を実装。6時間先まで予測して危険度の見える化を実現した。
これにより、線路の保線業務を支援できるようにしている。

また、土木研究所と富士通研究所が共同で洪水予測など、河川管理の高度化に取り組んでいる。雨量データと河川流量のデータから予測精度の高いパラメータ値を自動的に設定して、リスクの見える化が進められている。

また、予兆検知とは異なり、発災時の状況をリアルタイムで情報収集できる仕組みもある。TwitterなどのSNSのメッセージを解析して、その場所における状況を見える化し、救助を進めたり、報道空白地を特定したりできるようにしているのだ。

自然災害から日本を守るべく、今後ITはさらに活用が進むだろう。また、日本発の災害対策システムが世界に普及することも考えられる。
特に、IoTの分野は高度なセンサー技術が求められ、IT以外のものづくりとしての強みも求められる。この分野は、今後日本が世界でプレゼンスを発揮できるフィールドとして、災害対策以外でも広がるに違いない。

ただし、ITだけでは災害から自分の身を守ることはできない。まさかの事態に備えて避難所を確認するなど、私たち自身のやるべきこともある。そんな風に書いている筆者自身も、近くの避難所がわからなかったりする。事前の準備をしっかりした上でIT技術も駆使して、災害から身を守れるようにしたい。


<参考・参照元>
土砂災害の危険性を“見える化”する「土砂災害予兆検知システム」とは?
災害対策にビッグデータは使えるのか - 総務省
IoT活用による防災・減災 : Fujitsu Japan
京浜急行電鉄株式会社 様 | 株式会社ハレックス

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