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お金の貸し手が借り手の生活に関与?現在最もアメリカらしいフィンテックベンチャー

パーソナル・ファイナンス・プラットフォーム開発のマネーライオンが4,200万ドルの資金調達に成功した。

著名ベンチャーキャピタルから高い評価を受ける同社のビジネスモデルとはどのようなものか。マネーライオンのビジネスモデルは他とどう違うのか?変わりつつある金融ビジネスのトレンドと併せて紹介する。


マネーライオンという会社について

マネーライオンは2013年設立、ニューヨークに拠点を置くFintechスタートアップ企業だ。

マネーライオンは、同社がパーソナル・ファイナンス・プラットフォーム(Personal Finance Platform:PFP)と呼ぶユニークなプラットフォームを開発している。マネーライオンへの投資家の評価は高く、同社は最近、ベンチャーキャピタルのエディソン・キャピタルからのシリーズA投資による2,250万ドル(2018年3月30日現在日本円にして約23億8,850万円)の大型投資を成功させている。

エクイティファイナンスに加え、同社は別にデットファイナンスでも6億5,000万ドル(2018年3月30日現在日本円にして約690億円)の巨額の資金を集めている。

マネーライオンの旺盛な資金需要を表しているが、マネーライオンのビジネスモデルの中核は個人に対するパーソナルローンだ。
マネーライオンのパーソナル・ファイナンス・プラットフォームアプリを使うという事は、マネーライオンからローンを借りるという事とほぼ同義なのだ。


マネーライオンのパーソナル・ファイナンス・プラットフォーム

では、マネーライオンのパーソナル・ファイナンス・プラットフォームを見てみよう。
アプリはパソコンとスマホの両方からログインできる。アカウントを開設し、ログインするとダッシュボード画面が現れ、ローンの申し込みメニューが現れる。申し込みは簡単で、オンラインフォームに年収や社会保険番号などの必要事項を記入して申し込む。

マネーライオンのローンは最長3年の短期無担保ローンが中心で、金利は5.99%から29.99%となっている。審査はスピーディーで、申し込みから最短1営業日で口座へ入金される。
マネーライオンのパーソナル・ファイナンス・プラットフォームがユニークなのは、単にローンの申し込みがオンラインで出来るからではない。

マネーライオンはパーソナル・ファイナンス・プラットフォームを通じてクレジットモニタリングとパーソナル・ファイナンスの機能を提供しているところがユニークなのだ。
例えば、利用者はマネーライオンのパーソナル・ファイナンス・プラットフォームで自分のクレジットスコアのシミュレーションができる。

マネーライオンの利用者は平均で月に3.9回クレジットスコアをチェックしているそうだが、クレジットスコアを知る事でムダのない計画的な消費が可能となる。また、パーソナル・ファイナンス機能が利用者の資金繰りを管理し、パターンを認識してマイナスになりそうな時に短期のローンをオファーする。
利用者の消費パターンを管理し、フィナンシャル・アドバイザーとして機能するのだ。


高まるPFPへのニーズ

マネーライオンのサービス開始以来、同社の利用者は増え続けている。

マネーライオンのビジネスが拡大している事は、アメリカの消費者の中に消費スタイルが杜撰な人が少なくない事を物語っているが、単にパーソナルローンを貸し付けるのではなく、返済や消費などを含めたパーソナル・ファイナンス・マネジメントの機能を提供する事で、お金の貸し手と借り手との健全な関係を構築する事が可能になるのだ。
その意味で、マネーライオンほど現在最もアメリカらしいFintechベンチャーはないだろう。

マネーライオンはまた、利用者に様々なインセンティブを提供している。
返済が通常通り行われると返済ごとにポイントがもらえる(この時点で既に日本ではありえない話だと思うが)。ポイントが貯まるとAmazonギフトカードなどと交換できる。

また、マネーライオンは営業コストを下げるために「ブースト」と呼ばれる紹介制度を用意している。家族や友人を紹介してローンが実行されると金利が下げられる。ブーストを利用する事で利用者の金利は下がり、マネーライオンの営業コストも下がる。
ある種のウィン・ウィンの関係だ。


PFPの今後

パーソナル・ファイナンス・プラットフォームの台頭は、お金の貸し手が借り手の生活や消費スタイルにまで関与するという新しい金融スタイルの誕生を意味している。
マネーライオンのケースは、お金の貸し手が借り手の生活に関与する事で、ある種の健全な関係が構築できる事を示している。そして、この流れは、銀行などの他の金融セクターにも波及する可能性があると筆者は考える。

お金の貸し手が借り手の生活へ関与する金融機関としては、ソーシャルレンディングのSoFiなども注目を集めている。
同業者としてSoFiと事業がバッティングするかとの問いに対し、マネーライオンの創業者でCEOのディワカー・チャウベイ氏は、「SoFiはクレジットスコア750点以上の人しか相手にしません。我々はクレジットスコアで中間の70%の人たちを相手にしているのです」とコメントし、お互いに棲み分けがなされているとしている。

昼食後にスターバックスで高額なラテを毎日飲まない方がいいとまでアドバイスするマネーライオンのPFPは、今後さらに進化を続けるだろう。
今のところは短期の小口のパーソナルローンに収まっているが、いずれ住宅ローンや教育ローンなどの領域にも進出することは想像に難くない。ある意味借り手にやさしい貸し手として、マネーライオンは今後も関係者の注目を集めていくだろう。


<参考・参照元>
MoneyLion raises $42M to grow its personal finance platform for the middle class – TechCrunch
MoneyLion | Crunchbase
MoneyLion Secures $22.5 Million in Series A Funding Led by Edison Partners | Business Wire
MoneyLion personal loans review April 2018 | finder.com

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