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銀行のクラウド化によってこれから銀行に起こる事とは?アメリカに学ぶ

銀行クラウド化が進んでいる。アクセンチュアが行った調査によると、最近のアメリカの消費者の66%が銀行取引の半分をオンラインで行っているという。

銀行システムのクラウド化は、既存の銀行をどのように変えつつあるのか。銀行の未来は、特に日本の銀行の未来はどうなるのか。起こり得るシナリオを予想する。


着実に進む銀行利用者のクラウド志向

コンサルティングファームのアクセンチュアがまとめたレポートによると、アメリカの消費者の66%が銀行取引の半分をオンラインで行い、71%がチャットボットなどの自動サポートに前向きで、より多くの人がオンラインのバーチャル銀行に口座を開き、31%がGoogleやApple、Facebookがオンライン銀行のサービスを開始したら利用を検討すると答えている。

消費者の銀行利用のクラウド化がトレンドとなっている事を示しているが、わずか10年ほど前を思い起こすに隔世の感を覚える。
10年前の当時、消費者の銀行の利用形態がここまで変化する事を予想できた人は少なかっただろう。

オープンバンキング規制の施行、Banking as a Serviceの台頭、P2P決済やモバイル決済の普及など、銀行利用者のクラウド志向を加速させる材料が次々に登場してきている。
銀行窓口でしか行えない取引も益々少なくなり、銀行のクラウド化は避けられないようだ。


やはり減りつつある銀行の店舗

銀行のクラウド化を証明するように、実際に銀行の店舗は減りつつある。

FDIC(Federal Deposit Insurance Corporation:米国連邦預金保険公社)がまとめた統計によると、2017年6月時点でアメリカには94,725の銀行店舗が存在する。アメリカの銀行店舗数は2005年から年々減り始め、2017年において過去最低を記録した。
銀行別ではウェルスファーゴ銀行6,314店、JPモルガンチェース銀行とバンク・オブ・アメリカがそれぞれ5,000店程度となっているが、いずれの銀行も売上と利益の低下により、店舗数の維持が難しくなってきているという。

実際、そうした大手銀行も利用者のモバイル志向が銀行の店舗数削減に関係している事を認めている。
コンシューマー・バンカーズ・アソシエーションのトーマス・クロッサン氏も、「大手銀行が従来展開してきた『より便利なロケーションに店舗を出店する戦略』から、『より便利なモバイルアプリケーションを提供する戦略』へとシフトしてきている」とコメントしている。
また、店舗の大きさも年々縮小され、4,000スクウェアフィート(約112坪)程度の標準的な大きさの店舗ではなく、その半分か3分の1程度の大きさの店舗を出すのが当たり前になってきているという。


人間よりもAIを信頼?

銀行利用者のクラウド志向、モバイル志向の強まりに加え、銀行によるAIの導入拡大もそれらに拍車をかける可能性がある。
NPO団体の年金基金ナショナル・アソシエーションが行った調査によると、アメリカの消費者の8%しか銀行を含む金融機関を信用していないと答えたという。また、9%が普段利用している金融アドバイザーを信頼していないと答えており、大半のアメリカ人は「人間の金融アドバイザー」をほとんど信頼していない事を示している。

上で紹介したアクセンチュアのレポートで、調査対象となった人の71%もの人が「チャットボットなどの自動サポートに前向き」と答えた理由の多くがこれだろう。
日本でも一部の銀行マンによる金融商品の強引な販売が問題になるケースが増えてきているが、アメリカにおいては、問題はより複雑で深刻なものとなっているのではないだろうか。
アメリカでは、すでに一部の保険商品や金融商品の販売にAIが活用され始めており、今後導入がさらに広がっていく可能性が高い。今後のアメリカにおいては、金融商品を販売する銀行マンが「絶滅危惧種」となる可能性が低いとは言い切れないだろう。


日本の銀行はどうなる?

一方の日本。アメリカと同様に銀行利用者のクラウド化、モバイル化のトレンドは強まっているのだろうか。
調査会社マイボイスコムが2017年3月に発表した調査結果によると、日本全国の10代以上の対象者1万1,270人を対象とした調査で、インターネットバンキングの利用経験率は69.8%で、2016年の701.1%を下回ったという。また、インターネットバンキングを現在利用していると答えた人の割合は62.9%と、同様に2016年の63.4%を下回る結果が出たという。
インターネットバンキングを利用している人の割合が3分の2以下にとどまっている状態をどう見るかが難しいが、ほとんどの人がインターネットバンキングを「当たり前のように使っている」状態であるとは言えないだろう。

一方で、店舗を持たない所謂ネット専用銀行は着実に業績を拡大している。
2000年頃より立ち上がった各種のネット専用銀行はこれまでに順調に預金残高を増やし、2014年の時点で11兆6,000億円に達している。店舗を持たないネット専用銀行は送金手数料の安さなどを武器に利用者を増やしているが、ネット専用銀行が今後もシェアを増やす可能性は極めて高い。
既存の銀行が口座の管理料の徴収を検討しているというニュースが流れたが、あの手この手で新たな収益を求める既存の銀行に対して、ネット専用銀行が相当有利なポジションにいるのは間違いないだろう。

日本の銀行も、ネット専用銀行に引っ張られる形でクラウド化を進めざるを得ない状況に置かれているのかもしれない。
金融機関同士の競争がさらに激化すると予想される今後、金融機関の淘汰とクラウド化が一気に進む可能性があると、筆者は予想している。


<参考・参照元>
Bye-Bye Bank Branches, Hello Cloud: 10 Retail And Commercial Banking Trends To Watch In 2018
Business Operating Models Reshaping Banking | Accenture
Banks with the most branches
Trust in Financial Institutions Decreases Sharply: Study | Money
ネットバンク利用者が減少傾向に - 利用中の銀行1位は? | マイナビニュース
「月刊金融ジャーナル」オムニチャネル時代 有人店舗の現状と将来像 2015年3月号より | メディア掲載記事 2015 | NTTデータ経営研究所

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