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保険はオンデマンドで必要な分だけ!日本にも上陸間近なミレニアル世代向け保険とは。

アメリカのオンデマンド保険会社のTrovが快進撃を続けている。カメラ、ラップトップコンピューター、アクションカメラなどの損害保険をオンデマンドでPay as you go(必要な分を必要な分だけ)で提供する同社のビジネスモデルはミレニアル世代を中心に支持をあつめ、業績を拡大させている。

Trovのビジネスモデルを紹介し、保険の世界の未来を占う。


拡大を続けるオンデマンド保険会社Trovとは?

カリフォルニア州ダンヴィルに拠点を置くTrov(トローヴ)という会社がある。Trovは現在オーストラリアとイギリスでスマートフォン、ラップトップコンピューター、タブレット、アクションカメラなどを対象にしたオンデマンド保険を販売している。
オンデマンド保険とは、ネットを通じてオンデマンドで保険が購入できるものだが、Trovの保険の特徴は、保険を必要な時に必要な分だけかけられるPay as you go(必要な分を必要な分だけ)と呼ばれる点にある。

Trovを使うのは簡単だ。Trovのアプリをスマホにインストールし、必要な情報を入力して保険をかけたいアイテムを選択する。
スマートフォンの場合、メーカーやモデルなどを入力すると補償のレベルと保険料が提示される。後は保険を掛ける期間を入力すれば保険契約開始となる。なお、保険期間は最短で30分からとなっている。
保険料も安く、MacBookの場合、1日あたり58セント(2018年4月2日現在日本円にして約62円)程度で保険を掛ける事が可能だ。また、保険をかけたアイテムのデータはTrovのクラウドに「デジタル在庫」として登録され、必要な時に共有することが可能だ。

保険金の請求も簡単だ。事故や盗難などにあった場合はTrovのアプリから保険金請求を選択し、Trovのチャットボットとテキストメッセージをやり取りして手続きする。保険金はスピーディーにTrovに登録した銀行口座へ入金される。煩わしい手続きなど一切必要ない。


若者を中心に利用が広がる

Trovによると、同社がこれまでに販売した保険の総額は36億ドル(2018年4月2日現在日本円にして約3,826億円)に達し、保険の対象となったアイテムの半分がスマートフォンで、利用者の3分の2が35歳以下の若者だったという。
Trovはメインターゲットをミレニアル世代(1982年から2004年生まれの世代)に設定しているとされているが、Trovのマーケティング戦略が見事に花開いていると言える。

ところで、Trovはなぜミレニアル世代をメインターゲットに設定しているのか。Trov創業者のスコット・ウォルチェックは次のように説明している。

「(ミレニアル世代に代表される)デジタル世代の若者はスマホの中に住んでいるんだ。彼らはスマホをスワイプして食べ物を注文し、衣類を買い、テレビを見る。すべてオンデマンドでね」

なるほど、スマホを生活から切り離せないミレニアル世代ゆえに彼らがスマホベースのオンデマンド保険のターゲットとなっているのだ。

「これまでの保険会社はミレニアル世代にアピールするのに苦心してきた。なぜなら、彼らの保険商品は彼らのコントロールの下で開発され、古風な商習慣と遺物のようなシステムの下で売られてきた。しかし、ミレニアル世代の考え方は違う、『(保険は)私のコントールの下にあるべきだ、保険会社の下ではない』と彼らは主張しているのだ」


伝統的な保険会社の限界

ウォルチェックはさらに続ける。

「伝統的な保険会社はミレニアル世代を引き寄せるために巨額の広告予算を浪費してきた。しかし、ミレニアル世代は特定のブランドにロイヤルティーを持たず、サービスの良し悪しでどんどんブランドスイッチする」
「伝統的な保険会社はレガシーシステムに依存し過ぎて来た。だが、そのレガシーシステムそのものがウェアラブルデバイスやIoTといった急激に進化する技術に対応できていない」

ウォルチェックの目には、伝統的な保険会社がミレニアル世代のニーズにまったく対応できておらず、また新時代の技術の導入もできていない旧態依然とした姿として映っていたのだろう。


日本にも上陸が間近か?損保ジャパンが出資

Trovは現在、オーストラリアとイギリスでサービスを提供している。
なお、Trovのウェブサイトにグローバル展開の予定図が掲示されているが、2018年度中にアメリカでのサービス開始が予定されている。また、カナダ、ドイツ、そして日本が“Coming Soon(まもなく始まります)”となっている。
実はTrovには2017年4月に日本の損保ジャパンホールディングスが出資し、同社の株主になっている。日本では損保ジャパンと提携してTrovのサービスが提供される見通しだが、Trovが日本のミレニアル世代にどうアピールするのか今から大変興味深い。

保険をオンデマンドでPay as you goで販売するというTrovのビジネスモデルは、損害保険以外の領域にもドメインを拡大してゆくことは間違いないだろう。
例えば、現在一般的な住宅用火災保険は包括的なパッケージで提供され、長期間の契約で販売されるものがほとんどだ。火災保険の利用者の中には、特定の部屋を一定の期間だけ保険に掛けたいというニーズを持つ人も少なくないだろう。そのようなニーズに対し、Trovがサービスを提供して来る可能性は大いにある。

また、シェアリングエコノミーが拡大すると見込まれる今後、シェアする人に応じて補償内容をカスタマイズし、必要な期間だけ保険を提供するといったニーズも出てくる事だろう。シェアハウスやシェアオフィスなどでもPay as you goの保険のニーズは存在する。

Trovが活躍できる領域は、想像以上に広いかもしれない。


<参考・参照元>
Trōv | On-Demand Insurance For Your Things
On-demand insurance Trov launches in Australia targeting Generation Y
Trov | Crunchbase
Trōv | On-Demand Insurance For Your Things
家電など保険加入、時間単位で 損保ジャパンがVB出資 :日本経済新聞

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